東映と東映ビデオが共同で立ち上げた「映画」と「舞台」を完全連動させる新企画「東映ムビ×ステ」の第1弾作品、映画『GOZEN -純恋の剣-』が7月5日より公開された。これを記念した舞台挨拶が7月6日に開催され、本作のメガホンを取った石田秀範監督とメインキャストが登壇した。翌日が七夕(7月7日)ということもあって、登壇者はみな華やかな"浴衣姿"で現れ、それぞれの"願い事"を書いた短冊を笹の葉に結び付けた。
『GOZEN』=御前試合とは、武家時代に殿様の面前で行った武術試合のこと。各地から参加した武術の手練れ、腕自慢が集まるこの試合はトーナメント(勝ち残り)方式で進められ、勝利した者には最高の栄誉が与えられると共に、藩の剣術指南役という破格の好待遇までついてくる。映画『GOZEN -純恋の剣-』では、幕府の隠密として極秘任務にあたっていた「青山凛ノ介」にスポットをあて、"使命"と"恋"との狭間で思い悩むさまや、凄腕の武芸者たちと渡り合う"御前試合"に出場する経緯などが細やかに描かれる。
表向きは赤松道場の師範だが、実は幕府に反乱を起こそうとする府月藩の企みを探る柳生隠密の青山凛ノ介を演じる犬飼貴丈は、最初に出演オファーをもらったとき「またこれから1年、仮面ライダーをさせてもらえるのかと思ったが、こんどは違いました。映画と舞台の連動といった新たな挑戦をする際、僕を呼んでくださって嬉しく思いました」と、ジョークを交えながら素直な感想を述べた。
凛ノ介が狙う府月藩筆頭家老・神谷眞三郎の娘で、病弱ゆえに残された命がもうわずかだという八重を演じる優希美青は、「八重は体こそ弱いですけれど、芯がしっかりしているので、弱々しくなりすぎないようにと石田監督からアドバイスをもらいました」と、病弱であっても強い信念を備える八重の演じ方についての裏話を明かした。
残忍な性格の府月藩士で、凛ノ介と御前試合で戦うことになる寺脇甚八郎を演じる武田航平は「日本一カツラの似合う俳優です」と、時代劇役者を猛烈アピールしながら挨拶。凛ノ介と甚八郎の"対決"シーンについては、犬飼から「『仮面ライダービルド』で1年間ご一緒させていただいたので、他の方と比べても安心感が違った。安心して任せられた」とコンビネーションの良さを絶賛され、武田がしきりに照れる場面が見られた。
凛ノ介の親友・赤松道場の師範代を務める赤松兵庫役・小野塚勇人は「僕としては、ただ町井くんをぶっ飛ばしたかっただけです」と、『仮面ライダーエグゼイド』の仮面ライダーレーザーとして、敵(グラファイト)だった町井との"因縁の対決"が盛り上がったことを話していた。
甚八郎の部下で、御前試合の予選で兵庫とぶつかった櫻井右京役・町井祥真は「いたってマジメに必殺技を披露したつもりだったんですけど……」と、自身の必殺技「破王剣揚羽」の両手をヒラヒラする動きを、やたらと小野塚にイジられていて困ったことを打ち明けた。犬飼からは「技の名前は……、えーと、ちょうちょう・てふてふ?」と名前を思いっきり間違われるなど、愛のこもった"町井イジり"が今回の舞台挨拶で観られたことで、歓喜する女性ファンの声が響いた。
凛ノ介に情報協力する大谷藩の隠密で、ふだんは町医者として暮らしている真咲一馬を演じる久保田悠来は、クールな表情のまま「ユウキ・クボタです」と、優希のほうを見ながら茶目っ気たっぷりに挨拶した。久保田は真咲の技「神流蒼穹剣」について「左手の指で剣をなぞるアクションがあるので、指を切らないよう気をつけました」と、華麗な必殺技の影にあるたいへんな苦労を打ち明けた。
幕府への謀反を企てつつ、隠密たちを潰し合わせるため御前試合を立ち上げた府月藩主・望月甲斐正を演じる浪岡一喜は「こわい殿さまを演りました。カズキ・ナミオカです」と久保田のギャグに乗っかる形で挨拶。気性が荒く、残酷な一面を見せつつ、さまざまな剣の技に通じている甲斐正を演じるにあたっての役作りは? との問いに「素ですね……」と一言話してニヤリと笑った。
石田秀範監督は、これまで東映東京撮影所を活動の拠点として活躍していたが、今回の『GOZEN』では初めて東映京都撮影所のスタッフと組んで「時代劇」に挑戦した。キャスティングについては?との問いには「優希美青さんの八重をはじめ、みんなまったくイメージどおりで、僕からは何も言うことはなかった。現場で昼寝していてもいい映画になった」とジョークを飛ばすと、すかさず武田から「昼寝しているのをごまかすためにサングラスしてるんですよね」と、イキのいい返しが飛び出した。キャスト陣の芝居について石田監督は「撮影中はみんな冗談のひとつも飛ばさずマジメに演技をしていましたが、実は今みたいにふざけていたのかな?」と、ふたたび冗談ぽくコメントをしたら、小野塚がすかさず「町井くんの破王剣揚羽以外はみんなマジメでした!」と"町井ネタ"を被せてきたので、石田監督が苦笑いする一幕も見られた。
続いて、登壇者全員に七夕の願い事を書いた短冊を披露してもらうことに。犬飼は小学生のころに心を戻して「ぱぱとまましあわせに」と、子ども時代そのままの願いを書いた。優希は、本作に仮面ライダーシリーズ出身俳優がたくさんおり、みんなと仲良くなりたいと言いながら「仮面ライダーになりたい」という願いを発表した。武田は「うちの犬が元気でいますように。そして35歳くらいで結婚できますように」と、既婚者である浪岡の落ち着いた演技に憧れて、自分も2年後くらいに結婚したいという願いを明かした。小野塚は「また町井くんを倒せますように」と、映画でも対決が行なわれる町井との"再度の勝負"を望む短冊を見せた。
町井は「いつかはヒーローになりたい」と、悪役キャラのグラファイトではなく"ヒーロー"サイドに転身してみたいという願いを明かした。久保田は「ご縁がありますように」と、映画のタイトル『GOZEN』にかけて、これからも人との縁、つながりを大事にしたいと語っていた。浪岡は「家内安全、商売繁盛、世界平和」と非常に立派な"願い"を金色の短冊に書き、武田から「やっぱり家庭を持っている人は違う! こういうこと言える人になりたい!」と、強いリスペクトを捧げられていた。石田監督は「日々平安」と短冊に書き、「こういう騒々しい連中がいないところに行きたい」とつぶやいてこの場に見事なオチをつけ、客席を爆笑させた。
最後に犬飼は「東映さんの古き良き"伝統"と新たな"挑戦"、この"ベストマッチ"な組み合わせをぜひ、お楽しみください!」と、『仮面ライダービルド』の名フレーズにかけて今回の企画の醍醐味を改めて紹介し、映画の大ヒットと、次なる舞台『GOZEN -狂乱の剣-』(9月12日より上演)の成功を祈っていた。
映画『GOZEN -純恋の剣-』は、現在全国の劇場にてロードショー公開中。新宿バルト9の9Fスペースでは、今回キャスト陣と石田監督が書いた"願い事"の短冊が結ばれた笹の葉が展示されている。
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