「第19回テレビ朝日新人シナリオ大賞」の授賞式が19日、東京・六本木のテレビ朝日で行われ、大賞作品が発表された。

宮原久実さん

今回は、作品のテーマを「初恋」「最後の恋」「初恋&最後の恋」のいずれかとし、「テレビドラマ部門」「オリジナル配信ドラマ部門」の2部門で募集。計1,236編の応募があり、5月31日に井上由美子、岡田惠和、両沢和幸の選考委員3氏による最終選考会の結果、宮原久実さん(29)の『狂いゆく美』が大賞(賞金500万円)を受賞した。

宮原さんは「まさか大賞をいただけるとは思っていなかったので、ちょっと実感がないのですが、とてもうれしいです」と感無量。「審査員の先生方のドラマが大好きで、『ビーチボーイズ 』『きらきらひかる』『お金がない!』など、再放送のたびに何度も見ていました。そんな先生方に自分が書いたものを読んでいただき、光栄に思います」とも。

そして「今まで報われたことがなくて、書くことをもう辞めようと思っていた」と明かし、「そんな折に賞をいただきました。報われなくても、書き続けていこうと思いました」と語り、「受賞をまずは父に伝えたいです。『シナリオのスクールに通いたい』と言ったら猛反対されたので、密かに通っていました。やっと報告ができます」と笑顔を見せた。

井上氏は「今年は例年より接戦でした」と振り返り、テーマを設定したことについて「ラブストーリーなんて書きたくないと思っている人が、このお題によってラブストーリーの面白さに気づいてくれれば」と話した。続けて、「私自身、ホームドラマを書きたくて、自分の作品の中で人が死ぬ話は書きたくないと思っていました。しかし今は『緊急取調室』で、とても楽しく殺人事件の話を書いています」と笑いを誘った。

宮原さんの作品について、岡田氏は「このシナリオ大賞に割と来ないタイプの作品」と分析し、両沢氏は「『こういうドラマがウケるのではないか』ということより、『自分はこういうものを書きたい』という思いが見えてくる作品」と評した。

テレビ朝日の早河洋会長は「5月に『白い巨塔』を放送しました。"不朽の名作"と言うように、名作はなかなか朽ちないものです。その要因となっているのは、やっぱり脚本なんじゃないかなと思います」と話した。

また、栄弥生さん(48)の『腸弱男の恋』、山崎陽平さん(24)の『両手で、そっと』が優秀賞(賞金100万円)をそれぞれ受賞した。