「映画」と「演劇」の融合を目指し、東映と東映ビデオが立ちあげた新企画「東映ムビ×ステ」の第1弾、映画『GOZEN -純恋の剣-』の完成披露上映会が17日、東京・新宿バルト9にて催された。ステージには主演の犬飼貴丈とヒロイン・優希美青をはじめ、劇中で互いに激しい戦いを繰り広げる"御前試合"に参加した武芸者を演じる俳優たちが勢ぞろいし、映画『GOZEN -純恋の剣-』とこれに続く舞台『GOZEN -狂乱の剣-』(9月上演)にかける意気込みを交えた"トーク対決"をにぎやかに展開した。

  • 上段左から井澤勇貴、前山剛久、松本寛也、井俣太良、下段左から武田航平、優希美青、犬飼貴丈、矢崎広、元木聖也

『GOZEN』=御前試合とは、武家時代に殿様の面前で行った武術試合のこと。各地から参加した武術の手練れ、腕自慢が集まるこの試合はトーナメント(勝ち残り)方式で進められ、勝利した者には最高の栄誉が与えられると共に、藩の剣術指南役という破格の好待遇までついてくる。今回の「東映ムビ×ステ」第1弾の題材に選ばれたのは"時代劇"という伝統的なジャンル。御前試合に臨む8人の男たちそれぞれの秘めた思いが、いくつものドラマを生み出していく。

映画『GOZEN -純恋の剣-』では、幕府の隠密として極秘任務にあたっていた「青山凛ノ介」にスポットをあて、"使命"と"恋"との狭間で思い悩むさまや、凄腕の武芸者たちと渡り合う"御前試合"に出場する経緯などが細やかに描かれる。そして、映画の後を受けた舞台『GOZEN -狂乱の剣-』では、凛ノ介と同じく"御前試合"に出場した他の人物たちのドラマが深く掘り下げられていく。「映画」と「演劇」といった異なる2つのエンターテインメントが互いに連動し、メディアの境界線を行き来することにより、これまでにない新しい感覚が呼び覚まされ、極上の娯楽体験が生まれるというわけである。

映画『GOZEN -純恋の剣-』で主役を務める青山凛ノ介役・犬飼貴丈は『仮面ライダービルド』で仮面ライダービルド/桐生戦兎を演じて人気を博し、現在はNHK連続テレビ小説『なつぞら』に出演してファン層の幅をさらに拡大している。犬飼は今回の企画に参加した当初をふりかえって「東映さんが新たな挑戦をする際、僕に声をかけてくださったことがものすごく嬉しかった。僕たちの責任は重大」と、映画と舞台が連動した新企画の第1弾である本作の主演に選ばれた責任をかみしめつつコメントした。

映画で互いに惹かれあう優希美青とのコミュニケーションについては「撮影期間がタイトだったこともあって、それほどお話ができなくて、そこが悔いの残るところ」だと残念がった。時代劇初体験ということで「侍らしい所作など、覚えることがたくさんあって難しかった」と苦労を語った犬飼は、優希から「常に集中して演技に臨んでいた。とても刺激になった」という言葉を聞いて「裏を明かされると恥ずかしい」と照れる一幕もあった。

凛ノ介と運命的な出逢いをする神谷八重役・優希美青は、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』でアイドルユニットGMT47のメンバー・小野寺薫子役で注目されたほか、多くの映画やテレビドラマで活躍する人気女優。凛ノ介が狙う相手となる府月藩筆頭家老・神谷眞三郎の娘で、重い病のため残された命がわずかだという八重は、禁断の恋に身をこがす、さしずめ『ロミオとジュリエット』のジュリエットの役割を担っている。MCより「もしも御前試合に出場するなら、誰を"斬りたい"か?」という、かなり無茶ブリがすぎる質問を受けた優希だが、うろたえることなく即座に「松本さんです」と、ほぼ初対面だという松本寛也の名を出して会場を沸かせた。これを聞いた松本は優希に「名前を覚えていてもらって光栄です! これからも仲良くしてください」と、ステージ上で"お友だちリクエスト"をするというなごやかな場面も見られた。

寺脇甚八郎を演じる武田航平は、『仮面ライダービルド』の仮面ライダーグリス/猿渡一海役で活躍したほか、9月に劇場公開されるVシネクスト『ビルド NEW WORLD 仮面ライダーグリス』では堂々の主演を務めるという、自他ともに認める"仮面ライダーの申し子"である。『ビルド』で共演して以来、仲のよい犬飼に向かって「若い男女が恋愛関係っていう設定で、役以外でも何かあったんじゃないの?」と、優希との関係について冷やかすと、犬飼から「茶々をいれるオジサンは黙ってて!」と鋭い"反撃"を受けてしまった。それでも負けない武田は「オジサンと言われても……もっとオジサンがいるし!」と、自分より年上の松本寛也、井俣太良を指し、2人を動揺させた。ポスタービジュアルでも確認できるように、武田が演じる甚八郎は犬飼演じる凛ノ介と一対一の勝負を行う"宿敵"の関係にある。役柄が変わったことによって、2人の関係性がどう変化した?という問いに対しては犬飼が「変わらぬ関係でした。撮影のときはずっと2人でいましたね」と答えると、武田も「そんなこと言うと『ビルド』メンバーは友だちがいないみたいに思われる!」とキャスト陣からの"孤立"を強く否定した。

望月甲斐正の護衛を務め、常に"面頬"で素顔を隠している結城蔵人を演じる前山剛久は、『仮面ライダーウィザード』で人間を襲うファントムのグレムリン/ソラ役を好演。舞台『GOZEN -狂乱の剣-』でも活躍が期待されている。

凛ノ介と同じく柳生隠密であり、御前試合に出場する郷田半左衛門を演じた井澤勇貴もまた、映画に続いて舞台『GOZEN -狂乱の剣-』に出演する。

十文字槍の使い手・田宮源三を演じる松本寛也は、『魔法戦隊マジレンジャー』マジイエロー、『特命戦隊ゴーバスターズ』ビートバスター、『宇宙戦隊キュウレンジャー』ホシ☆ミナトを演じ、現在は「スーパー戦隊親善大使」として各種イベントでも活躍。舞台『GOZEN -狂乱の剣-』にも出演する。

鎖鎌を得意とし、豪快な剣技によって予選を勝ち抜いた白川三太夫を演じる井俣太良は、『仮面ライダードライブ』の"現さん"こと追田現八郎警部補を熱演し、好評を得た。舞台『GOZEN -狂乱の剣-』にも出演する。

流狂四郎を演じる元木聖也。『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』での高尾ノエル(ルパンエックス&パトレンエックス)役の記憶も新しいが、本作では邪悪なオーラを漂わせた妖しい剣士役で登場。舞台『GOZEN -狂乱の剣-』ではどのような凄技を見せるのか、期待を持たせている。

舞台『GOZEN -狂乱の剣-』で主演を務め、映画にも登場する望月八弥斗役・矢崎広。今回の「東映ムビ×ステ」という企画に参加する際の心境として「映画と舞台がどういう風に展開していくのか、とても楽しみでワクワクした」と、新企画ならではの強い期待感があったことを明かした。

今回集まった男性メンバーはみな"御前試合"に出場する腕自慢の武芸者役だということで、「これなら殿の前でも勝負できるぞ」という"特技"を一人ずつ尋ねられた。井澤は「小学3年生から今までダンスをやっているので、ダンスなら誰にも負けたくないです」と話し、前山は「ゲームが好きなので、ゲームなら負けません。マリオテニスとかなら、みんなをボコボコに!」と、今にもゲーム機を持って周りと対戦し始める勢いで答えた。

武田は「これまで仮面ライダーに変身した回数」と、『仮面ライダーキバ』(2008年)での仮面ライダーイクサやダークキバなどにも変身した経験を改めて持ち出し、「ずっと仮面ライダーをガンガン引きずっていきますよ! 僕は"仮面ライダーの俳優"なんで!」と、ハイテンションで"仮面ライダー愛"の強さをアピールした。

井俣は「身体の動きや年齢の若さでは勝てませんが、亀の飼育とか、生き物を愛でる心だけはぜったいに負けない」と、生物に対する優しさをあらわにし、松本は「俺はスーパー戦隊に携わった数ナンバーワンです」と、武田の仮面ライダー愛と同様に"スーパー戦隊シリーズ"への強い愛着を示していた。

元木は「体を動かすことに関しては負けません!」と、アクロバット、パルクールで鍛えた得意の身体能力をアピール。矢崎は「『ポケモンGO』のランクですかね。40近くいっているので……。ご当地ポケモンもたくさんゲットしています。マリオテニスもうまいですよ」と、ここで前山に得意のゲームで"挑戦"を仕掛け、場を大いに盛り上げた。

最後に犬飼は「いろいろ面白い回答が出ましたので、ボケるのをやめまして(笑)、アニメ、マンガ、音楽の知識はわりとあるんじゃないかな」とマジメに回答し、さわやかな笑顔を見せた。

映画『GOZEN -純恋の剣-』で描かれた物語は、9月より上演される舞台『GOZEN -狂乱の剣-』へ続いていく。舞台で主演を務める矢崎は「まずはこの映画をぞんぶんに楽しんでいただいて、次はぜひ舞台で『GOZEN』の世界観に触れていただきたいです。映画では描かれなかった部分が舞台で明かされる、というのもありますし、それ以外でも舞台をご覧になっていただけたらもっともっと『GOZEN』の世界が広がります。ぜひ劇場に来てください。お待ちしております!」と、強い意気込みを語った。

最後の挨拶で犬飼は「映画と舞台が連動する新プロジェクトに参加することができて、改めて嬉しさを感じています。今回の映画『GOZEN -純恋の剣-』から舞台『GOZEN -狂乱の剣-』へ、うまくバトンを渡すことができたんじゃないでしょうか。映画が公開されましたら何度も観ていただいて、秋に上演される舞台も楽しんでいただければ、と思います」と、凛々しい表情で"映画"と"舞台"双方の応援をファンに呼びかけた。

映画『GOZEN -純恋の剣-』は7月5日より全国劇場にて公開される。そして舞台『GOZEN -狂乱の剣-』は9月12日から23日まで東京・サンシャイン劇場、27日から29日まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて上演される。

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