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【この記事のエキスパート】
ビアジャーナリスト:木暮 亮

ビアジャーナリスト:木暮 亮

『日本にも美味しいビールがたくさんある!』をモットーに応援活動を行っている。

実際に現地へ足を運び、ビールの味だけではなく、ブルワーのビールへの想いを聴き、伝えている。

飲んだ日本のビールは4000種類以上。また、ビールイベントにてブルワリーのサポート活動にも積極的に参加し、ジャーナリストの立場以外からもビール業界を応援している。ここでは日本に限らず、美味しいビールを紹介していきます。


この記事ではIPAの基礎知識を含めた選び方とおすすめ商品を紹介。初心者でもわかりやすいように、IPAとはどんなビールなのか、IPAの種類や美味しい飲み方、IPAに合うおつまみレシピまで公開しています。ぜひ参考にして、IPAビールを楽しんでください

苦味と華やかな香りの高度数アルコールビール
IPAとは?

IPAとは、「インディア・ペールエール」のことです。イギリスの伝統的なビールであるペールエールを、当時のイギリスの植民地であったインドでも飲めるようにするため、長期の輸送をしてもおいしく飲める加工がされました。アルコール度数を高めて、防腐剤としてホップをたくさん入れています。

この工夫によって、新しいジャンルのビールが誕生しました。ホップの増量によって、パンチのある苦みと華やかな香りをたのしむことができます。高いアルコール度数の重めの味わいも魅力です。

たくさんの種類のIPAから好みのテイストを見つけよう!
IPAの選び方

まずは、IPAを選ぶポイントをご紹介します。ポイントは下記。

【1】IPAのおもな種類で選ぶ
【2】香りで選ぶ
【3】苦味で選ぶ

上記のポイントを押さえることで、より欲しい商品をみつけることができます。一つひとつ解説していきます。

【1】IPAのおもな種類で選ぶ

IPAのなかでも、味わいや風味のバリエーションがたくさんあります。主な種類を紹介します。

スタンダードIPA

名前のとおり、定番のIPAです。一般的なビールより少し黄色やオレンジ色が強いカラーのビールで、ホップを強く感じられ、豊かで華やかな香りをたのしめます。5%から7.5%ぐらいのアルコール度数のものが主流。

スタンダードIPAのなかでも、いくつかジャンルがあるほどバリエーションが豊富。軽やかに飲めるものからどっしりと重厚なタイプまで、さまざまなビールから選べます。

インペリアルIPA(ダブルIPA)

出典:Amazon

インペリアルIPAは、通常のIPAよりさらに強度の高いホップ感、アルコール度数になっており、味も香りもより強く感じられるタイプのIPAです。琥珀色や濃いオレンジ色のきれいな色もたのしめます。

W-IPAと呼ばれることがありますが、IIPA(インペリアルIPA)の「I」がふたつ並んでいるところがダブルの「W」と表現されるようになっていった経緯でそうなっています。さらにアルコールとホップが強くなったタイプをトリプルIPAともいいます。

セッションIPA

出典:Amazon

セッションIPAは、アルコール度数を4%未満に抑えたもの。IPA独特の苦みがありながらも、飲みやすいと感じられる味わいです。

IPAのガツンと強く感じるホップがあまり得意でない人や、IPA初心者の人にぴったりのタイプです。芳醇な香りとマイルドなホップの味わいをたのしめます。

アメリカンIPA

出典:Amazon

アメリカンIPAは、スタンダードなイギリスのホップではなく、アメリカのカスケードホップが使用されているIPA。おもにアメリカの西海岸地域で醸造されています。ホップが大量に投入されるIPAは、ホップの種類が異なるだけでテイストや風味が大きく変化します。

ホップから感じられる苦みや、アロマの香りがより強調されているのが特徴です。

ベルジャンIPA

名前のとおり、ベルギーのイーストを使用したIPAです。ベルギー系のイーストはフルーツやスパイスの香りがするのが大きな特徴。

甘い酵母のテイストがIPAのホップの苦みよりも勝って、通常のIPAとは異なるフルーティーな味わいをたのしめるのが醍醐味です。

ニューイングランドIPA(NEIPA)

ドライホッピングという製造過程を経たIPAです。通常は、煮沸段階でホップがビールに投入されますが、ほぼビールの完成が近いというタイミングでホップが投入されるのが特徴。これによって、ホップに熱が加わらず、フレッシュな香りがそのままビールの味わいにプラスされます。

日本では、ごく最近ドライホッピング製法のビールが生産されるようになり、新しいジャンルのIPAとして人気があります。

ホワイトIPA

ベルギーのエールビールであるベルジャンホワイトと、IPAを混ぜ合わせてつくったビールです。ベルジャンホワイトはベルギーのイーストを使用した、フルーティー度の高いビール。ビターなIPAを、よりマイルドで飲みやすくしてくれます。

IPAをよりすっきりとした飲み口でたのしみたいなら、ホワイトIPAがおすすめです。

ブラックIPA

名前のとおり、黒いビールです。スタウトやポーターなどの黒ビールとIPAを混ぜてつくられたタイプです。

黒ビールのマイルドなコクのある苦みと、黒砂糖のような香りの甘さが、IPAをより香ばしくしてくれています。IPAの苦みと黒ビールの苦みと掛け合わされて、より色濃く苦みが特徴としてあらわれているビール。苦みをたのしみたいときにぴったりの味わいです。

フルーツIPA

フルーツを使ったカクテルのようなビールで、明るい色合いが特徴です。IPAのしっかりとしたホップの苦みに、フルーツのフレッシュな香りがプラスされていて、苦みがマイルドになり、フルーツの余韻を色濃く感じることができます。

苦みが得意でない、IPAビギナーの方が最初に挑戦するのにちょうどよいでしょう。

【2】香りで選ぶ

出典:Amazon

IPAビールは、ホップをたくさん使うので、ホップのタイプでビールの香りが決まります。香り重視のビールにはアロマホップが使われています。

「カスケード」といわれるアロマホップは、フローラルで華やかな香りが特徴。「シトラ」というアロマホップは、柑橘系の香りを持っています。それぞれのメーカーによってもホップの使いかたが異なるので注目です。

【3】苦みで選ぶ

IPAの苦みをあらわす基準に、「IBU(International Bitterness Units)」という単位が用いられます。IBUの値が大きいほど、より苦みを色濃く感じられるビールです。ホップに含まれる苦みの成分やホップの使用量やホップを煮込む時間などが、IPAの苦さを形づくります。

ビールの苦みの方向性にはタイプがありますが、IBUは苦みの強さだけを表現しているので、いろいろなビールを試してみて、苦みを体験してみるのも大切です。

選び方のポイントはここまで! では実際にエキスパートが選んだ商品は……(続きはこちら)