東京急行電鉄は3日、JR東日本から同社へ譲渡された電源車(マニ50 2186)が搬入される様子を報道関係者らに公開した。電源車は改造など行った上で、2020年に北海道で運行される観光列車「THE ROYAL EXPRESS」に連結される予定だという。
JR北海道、JR東日本、東急電鉄、JR貨物は北海道胆振東部地震の影響を受けた北海道を応援するため、観光振興と地域活性化を目的とした4社連携による観光列車の走行プロジェクトを進めている。JR東日本から「びゅうコースター風っこ」を借り受け、今年7~9月に宗谷本線で運行される観光列車「風っこ そうや」号に続き、来年には伊豆観光列車「THE ROYAL EXPRESS」が札幌~道東エリアで運行予定となっている。
「THE ROYAL EXPRESS」は伊豆急行2100系「アルファリゾート21」を改造した直流電車で、現在は東急東横線と接続する横浜駅からJR東海道線・伊東線と伊豆急行線を経由し、伊豆急下田駅までの区間を中心に臨時列車として運行される。北海道では非電化区間・交流電化区間の運行となり、車内サービスの提供などで電源を供給する車両が必要となるため、JR東日本から電源車(マニ50 2186)を譲り受けることになった。
報道公開は長津田駅付近のJR・東急授受線にて行われた。電源車はディーゼル機関車DE11形2001号機に牽引されてJR横浜線を走行し、長津田駅構内からJR・東急授受線へ。ディーゼル機関車を切り離し、しばらく電源車の外観が公開された後、東急電鉄の総合検測車「TOQ i」に連結され、同社の長津田検車区へ向かった。
担当者によれば、現在は改造すべき機器など検討しているところで、これから詳細な設計を行い、「工事は来年に入ってから」とのこと。大幅な改造ではないものの、「THE ROYAL EXPRESS」も含めて連結器周りなど改造を行う必要があるという。外観については「いま検討中で、まだ決定していません。さまざまな案があり、決まり次第、デザインも含めて発表しようと思っています」と説明。電源車は有償で譲渡され、車籍も東急電鉄に。北海道での運行以外の用途に関して、「いろいろ使えていけたらと考えていますが、いまのところ決まった計画はありません」と話していた。
北海道で運行する際の編成イメージとして、「THE ROYAL EXPRESS」に電源車とディーゼル機関車を連結した編成が示され、ディーゼル機関車は「JR北海道から運行の際にお貸しいただく形で考えています」と担当者は言う。2020年5~8月の間の約1カ月間、週4日程度の運行を想定しており、詳しい運転区間・時期など今夏にも発表される予定。東急電鉄は車両の提供に加え、車内サービスや旅行商品の販売などを担当し、2020年1~2月頃に旅行商品の内容発表・販売開始を予定している。
車両の北海道への回送運搬はJR貨物が担当。JR北海道は観光列車の運行に関わる業務、着地でのおもてなし体制への協力および全体統括を行う。