近畿日本鉄道は21日、既存の車両に搭載することで高頻度に線路の状態を検測できる新型軌道検測装置を導入し、線路点検の効率化を図ると発表した。同社は少子高齢化による将来の労働人口の減少を見据え、鉄道事業の安全・安心の根幹を支える鉄道メンテナンス業務について、最新技術を用いた効率化・生産性向上に取り組んでいる。
新型軌道検測装置は運行中にレールへレーザーを照射し、線路のゆがみを検測する装置で、既存の営業車両1編成(2両)の床下に搭載する。検測項目は軌間(左右レール間の幅)・水準(左右レールの高さの差)・通り(レール長さ方向の左右のゆがみ)・高低(レール長さ方向の高さのゆがみ)・平面性(2点間の水準の差)とされ、検測したデータは無線によってリアルタイムに本社サーバーへ伝送され、線路のメンテナンスに活用される。
この装置を既存の営業車両に搭載することで無人での軌道検測を可能とし、高頻度の検測によって線路の状態把握をより高いレベルで行うとともに、タイムリーに線路の補修を行えるため、乗り心地の向上や効果的なメンテナンスが期待できるという。
なお、既存の営業列車で軌道検測を行う取組みは、JRを除く鉄道事業者では初めてとのこと。今後、大阪線・名古屋線などで順次走行させてデータを収集するとともに、2020年度をめどに搭載編成をさらに1編成追加する予定としている。