Microsoftは米国時間2019年6月25日、公式ブログにて、個人向けOneDriveにアクセスに認証を必要とする「Personal Vault」フォルダーの追加と、新たなストレージプランの追加を明らかにした。
まずは順番に変更点の詳細を説明したい。Personal Vault(個人用保管庫)は、Windows Helloによる指紋・顔や、PIN、メール、スマートフォンのSMS経由で到着するコード、そしてMicrosoft Authenticatorといった認証を経てアクセスする特殊なフォルダーだ。用途としては、個人情報につながるデータや画像ファイルの格納を想定している。
たとえばクレジットカードのオンライン審査では、運転免許証など本人を証明するような情報を画像ファイルとしてアップロードする場面は多い。最近なら、マイナンバーカードやマイナンバーカード申請番号を、画像ファイルとしてアップロードしたことのある読者諸氏も少なくないだろう。OneDriveのPersonal Vaultは、このようなファイルをクラウドで保持する用途に用いる。
Personal Vaultに格納したファイルはBitLocker暗号化領域に保存し、クラウド同期時も暗号化処理が施されるという。また、認証後にアクセス可能になったPersonal Vaultフォルダーは、一定時間アクセスしないと自動的に再ロックがかかる仕組みだ。現時点で詳細は不明だが、Microsoftによると、これらの処理はWindows 10使用が前提だという。先行してオーストラリア、ニュージーランド、カナダで本機能を公開し、日本は2019年中に利用可能になりそうだ。
次はストレージプラン。現在、OneDriveはサインアップ時に15GB、有料プラン(249円/月)で50GB、Office 365 Soloのサブスクリプションで1TBが利用可能である。この有料プランが100GBに倍増し、200GB刻みで最大1TBまで拡張可能になった。Office 365 Soloユーザーであれば、月9.99ドル(1,000円強)を支払えば2TBまで利用できる。
ちなみにOneDrive for Businessの場合、容量を拡大にするにはSharePoint Online Plan 2(OneDrive for Business Plan 2)の追加導入に加えて、対象のプラン契約数を5ユーザー以上に拡張しなければならい。詳しくは公式ドキュメントを参照いただきたい。
Microsoftがこのようなストレージプランを用意した理由は、Google Oneの存在があるのではないだろうか。Googleドライブに各種サービスを追加したGoogle Oneは、100GB(250円/月)、200GB(380円/月)、2TB(1,300円/月)といったプランを用意している。WordやExcelなどOffice 365を日々利用する個人ユーザーであれば、OneDriveに投資したほうが有益だが、ストレージ容量とコスト面はGoogle Oneのほうが優秀だ。
中小企業向けOffice 365ユーザーの筆者としては、今回の変更(個人向けOneDriveの拡張)は羨ましい限りだが、前述のようにOneDrive for Businessにおける柔軟性のなさはもう少し何とかしてほしいところ。仕事の環境や条件、そしてサービスの比較には面倒な部分もあるが、OneDriveにしろGoogle Oneにしろ、自分とって便利なサービスを選んでいただきたい。
阿久津良和(Cactus)