JR東日本東京支社は1日、新たな教育訓練施設「総合訓練センター 蒲田トレーニングセンター」の開所式を行った。東京支社の駅社員を対象に、実践的な安全教育・訓練を拡充し、異常時対応能力や安全に関する知識・技能を持った社員をさらに体系的に育成することを目的として開設されたという。

  • 「総合訓練センター 蒲田トレーニングセンター」の訓練車(写真:マイナビニュース)

    「総合訓練センター 蒲田トレーニングセンター」では訓練車(ミニ車両)2両を用意

「総合訓練センター 蒲田トレーニングセンター」は大田運輸区敷地内(JR蒲田駅から南へ徒歩約10分)に開設され、敷地面積は約3,500平方メートル。実習棟の延床面積は約279平方メートル。訓練駅としてホーム2面の「大田駅」、ホーム1面の「志茂田駅」を設け、訓練線3線(190m×2線、80m×1線)と信号設備、踏切などを設置した。

「大田駅」は施設のある大田区にちなんだ駅名で、駅ナンバリングは「KTC01」。「志茂田駅」は旧地域名であり、現在も近隣の学校名などに使用される「志茂田」に由来した駅名で、駅ナンバリングは「KTC02」。訓練線には「荏原(えばら)線」の名称が付けられたとの説明もあった。

訓練車(ミニ車両)は特注品で2両製作され、京浜東北線の電車をイメージさせる外観に。車体幅と扉の大きさはJR東日本の実車とほぼ同一とされ、訓練車に乗車した駅社員が運転席からの視界を把握できるように工夫している。この車両は動力車操縦者の免許がなくても運転でき、充電式バッテリーで走る。訓練線を走行する際の速度は約10km/h。入換作業や救援列車などで連結・切離しが行われることを想定し、訓練車には自動連結器が取り付けられ、2両連結しての走行も可能となっている。

  • 蒲田トレーニングセンター長、東常夫氏による出発合図で訓練車(ミニ車両)が発車。開所式の参加者らによる記念撮影も行われた

  • 開所式ではJR東日本常務執行役員東京支社長の白石敏男氏が挨拶し、続いて東センター長へ訓練車マスコンキーを贈呈

  • 訓練車(ミニ車両)を使用しての模擬訓練。駅間で停車した列車に非常脱出はしごを設置し、乗客を降ろして安全な場所へ誘導する

東京支社の駅社員はこれまで、さいたま市大宮区にある総合訓練センター(最寄り駅は東大宮駅)で異常時対応訓練などを行ってきたが、蒲田トレーニングセンターが開設されたことで、より実践的な訓練を行えるようになる。開所式で挨拶したJR東日本常務執行役員東京支社長の白石敏男氏は、駅社員を対象としたトレーニングセンターの設置に関して、「多様な教育を効率的・効果的に、回数も増やして実習することで、安全のレベルアップを図ることを目的としています」と説明。「この訓練センターを活用し、充実した訓練を行ってほしい」と述べた。

開所式では蒲田トレーニングセンター長の東常夫氏へ、白石支社長から訓練車マスコンキーの贈呈も。開所式の参加者を乗せた訓練車(ミニ車両)の発車に合わせ、東センター長による出発合図が行われ、訓練車を使用した模擬訓練の様子も公開された。「総合訓練センター 蒲田トレーニングセンター」では、ホーム上の基本動作訓練、駅間で停車した列車から乗客を安全に避難させる訓練をはじめ、駅社員に向けたさまざまな安全教育・訓練を行い、安全確保に必要な知識・技能の習得を図るとしている。

  • 訓練車(ミニ車両)の外観・車内と「総合訓練センター 蒲田トレーニングセンター」のおもな設備