東京ビッグサイトにて6月26日~28日、第30回 国際 文具・紙製品展ISOT(イソット)が開催されました。デスク周りにあったら便利そうなものや、仕事のモチベーションが上がりそうなもの、ちょっとしたアイデアが利いたもの、生産性がグンとアップしそうなものなど、賑やかな展示内容でした。筆者が「気になったデジタル文具」を紹介します。
文具大賞の優秀賞に輝いたのは?
日本文具大賞の優秀賞を受賞したのが、カシオ計算機の「NAME LAND i-ma(イーマ)KL-SP10」でした。2019年の2月に出たばかりのラベルライター新製品で、スマホのアプリでデザインしたおしゃれなラベルを気軽に印刷できるのが特徴です。オープン価格で、原稿執筆現在の実勢価格は5,500円ほど(以下すべて税込)。
ボディはとてもコンパクトで、電池でも動くため取り回しもよさそうです。利用できるフォントは15書体、絵文字は1,000個、フレームは56個。対応テープ幅は3.5mm~18mmの5種類となっています。
スマホ用のアプリには、あらかじめ「ラベルを自由に作る」「収納ラベルをまとめて作る」「お名前ラベルを作る」「季節・イベントのラベル」の各モードが用意されています。サンプルやテンプレートも豊富にプリインストール。簡単にラベルを作って印刷できる配慮が嬉しいですね。
カシオのブースには、同じ時期に発売された「Lateco(ラテコ)EC-K10」も並んで展示されていました。テープの無駄な余白や、カートリッジのゴミを減らすように設計された製品で、エコに配慮されているのが特徴です。オープン価格で、原稿執筆現在の実勢価格は13,500円前後。
従来製品では、印刷するテープの先頭に必ず余白が生じていました。ラテコでは「巻き戻し機構」を採用することで、これを解消。テープ先頭のもったいない余白がなくなりました。また、テープを詰替方式にすることで、カートリッジのゴミが出ません。
ブースの担当者は、「いま整理・収納がブームになっていることもあり、ネームランド イーマ、ラテコともに主婦の方々などを中心にお使いいただいています。また、カフェや雑貨を営む小規模な個人商店にも、コンパクトサイズであること、エコなことが評価されています」と説明。まだ両製品の認知度は高くないため、こうした展示会を通じて少しでも市場に広がれば、と話していました。
E-Inkスクリーンのタブレット端末
そのほかの気になったガジェットについても紹介していきましょう。
中国企業のラッタ社(本社:上海)は、E-Inkスクリーンを備えたLinuxベースのデバイスを展示。「Supernote A5」はA5サイズの製品で、10.3インチ(解像度は1,872×1,404ドット、226PPI)の大きなディスプレイに、ワコムのスタイラスペンで自由にイラストや文字を書けます。32GBのストレージを内蔵し、重さは366g。下端にはUSB Type-C端子を備えています。気になる価格は、65,000円前後になる模様。発売は7月中旬を予定しています。
兄弟機として、A6(7.8インチ)サイズで重さ245gの「Supernote A6」(1,872×1,404ドット、300PPI)も用意しています。価格は40,000円前後の見込みです。
画面の右側にあるスライドバーを指でなぞると、メニューが出てきます。E-Inkゆえに反応が遅いのではと心配しましたが、遅延はそれほど気にならないレベル。文字やイラストを書いてみたところ、紙に書く感覚に近いものでした。
なお、電子書籍リーダーとしても利用できます(EPUBとPDFに対応)。気になったページには数種類のマーカーモードでラインを引けて、注釈やコメントも付加できるのが面白いところ。1日4時間読書しても、バッテリーが1週間もつのもE-Inkならではのメリットといえます。
そのほかカレンダー機能もあります。また、通信にWi-Fiを使用すれば、書いたメモを画像にしてメール添付で送れたりもします。ブースには色とりどりのカバーも展示されていました。
スマホを充電できる置き時計!?
アデッソは、置くだけでスマホを充電できる「ワイヤレスチャージングクロック」を出展していました。Qi(チー)規格に対応したアイデア商品ではないでしょうか。
筆者は寝る直前まで、ベッドで横になりながらスマホを閲覧したい人間(寝る前のスマホは睡眠によくないともされていますが……)。枕元にこのデジタル時計があれば、翌朝には満充電のスマホを外に持ち出せるでしょう。なお、ワイヤレス充電に対応していないスマホのために、背面にはUSB充電端子も備えていました。価格は6,480円です。
ワコムでは次世代の文具が
ワコムのブースでは、OEM向けソリューションを数多く紹介していました。先述のSupernoteに提供しているスタイラスペンのほか、ハイアールが教育向けに販売している電子ペーパー向けに作ったペン製品も。
珍しいところでは、ドイツの老舗、ステッドラー社の依頼で制作されたという、鉛筆の皮をかぶったスタイラスも展示していました。担当者の話では、重量のバランスを維持するため、実際に鉛筆の芯も入っているこだわりモデルだとか。逆から削れば、鉛筆の芯が出てくるのかも!?
中でも、紙に書いた文字やイラストをリアルタイムでディスプレイに転送できるスマートパッド、「Bamboo Slate」が注目を集めていました(iOSとAndroidに対応)。市販のメモ帳が使用できる製品で、アナログとデジタルが融合した不思議な使用感がありました。
書いたものは、JPG、PNG、PDFなどの形式でエクスポートできるだけでなく、編集可能なデジタルインク(WILLフォーマット)にして、色やマーキングを加えることも。紙に手書きしたメモは、デジタル変換およびテキスト変換に対応しており、例えば会議で大量のメモ書きをしたときなど、後から文字検索できて便利でしょう。
この製品をさらに一歩、進化させた「書けるスマホカバー」(現在開発中)も展示されていました。コンセプトモデルとはいえ、デモではきちんと動作していました。右側のメモパッドにペンで手書きしたものを、スマホに転送して保存管理が可能。今後、どんな形にブラッシュアップされて登場するのか楽しみです。