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【この記事のエキスパート】
防災・危機管理ファシリテーター&編集ライター:南部 優子
出版社の編集・執筆、地域NPOの政策企画・広報、危機管理コンサルタントを経て独立。 多彩な分野でファシリテーター兼編集ライターとして活動中。
編集・執筆の経験を生かした計画・マニュアルなどの各種資料作成・製本・出版や、企画会議運営・板書経験を活用したワークショップ・イベントの設計・運営、防災コンサルタント経験による各種調査・研究・組織開発支援など、公共団体や研究機関・企業・NPOとのプロジェクトを数多く実施している。
災害が発生すると、水道管の破裂などで断水が長期化する可能性も。そんな非常時には、防災用ウォータータンクが欠かせません。この記事では、防災用ウォータータンクの選び方とおすすめ商品をご紹介。折りたたみタイプ、蛇口式コック付きなど厳選しました。
防災ファシリテーターに聞きました
防災用ウォータータンクの選び方
防災ファシリテーターの南部優子さんに、防災用ウォータータンクを選ぶときのポイントを教えてもらいました。
【1】1日に必要な水の量を考慮して容量を選ぶ
【2】持ち運びできるか
【3】ハードタイプをメイン 、ソフトタイプはサブで使う
【4】タンクを分けずに使える、飲料に適したものを選ぶ
【5】手入れのしやすい、衛生的に使えるものを選ぶ
上記のポイントをおさえることで、より具体的に自分に合う防災用ウォータータンクを選ぶことができます。一つひとつ解説していきます。
【1】1日に必要な水の量を考慮して容量を選ぶ
こちらの商品1つで、3人家族が1日に必要な量の水を一度に確保できます。使わないときは小さくたためるので、家に常備しておいても場所をとりません。
【エキスパートのコメント】
農林水産省などの機関は、1日1人当たりの水の確保量について「飲料水から調理などに使用する水などをすべて含めて3リットル程度の量があれば安心である」としています。
単純計算で3人家族なら、9リットル程度の水を確保できる10リットル入りのウォータータンクがあれば、1日1回の給水で過ごせます。
家族の人数など具体的にどのくらいの水が必要になるかを考えたうえで、ウォータータンクの容量を決めましょう。
ただし、この数値はあくまで目安なので、実際にはもう少し余裕をもって水を確保したいところですね。
【2】実際に水が入った状態で持ち運びできるものを選ぶ
【エキスパートのコメント】
家族1日分の必要量くらいの水をためておける容量のものが好ましいですが、一方で、量が多くなるとたいへん重くなります。
給水拠点や給水車が巡回する場所と、住まいにある程度の距離がある場合もあります。
10リットルくらいは女性でも持てるでしょうが、20リットル以上になると持ち上げるのもたいへん。10リットルのタンクを2つ持つほうが無難です。
20リットルのタンクは、ポリタンク用のキャスターに乗せると移動しやすくなります。積みやすいよう、平らで安定した形状のものがよいでしょう。
階段が多い場合は、肩からさげるタイプのポリタンク用カバーに入れて担ぐとラクになります。
【3】ハードタイプをメイン 、ソフトタイプはサブで使う
【エキスパートのコメント】
給水は毎日必要になります。重い水を入れて何度も運び、しょっちゅう動かして水の出し入れをしますから、どうしても傷がつきやすくなります。
袋タイプのものは少しでも破れ目ができると裂けてしまって使えなくなります。災害時にメインで使用するためには、ハードタイプのしっかりしたものをおすすめします。
どうしても収納スペースがない場合や、予備でいくつか持っておきたい場合などは、コンパクトに折りたためるソフトタイプを用意しておくと安心です。
この場合、すぐに破れてしまう可能性を考え、2~3点そろえておくとよいでしょう。
【4】タンクを分けずに使える、飲料に適したものを選ぶ
【エキスパートのコメント】
直接口にし体に取りこむ飲用水をためておくわけですから、衛生面には注意を払う必要があります。飲用水向けとして販売されているものを選びましょう。
単に水をくんで入れておくだけでよいのであれば、いわゆる灯油用のポリタンクを新品で買ってきて使うことだってできるわけですが、これだと飲用水としての品質を保つことができません。
飲用水と洗濯などの生活用水のタンクを分けて管理する方法もありますが、いざ給水が必要となったときに、分けて使用する余裕がないことも考えられます。
非常時の活用方法に混乱が起きないよう、はじめからすべてのタンクを飲用水向けにしておくことをおすすめします。
【5】手入れのしやすい、衛生的に使えるものを選ぶ
こちらは、水を使用しないときは蛇口をタンク内部に収納できる商品です。広口なので内部を手洗いしやすい点もうれしいですね。
【エキスパートのコメント】
バケツのようなタイプだと使うたびにふたの開け閉めが必要で、ホコリが入りやすくなり不衛生です。
蛇口から水を出すタイプを選び、次の給水の時までふたを開けなくて済むようにするとよいでしょう。
ただ、蛇口から水がつたわりやすいため、常に蛇口が下に向いているものだとポタポタもれるのが気になるかもしれません。
ふだんは蛇口部分を上にして保管し、使うときには下に来るよう縦置きと横置きを変えられる長方形になっているものが使いやすいです。
また、なかに手を入れて洗いやすい広口のもの、シンプルな形状のものが清潔に保てるので安心ですね。