日本で流通している交通系ICカードの残高をiPhoneで読み取れるかという意味であれば、2019年6月現在での答えはNOです。iOS 12の近距離無線通信用フレームワーク「Core NFC」は、非接触ICカード規格「FeliCa」の読み取りをサポートしていないため、FeliCaを採用する日本各地の交通系ICカードの情報は読み取れません。
しかし、今後は交通系ICカード/FeliCaの読み取りをサポートするアプリの登場が予想されます。2019年秋リリース予定のiOS 13では、Core NFCフレームワークが強化され、FeliCaの読み取りが可能になるからです。
これまでのiOSにおけるNFCサポートは、Apple Payなどシステムレベルの機能はさておき、アプリ開発に利用するフレームワークでの機能は限定的でした。そのため、App Storeで公開されているNFC対応アプリも、WEBサイトのURL、Wi-Fiアクセスポイントの接続に必要な情報など、タグに記録されたごく小容量のデータを読み取るものばかりです。
しかしiOS 13からは、NFCタグを直接読み取れるようになります。複雑な構造を持つカード/タグの読み取りが可能になり、暗号化通信にも対応するほか、FeliCa(JIS X 6319-4)やスマートカード(ISO7816規格)も取り扱えるようになりました。
具体的には、会員カードのIDや交通系ICカードの履歴といった情報を安全に参照できるようになります。NFCタグへの書き込みもサポートされたため、フィットネス機器などデバイスの設定も可能です。交通系ICカードの残高確認どころか、できることは格段に増えるはずですよ。