フジテレビが主催する高校生を対象としたドラマコンテスト「第6回ドラマ甲子園」の受賞者が5日、東京・台場の同局本社で発表され、大賞に愛知県在住の伊藤佑里香さん(出品当時17歳)の『受験ゾンビ』が選ばれた。

  • 「第6回ドラマ甲子園」大賞の伊藤佑里香さん(左)と審査委員長の山口真氏

同賞は、高校時代が最も感受性が高く、クリエイト能力が花開く時期であると考え、1時間のドラマ脚本を募集するもの。大賞受賞作は、プロのスタッフがサポートして執筆者本人の演出で撮影され、プロの俳優が出演して、CS・フジテレビTWOで10月放送にされる予定だ。

大賞を受賞した『受験ゾンビ』は、文化祭の準備で学校に集まっていた最中、医学部受験のために13浪している山本が屋上から飛び降りるのを目撃。山本はゾンビとなって学校はパニックに包まれるが、その中で高校生たちのリアルな悩み、コンプレックス、秘密が明らかになっていく。

脚本を書くことになったきっかけは、中学1年生で部活の映画部に入ったことだったという伊藤さん。高校進学後も、有志で映画製作をしてきたという。多い時には月に1~2回映画館に行き、ネットで無料公開されている作品を鑑賞するという映画好きで、好きな作品には『アパートの鍵貸します』(60年)、『畸人ルーサー』(89年)と、高校生とは思えない名画を挙げた。

現在高校3年生で、撮影期間中は受験生にとって大事な夏休みにあたる。それでも「この脚本を書き始めたのは、医学部で女子学生の点数が引かれてたりするニュースもあって、すごく頑張って受験勉強してるのに『なんでこんな目にあうんだろう…』とか周りの受験への意識とのギャップに悩んだりしてた時期で、そういう気持ちを全部込めて作った作品だったので、逆に今受験生の夏に作ったほうが面白いんじゃないかと思って引き受けさせていただくことにしました」といい、「正直不安が大きいんですけど、精いっぱい頑張って面白い作品にしたいなと思ってます」と意気込んだ。

選考委員長のフジテレビの山口真ニュース総局報道局長(前・コンテンツ事業局長)は「悪い言い方をすると“真夜中に書いたラブレター”じゃないかと思いました。要は、テンションが上った真夜中にラブレターを書くと、朝になって読み返して死にたくなるっということ。平凡な大人だったら、翌朝明るくなったときに恥ずかしくなって書き直しちゃうところを、たぶんそのままお出しになったのではないかと想像し、そのパワーが素晴らしいなと思いました」と講評した。

なお、佳作には、彦坂美緒さん(18歳、茨城県在住)の『花言葉は憧れ』、小野拓馬さん(18歳、東京都在住)が選ばれている。