昨今、赤身肉がブームだったり、"うにく"が定番メニューになったりと、グルメ界隈をにぎわせてきた肉料理。赤身肉とワインのマリアージュを楽しんでいる人も多いはず。肉料理にはやっぱり赤ワイン、というのは定番中の定番だ。でも、たまにはこんな楽しみ方もいいんじゃない? ということで、肉と日本酒のペアリングを提案する新店「酒場 肉のコトブキ」に行ってきた。
肉×日本酒が織りなす、魅惑のマリアージュ
「酒場 肉のコトブキ 虎ノ門店」は、関東・関西でレストラン・バー・居酒屋などを手広く展開しているダイナックが今年6月7日にオープンさせた「お肉と日本酒を組み合わせて食べられる大人の酒場」をコンセプトとしたお店。
メイン料理は2つあり、低温加熱調理した「コトブキ肉盛り合わせ」(一人前 税別880円)と、溶岩石プレートの上で肉を焼いて食べる「牛肉の溶岩石炙り」。部位ごとに用意されており、「ハラミ」(150g 税別1,680円 / 300g 税別2,280円 / )。「ミスジ」(150g税別1,980円 / 300g 2,780円~)「カイノミ」(150g税別2,680円~ / 300g 3,580円~)といった「USプライム」の肉と、「塊肉 黒毛和牛」(時価)の中から、種類とグラムを選んでテーブルで焼きながら食べることができるそうだ。
店頭・店内には日本酒の瓶がズラリ。常時20数種類の日本酒を用意しているということだが、肉と日本酒の組み合わせを全面に押し出している店って結構珍しい。ダイナックでは、以前から魚と日本酒を売りにした「東京 コトブキ」を都内に3店舗展開しており、魚を肉に置き換えて新業態として生まれたのが「酒場 肉のコトブキ」なんだとか。出店にあたって、肉の脂に合うようなどっしりした銘柄を多めに入れており、熟成した日本酒などもラインナップに加えている。
特におすすめなのが、店名にもなっている山形のお酒「磐城壽(いわきことぶき)純米」(税別550円)と「磐城壽 純米アカガネ」(税別650円)。とくに「純米アカガネ」は熟成させた日本酒で、酒蔵のオーナー曰く「肉に合わせるために作った」とのことなので、肉にピッタリ。この二種類を「飲み比べ二種」(税別780円)でリーズナブルに飲み比べできるんだから、日本酒好きにはたまらない。「飲み比べ四種」(税別1,280円)もあって、店内のボードに味わいが違う四種の組み合わせが掲示されるそうだ。
こだわり尽くしの肉料理を賞味!
「肉」と「日本酒」の2本柱って、なんだかすごく潔い感じでイイ。どちらも味に自信あり、ということだ。ということで早速いただいてみよう。
まずは「牛肉の溶岩石炙り」から。卓上コンロの乗せたアツアツの溶岩石プレート上でジュージューしていると、こんがりと焼きあがった香ばしさが鼻腔を付いて、思わずゴクリ。我慢できずに口に放り込むと、想像以上にやわらかくて旨味もギュッと詰まっていて美味しい! みんなでプレートを囲んで食べたら楽しそうだな~。
面白いのが、肉の味をさらにひき立てる薬味が用意されていること。「玉ねぎ醤油麹」「きくらげ神楽南蛮味噌」「にら酒盗」「酒粕茗荷味噌」の4種類を肉に乗せて食べることができるのだ。これが薬味というにはあまりにも手の込んだ料理で、肉がなくなっても薬味をつまみながら、日本酒を味わえる。特にピリッと辛みのある「きくらげ神楽南蛮味噌」が気に入った。肉に合わせて食べると、肉のやわらかさときくらげのコリコリした食感が同時に楽しめるし、チョビチョビつまみながら、チビチビ日本酒を飲むのもおつなものだ。
「コトブキ肉盛り合わせ」は、「鶏レバーの葱塩和え」「馬刺し」「ローストビーフの握り~蝦夷わさびと雲丹のせ~」「牛ハツの韮醤油のせ」「牛タン~南蛮味噌添え~」の5種類が乗った豪華絢爛な盛り合わせ。新鮮な素材に手の込んだ調理が施されていて、1つ1つの肉をじっくり味わいながら選び抜かれた日本酒を飲むという、なんとも幸せな体験ができるから、オーダーはマストだ。
また、すき焼きをイメージしており卵に付けて食べる「ローストビーフ 冷製つゆしゃぶ仕立て」(税別880円)は、肉と卵の濃厚さを感じつつもさっぱりとした絶妙な味わいだから、これからの暑い季節にピッタリ。かわいらしいサイズで食事とつまみの要素兼ね備えた「馬肉ユッケのアテ巻き」(税別780円)もここでしか食べられない逸品なのでおすすめ。その他、居酒屋定番メニューもまんべんなく揃えており、オーダーが入ってから焼く「出し巻き玉子」(税別780円)も人気だというから食べてみてほしい。
肉料理と日本酒のペアリングについては、しっかりした味やすっきりした味等、お客さんの好みもある。バランス良く配置された飲み比べメニューを用意しているのも、色々飲んで試しながら好きな日本酒を探して楽しんでほしい、というお店の思いが込められているという。なるほど、まだまだ肉と日本酒の組み合わせには、未体験の新たな発見がありそうだ。
お客さんの中には、1人で偵察的に訪れて、改めて社内の人たちと連れて団体でやってくる人もいるらしい。一度店に足を運んでみたら、きっと同僚や部下を連れてきたくなるはず。まずは一度、肉×日本酒のペアリングを試して新しい食文化に目覚めてみては?
●information
「酒場 肉のコトブキ 虎ノ門店」
東京都港区虎ノ門1-1-21 新虎ノ門実業会館1F
営業時間:ランチ/11時30分~14時30分(L.O 14時)
ディナー/17~23時(L.O 22時)
休:土・日・祝日
岡本貴之(オカモト タカユキ)
1971年新潟県生まれのフリーライター。音楽取材の他、グルメ 取材、様々なカルチャーの体験レポート等、多岐にわたり取材・ 執筆している。好きなRCサクセションのアルバムは『BLUE』。趣味はプロレス・格闘技観戦。著書は『I LIKE YOU 忌野清志郎』(岡本貴之編・河出書房新社)」。