この春から社会に出た新社会人の皆さんは、初任給をどのように使いましたか。両親へのプレゼントや自分へのごほうび、もしくは、仕事に必要な身の回り品を買い足すなど、使い方は人それぞれだったことでしょう。一人暮らしをしている人は、「この金額でやりくりするのは大変」と感じたかもしれません。「初めてのお給料、もったいなくてまだあまり使っていない」という人もいるでしょうか。そこで今回は、初任給の平均や実際に多い使い道、そして、おすすめの使い方についてご紹介します。
初任給の平均はいくら?
初めて手にするお給料、「周りの人は一体いくらもらっているの?」と気になるものですよね。厚生労働省の「平成30年 賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況:1 学歴別にみた初任給」によると、高校卒から大学院修士課程修了までの学歴ごとの初任給は、以下のようになりました。
<男性>
・大学院修士課程修了……23万9,900円
・大学卒……21万100円
・高専・短大卒……18万2,900円
・高校卒……16万6,600円
<女性>
・大学院修士課程修了……23万4,200円
・大学卒……20万2,600円
・高専・短大卒……18万400円
・高校卒……16万2,300円
<男女計>
・大学院修士課程修了……23万8,700円
・大学卒……20万6,700円
・高専・短大卒……18万1,400円
・高校卒……16万5,100円
男女間で金額に差があるものの、大学卒以上の初任給は男女とも20万円を超えていることがわかります。ただし、上記の金額はいわゆる「額面」と呼ばれるものであり、実際に手にするのは、ここから雇用保険料や所得税などが引かれた金額となります。
初任給の場合、控除される項目はさほど多くありませんが、翌月5月分の給与からは健康保険料と厚生年金保険料が差し引かれます。これらの保険料は、前月分を翌月の給与から差し引く仕組みになっているからです。初任給や翌月からの給与は、手取りにすると額面よりも低くなることに気を付けましょう。なお、自分が住んでいる自治体に納める「住民税」は、前年の収入を基に計算し、翌年から課税されるため、社会人1年目では引かれません。
初任給の使い道トップ10
それでは、新社会人の初任給の使い道はどのようなものなのでしょうか。ソニー生命保険株式会社が実施した「社会人1年目と2年目の意識調査2019」では、社会人1年生に「初任給はどのようなことに使いたいか」という質問をしたところ、以下のような回答がありました(複数回答)。
1位:貯蓄に回す53.2%
2位:生活費(食費など)に充てる36.4%
3位:自分にちょっと良い物を買う30.6%
4位:親への贈り物を買う31.0%
5位:親をご馳走につれていく27.0%
5位:新生活で必要なものを買う27.0 %
7位:友人と飲み会・食事会を楽しむ20.0%
8位:美容・ファッションに使う17.2%
9位:仕事で使うものを買う13.4%
10位:旅行にいく12.2%
この調査によると、多くの新社会人が、初任給を消費よりもまず貯蓄に回していることがわかります。お金を使うより、なるべく使わずに取っておく「守り」の傾向が強いようです。次いで「生活費(食費など)に充てる」とありますが、一人暮らしの場合、初任給を娯楽やプレゼントに使う余裕はない、という人が多いのかもしれません。そして、初めての給与で親へ感謝の気持ちを伝えるという人も多く見受けられました。新社会人の皆さんは、ご自身の初任給の使い方と比べてどうだったでしょうか。
初任給おすすめの使い方はこれ
最後に、初任給のおすすめの使い方についてご紹介します。「初任給はすでに使ってしまった」という人は、今後の給与の使い方として参考にしていただければと思います。
一つ目の使い方は、「貯蓄の一部を投資に回す」です。お金が貯められること自体は素晴らしいのですが、ただ銀行口座に寝かせておくだけでは、もったいないからです。メガバンクの普通預金の金利は0.001%で、仮に1年間100万円を預けていても10円しか利息が付かない計算になります。
それなら、貯蓄するお金の一部で投資にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。たとえば、NISA(少額投資非課税制度)を活用すれば、非課税枠を使いながらお得に投資ができます。NISAは、専用の口座を開き、そこで購入した株式や投資信託の代金が年間120万円までなら、投資元本にかかる配当や分配金、売却益が5年間非課税になるという制度です。投資に回せるお金があまりないという人は、投資信託から始めるのがおすすめです。通常は1口1万円、安いものだと1口500円からの商品もあります。これからは、自分で資産形成をしていくことがさらに求められる時代になります。今から少しずつでも始めておけば、今後本格的に投資を行うとなった時、その経験が必ず生きるはずです。
なお、一方で、コツコツ貯蓄をすることも重要です。お金を計画的に貯めるには、「先取り貯蓄」をしましょう。「自動積立定期預金」や、勤め先にある場合は「財形貯蓄制度」を利用すれば、毎月の給与から天引きで貯蓄分を別口座へ分けることができます。
もう一つの使い方は、「自己投資」です。初任給で好きなものを買うのももちろん良いですが、本を読んだり興味のある分野のセミナーや勉強会に参加したり、見聞を広めるための旅行や留学費用の一部に充てるのもおすすめです。20代のうちに自己投資で得た知識や経験は、これからの人生を有意義にしてくれます。貯蓄も大切ですが、時には自分のために思い切って使うことも忘れないようにしましょう。
給与の使い道を考えてみよう
新社会人のうちは、まだ所得が多くなく、また、上手なお金の使い方が難しいものです。実家暮らしの人は自由に使えるお金が割とあるかもしれませんが、欲望のままに消費してしまった…という事態にならないよう、使い道を考えてみましょう。一人暮らしの人はやりくりが大変ですが、その分、勉強になることが多いはずです。いずれにしても、今どのようにお金を使うかは、10年後、20年後の生活を左右することもあります。仕事に慣れるので精いっぱいかもしれませんが、少しずつお金のことも考えていきましょう。