WDLC(ウィンドウズ デジタルライフスタイル コンソーシアム)は2018年6月13日に発表した「MakeCode×micro:bit 200プロジェクト」の参加校を対象としたアンケート調査に基づいて、スズキ教育ソフト、学研プラスと共同で児童を対象としたキャンペーンを実施する。
スズキ教育ソフトとはゲーム感覚でキーボード入力を学べる「キーボード マスターキャンペーン」を、学研プラスとは夏休みの自由研究をPCで作成する「パソコン×自由研究 コンテスト2019 」を6月21日から9月8日まで実施。WDLCは、「基本的なITスキルの底上げをしなければならない」(WDLC 会長 梅田成二氏)とする。
WDLCと東北大学大学院 情報科学研究科 堀田龍也教授らの研究チームが、本プロジェクトに参加する168校から得たアンケート結果によれば、「児童が身に付けているPC操作スキルと教員が児童に期待するPC操作スキルの差」は、キーボードのローマ字入力やファイルのコピー・移動、ファイルの保存といった操作分野において、児童のスキル不足が目立った。
全操作項目の合計値を算出し、合計値が26以下の下位群と、38以上の上位群で目標達成率を比較する「児童のPC操作スキル別の授業目標達成率」は、下位群の26.3%に対して上位群は48.9%。WDLCは「(今の小学生は)PCよりも先にスマホのタッチ操作に慣れてしまい、PC独自の操作スキルを体験していない」(梅田氏)と考察する。
他方で、経済産業省が2019年4月にまとめた「IT人材需給に関する調査」によれば、2030年には最大79万人の人材不足を予想。そこで、2020年から小学校で必修化され、2024年には大学入試まで拡大するプログラミング教育に注目が集まる。
MakeCode×micro:bit 200プロジェクトの実施にあたり、WDLCは現場の教師にヒアリング。その結果、「教師は『国語や算数は教え方を学んできたが、プログラミングは学んでいない』と不安を覚えていた。我々はレシピ的なものが足りていないと認識している」(梅田氏)と問題点を見いだす。
WDLCは、MakeCode×micro:bit 200プロジェクトの開始から1年にあたる今回の発表会で、中間報告を行った。参加校はプロジェクト名にも盛り込まれたとおり200校、うちプログラミング教育を実施したのは160校。だが、実施報告書を提出したのは35校にとどまるという。WDLCがリポート未提出の小学校に連絡したところ、「我々が思った以上に実施しており、『手応えをつかんでからリポートを送付したい』と先生方の熱意を感じた」(梅田氏)とのことだ。
プロジェクト参加校の1つである茨城県つくば市立春日学園義務教育学校では、磁気センサーを使ってアルミを分別するロボットや、ゴミの蓄積具合を通知するロボットなどの開発、学習発表を行った。WDLCも「社会課題の解決にプログラムを役立てる授業が行われ、想像以上の論理的思考で取り組んでいた」(梅田氏)としつつ、各校のリポートが蓄積されれば大きな価値を生み出すと期待を込める。
さて、実施するキャンペーンの1つ、「キーボードマスターキャンペーン」は、スズキ教育ソフトの「キーボー島アドベンチャー」を使用し、キータイプの正確さでランキングを競う。全国ランキングを公開するが、公平性を期すために、通常は非表示の小数点第4位まで表示して同着のリスクを避ける。
見事1級まで勝ち進んだ児童の中から、入力スピードが速かったトップ10に「micro:bitの教材キット」を贈呈。30級合格者にも抽選で100名に、MineCraft for Windows 10 + MineCraftで遊びながらプログラミングを学べる入門書をプレゼントする。
もう1つの「パソコン×自由研究 コンテスト2019」は、学研キッズネットの特集「夏休み! 自由研究プロジェクト」と共同で、夏休みの自由研究をPowerPointで作成するキャンペーンだ。PowerPointテンプレートを用意し、自由研究テーマもサイトに公開予定。
PC操作を学びながら自由研究に取り組んだ児童の中から、最優秀賞の1名ノートPC、優秀賞の4名に学研の図鑑LIVEポケット10冊セット、参加賞として抽選で20名に図書カード(5,000円分)をプレゼントする。
WDLCは今回のキャンペーンについて、「ITの幅を拡大し支援する。だが、プログラミングを学び、PCに触れても、その上を目指す場がない。業界団体と共に作っていきたい」(梅田氏)と、次なる展望を匂わせた。
阿久津良和(Cactus)