良いトレーニングには心身を回復する睡眠が必要

ポラール・エレクトロ・ジャパンは6月26日、スポーツやフィットネスでのトレーニングに励む人向けに、進化した睡眠分析機能「Sleep Plus Stages」を搭載したGPSフィットネスウォッチ「Polar Ignite」(以下、Ignite)を発表。7月下旬から発売します。

税別価格は27,800円の予定で、カラーはブラック・ホワイト・イエローの3色展開。全カラーともM/Lサイズがあり(ベルト長140~200mm。MサイズとLサイズではなく、M/Lサイズという1種類)、さらにブラックとホワイトはSサイズ(ベルト長125~170mm)も販売されます。交換用ベルトは3,980円(税別)です。

  • 新製品となるPolar Igniteは3色展開。ブラックとホワイトはSサイズとM/Lサイズの2種類、イエローはM/Lサイズの1種類

  • 直径43.3mm、厚さ8.45mm、重さ35gと小型軽量。なお、従来モデルのユーザーで24時間装着している人は少ないそうです

  • 最上位「Vantage V/M」譲りのPrecision Prime HRセンサー。他社の同種製品と比べて、圧倒的に多いLEDとセンサー数が特徴です。光学式心拍計は皮膚に密着していないと精度が落ちるため、電極を使って判断しています

  • ベルト幅は20mmで交換可能。形状を見る限り、市販の時計用バンドがそのまま使えそうですが、交換用ベルトも販売されます

  • 前夜の睡眠回復状況を「Nightly Recharge」として表示……発表会を控えていたためか、担当者の数値はあまりよろしくないようです

  • 詳細を見ると睡眠は良かったようですが、神経が休まらなかったもよう

  • 心拍変動や呼吸数なども本体だけでわかります。スマホアプリに関しては、まだ日本語化が完了しておらず、展示はなし。本体の表示もまだβ版とのことでした

  • Polar Igniteの主な仕様。電池はGPSを使わなければ最大5日、トレーニング時は最大18時間と、かなりの長持ち。さらに30m防水でスポーツ仕様です

ポラール・エレクトロ・ジャパン 代表取締役の園部英生氏は、Igniteについて「スポーツを親しむ、すべての人たちに向けたGPSスポーツウォッチ」と紹介。GPS内蔵によって、屋外での外でのトレーニング時に、トレーニング距離などを正確に測れます。

  • ポラール・エレクトロ・ジャパン マーケティングスペシャリスト 友枝峰子氏

  • ポラールの歴史。クロスカントリー対応の心拍計からスタートし、スポーツ分野に強み

  • ポラール・エレクトロ・ジャパン 代表取締役 園部英生氏

  • 新製品の特長。睡眠分析機能を大きく向上させ、それに伴うフィードバックなど、現行の上位機種を超える機能が盛り込まれています

トレーニング強度を測るのに欠かせないのが心拍数。ポラールは接触型の胸バンド式心拍計を用意しており、精度の面では申し分ありませんでしたが、トレーニングの度に装着する必要がありました。

そこで、ウォッチ本体に内蔵できるPrecision Prime HRセンサーを開発し、ひとつ前のVantegeシリーズから採用されています。Precision Prime HRセンサーは、腕とセンサーの密着度をチェックする電極と、9つのLEDを使っており、高精度の心拍数計測を可能にしています。

また、これまでは加速度センサーを利用したSleep Plusで睡眠時間を計測していましたが、Igniteでは心拍計測分析を加えたSleep Plus Stagesに進化。睡眠の段階判定(覚醒・レム睡眠・浅い睡眠・深い睡眠)、睡眠サイクルとその回数、各睡眠段階の時間、睡眠中の呼吸数を分析し、睡眠の質をスコアとして算出します。さらに、呼吸数・心拍数・心拍変動によって、自律神経の状況を算出。寝たことでどれだけ回復したかという「Nightly Recharge」を6段階で評価します。

  • 心拍数を併用して睡眠状態の把握を大幅に向上。前夜の眠りが100点満点で採点

  • 睡眠に加えて自律神経もスコアリング。体と心の回復度合いを数値化します

一般的に、トレーニングは負荷をかけすぎても効果はなく、適切な回復が重要とされています。そこでIgniteは、Nightly Rechargeと日々のトレーニング記録を加味したデイリートレーニングガイド「FitSpark」を実装しました。毎日、もっとも適した30~60分のトレーニングを提案してくれます。

呼吸エクササイズ機能「Serene」も搭載しました。息を吸う・吐くで心拍数は異なり、これをトラッキング。ガイダンスに沿った呼吸を行っているかを3段階で評価します。

  • 理想的なトレーニングのためには適切な回復が重要。回復度合いから今日のトレーニングメニューを提案

  • 呼吸の状態を心拍数から把握し、リラックスさせるための呼吸法を指南します

熟眠10カ条

今回の発表会、ゲストとして杏林大学の古賀良彦氏が登壇。「睡眠覚醒リズムを測る」と題して、睡眠の重要性を語りました。

  • 杏林大学 医学部 名誉教授の古賀良彦氏

睡眠は、夢を見ているや眼球が急に動くといったレム睡眠と、それ以外のノンレム睡眠に大別されます。さらにノンレム睡眠は4つのステージに分かれ、90分サイクルで繰り返すことで深い睡眠が減り、レム睡眠が多くなるそうです。

こうした「睡眠」を測るためには、睡眠ポリグラフという測定機器が必要で、日常生活で使えるものではないといいます。睡眠と覚醒のリズムだけなら腕時計型の「アクティグラフ」でわかりますが、今回のSleep Plus Stagesは、簡便・多元的に睡眠を長時間かつ連続で記録できるとコメントしました。

  • 睡眠は90分サイクルで繰り返され、徐々に深い眠りが短くなります。また、レム睡眠、浅い睡眠、深い睡眠それぞれに役割があります

  • 従来、睡眠サイクルを記録するためには頭に電極を付けて、専門の技師が計測、専門家が分析といったように、日常的には使えない手法に頼っていました

質の高い睡眠には、昼間はしっかり働き、仕事が終わったらストレスを発散し、早寝早起きがよいとのこと。睡眠に適した就寝環境は、温度26度、湿度50~60%、「真っ暗や無音はNG」だそうです。一方、起床に適した環境に関しては、日の光を浴びつつ目を開くのが有効としました。

  • 良い睡眠のためには良い覚醒状態が必要とのことで、日中はしっかり目覚めていることが重要

  • 快眠のために大切なのは、規則正しい生活と適度な運動、そしてストレスをためないこと

  • 古賀名誉教授による熟眠のための10カ条