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【この記事のエキスパート】
ビアジャーナリスト・パンコーディネーター:宮原 佐研子
ビールやパン、ワインなどの魅力にはまり、国内外のオイシイもの探しに足をのばし、胃袋を広げる毎日です。
日本パンコーディネーター協会認定パンコーディネーター、日本ビアジャーナリスト協会所属ビアジャーナリストとして日本ビアジャーナリスト協会HP、雑誌『ビール王国』(ワイン王国)、世界22カ国158本のビールを紹介するe-MOOK『ビールがわかる本』(宝島社)、ビアエンタテインメントムック誌『ビアびより』(KADOKAWA)他執筆。
『ビール王国』では、ビールと料理のペアリングやビール列車などの記事を担当。日本パンコーディネーター協会主催世田谷パン大学でパンとビールのペアリング体験講座も実施。
ビール大国として有名なベルギービール。ホップを自由に使った製法でつくられており、個性的な味わいを楽しめます。この記事では、マイナビニュース・ウーマン会員計301名に聞いたベルギービールの人気ランキングを発表!また、ベルギービール選びのポイントも紹介しています!
伝統に縛られないベルギービール
ドイツ、フランス、オランダに隣接するベルギーは、四国の約1.5倍程度の国土に200近いビールの醸造所があり、1000種類以上の銘柄のビールが造られています。
ブドウが採れない土地柄のため、中世からビール造りに知恵や創意工夫を凝らし多様なビールを生み出したベルギー。歴史的にも隣接する大国との軋轢(あつれき)を避けるため、相手を尊重して干渉しないことに徹してきたことで、良い意味で個性が自由に存在する場所となりました。
製造方法も多岐にわたり、ベルギービールだけで800種類以上のものがあります。ビールの種類や銘柄によって専用のグラスで飲むのもベルギービールの魅力です。またビールの銘柄ごとにいろいろなデザインが楽しめます。
ベルギービールが好きな167名に聞いた!
海外ビールを選ぶポイントは?
今回マイナビニュース・ウーマン会員301名にアンケート調査を実施。そのなかでベルギービールが好きと回答した167名を対象に「海外ビールを選ぶポイントは?」と聞いてみました。
国産ビールと比べて、海外ビールを選ぶポイントはばらける傾向があります。そのなかでもベルギービールは、ほかの項目と比べて「味やビアスタイル」を重視しているという結果に。
ベルギービールは原料の使用制限がないこともあり、ビアスタイルの多さが特徴です。豊富なビアスタイルをもつベルギービールなので、「味やビアスタイル」を重視する人が多くなるのだと考えられます。
ベルギービールの選び方
ここからは選び方を紹介していきます。ビアジャーナリストの宮原佐研子さんに取材をして、ベルギービールの選び方のポイントを教えていただきました。ポイントは下記になります。
【1】醸造方法から選ぶ
【2】代表的な種類から選ぶ
【3】有名なブランドから選ぶ
【4】アルコール度数もチェック!
上記のポイントをおさえることで、より欲しい商品をみつけることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】醸造方法から選ぶ
ベルギービールの醸造方法には、下面発酵、上面発酵、自然発酵がありそれぞれのプロセスで味わいが異なります。醸造方法による味わいの特徴で選びましょう。
「上面発酵=エール」はフルーティーな味わいと香りを楽しめる
上面発酵とは、上面発酵用の酵母を使って約15~25℃の高温で発酵させることです。発酵中に酵母が上のほうに浮かんでくるので、上面発酵と呼ばれています。
上面発酵によって作られたビールは、フルーティでふくよかな味わいと香りが楽しめるのが特徴です。上面発酵で作られたビールの総称がエールです。幅広い種類のあるベルギービールの多くは、上面発酵によって作られています。
「下面発酵=ラガー」はホップの苦みとのどごし感を楽しめる
下面発酵用の酵母を使い、約5℃の低温でゆっくりと発酵、長時間貯蔵して作るのが下面発酵です。発酵が末期になると酵母が下に沈むため、下面発酵と呼ばれています。
雑味のない、すっきりとしたのどごしが特徴です。下面発酵で造られたビールを総称して、ラガーと呼びます。なお、ラガービールのひとつであるピルスナーは、世界でもっとも作られているビールです。
「自然発酵=ワイルド」は醸造所オリジナルの味わいを楽しめる
上面発酵の一種であり、ベルギービールならではの醸造方法が自然発酵です。麦汁を浅い容器に入れて空気にさらすことで、野生の酵母を取り入れます。その野生の酵母が発酵させるのです。
野生の酵母はベルギービールの醸造所に住み着いているので、自然発酵のベルギービールはその醸造所ならではの味わいが楽しめる魅力があります。
【2】代表的な種類から選ぶ
ベルギービールは発酵の方法ごとに、さまざまな種類のビールが作られています。味わいや香りなど、ベルギービールの種類による特徴で選ぶと、好みのものが見つかりやすいです。
修道院の敷地でつくられる「トラピストビール」
世界中で限られたところ、そのなかでもベルギーでは6カ所の限られた修道院敷地内の醸造所でしか作られていないのが、トラピストビールです。それ以外の修道士が作るビールはアヴェイビールと呼ばれて区別されています。
もともとは司教様がきたときにふるまわれるビールとして作られ、現在も昔ながらのレシピそのままに作られています。高いアルコール度数と複雑な味わいが特徴です。
ビールの苦味が苦手なら「ホワイトビール」
ベルジャンホワイトは、原料に小麦や大麦麦芽、ホップ、そして副原料にオレンジピールやコリアンダーを使った、フルーティかつスパイシーで、やわらかい甘さとさわやかさが楽しめるビアスタイル。白濁した色は小麦のたんぱく質や酵母が残っている証拠。白濁するほどまろやかになる一方、透明感があるものはすっきりと楽しめます。ビール独特のホップ由来の苦みが苦手という方はぜひお試しください。
赤茶色が特徴の「レッドビール」
レッドビールは濃い赤茶色が特徴的なベルギービールで、「フランダースエール」とも呼ばれています。オーク樽で作られており、しっかりと熟成されているため、フルーティーで深い香りを楽しむことができます。ワインのような味わいなので、ワインが好きな方にもおすすめです。
「ゴールデンエール」は柑橘系の香りが特徴
明るい金色が特徴的で、スッキリしていながらまろやかさも感じられるベルギービールです。爽やかな柑橘系の香りと、くせのない飲みやすさを持っています。しかし、アルコール度数は高めで、お酒が弱い人は抵抗があるかもしれません。
日本のビールの味に近い「ピルスナー」
ピルスナー(ピルス)はラガーを代表するビールです。チェコのピルゼンで生まれたのが名前の由来です。淡い色できりっとしたのどごしと、すっきりした味わいが楽しめます。
ベルギービールのピルスナーは、一般的なラガーよりもエールに近い味わいのものもあります。日本で作られているビールもピルスナーと同じタイプなので、身近な味わいが楽しめます。
ホップのさわやかな苦味が好みなら「セゾンビール」
長期保存するためにホップを多用してつくるセゾンビールは、さわやかなホップの苦味が特徴ですが、フルーティなものやスパイスを使うものなど、さまざまなタイプがあり個性豊か。原料表示をチェックしてさらに好みのタイプを探してみましょう。
3年以上寝かせたホップを使う「ランビック」
ランビックは、3年以上寝かせたホップを使うため、ホップ由来の苦味が少なくドライで軽い口当たりを楽しめます。熟成させたランビックとできたてのランビックをブレンドし、瓶内で二次発酵させた「グースランビック」、発酵中のランビックにフルーツを加えた「フルーツランビック」など、気分に合わせて好みの味を選んでみてくださいね。
甘酸っぱくて飲みやすい「フルーツビール」
ビールにいろいろな果実をつけこんでできたのがフルーツビールです。使われるのはサクランボ、キイチゴ、カシス、モモ、イチゴ、バナナ、パイナップルとさまざまあります。
生の果実をビールにそのまま投入する、果実を使った濃縮ジュースをビールに添加するなど、作り方は醸造所によってさまざまあります。フルーツの香りと甘酸っぱさが楽しめるフルーツビールは、スタイリッシュな瓶のまま飲んだり、細めのグラスでおしゃれに飲んだりして楽しめます。
【3】有名なブランドから選ぶ
日本のビールと同様に、ベルギービールにも定番で有名なブランドが存在します。ここからは、ベルギービールの有名なブランドについて解説していきます。迷った時はブランド名で決めてみるのもいいかもしれません。
ベルギービールといえば「シメイ」
「シメイ」は、エノー州シメイのスクールモン修道院で作られるビールです。フルーティーなレッド、苦みのあるホワイト、香りが楽しめるゴールド、濃厚でコクのあるブルーなど様々な種類があり、好みの味を選ぶことができます。
フルーツビールで有名な「リンデマンス」
200年近く続いている伝統的な醸造所で、フルーツ果汁を加えた「フルーツビール」が人気なブランドです。老舗ならではの味を楽しみたい方や、フルーティーな味わいが好きな人におすすめです。銘柄は他にもあり、好きなものをチョイスすることもできます。
ビアパブでもよく見かける「ヒューガルデン」
ヒューガルデン村で修道士が作ったホワイトビールから始まり、500年以上進化を続けてきたブランドです。スパイスが絶妙に組み合わさっており、苦みの少ない味わいが特徴的です。ワールドビアカップでは6回も金賞を受賞したことがあり、世界でも人気なブランドなのです。
【4】アルコール度数もチェック!
ベルギービールにはアルコール度数の高いものと低いものがあります。アルコール度数の高いものは、香りやコクを味わいながらゆっくり飲みたいときにおすすめです。飲み過ぎには注意が必要ですが、ビールの美味しさを深く感じることができるでしょう。
一方、アルコール度数の低いものは、さっぱりした味わいを楽しみたいときにおすすめです。のどごしを楽しんだり、気軽に飲めるためお酒が弱い人でも、ベルギービールを堪能できます。
選び方のポイントはここまで! では実際にエキスパートが選んだ商品は……(続きはこちら)