日本オリンピック委員会(JOC)は6月14日、東京国際フォーラムにて「オリンピックコンサート2019」を開催した。これはJOCが毎年開催している、オリンピック映像とオーケストラ演奏を融合させたコンサート。スポーツファンのみならず、普段スポーツやオリンピックに親しみのない人にも、オリンピックの価値や素晴らしさを実感してもらうことを目的にしている。

  • 東京国際フォーラムにて「オリンピックコンサート2019」が開催された。オーケストラはTHE ORCHESTRA JAPAN、指揮は粟辻聡さん

    東京国際フォーラムにて「オリンピックコンサート2019」が開催された。オーケストラはTHE ORCHESTRA JAPAN、指揮は粟辻聡さん

映像と音楽で盛り上がる

プログラムは2部構成で、第1部は「1964 to 2016 輝き続けた夏の夢」、第2部は「2020へ、その先の未来へ、輝く夢に向かって!」となっていた。

第1部で演奏された曲目とともにコンサートの内容を紹介すると、まず今井光也作曲「オリンピック東京大会ファンファーレ」、古関裕而作曲「オリンピック・マーチ」が演奏された。大型スクリーンには1964年東京オリンピックにおいて柔道、体操男子、女子バレーボール、レスリング、重量挙げといった競技で日本人選手が次々に金メダルを獲得する映像。年配の来場者には56年前の興奮が蘇ったことだろう。

もちろん体操競技の選手は現代ほど激しく回転しないし、走り高跳びの選手も現代ほど高くまで飛び上がらない。若い来場者には、そうした違いが、逆に新鮮に映ったかも知れない。

続いて、ヴェルディ作曲 歌劇「運命の力」序曲、ジョン・ウィリアムズ作曲 映画「E.T.」から“地上の冒険”といった曲目が演奏された。ロサンゼルス、バルセロナ、アトランタあたりのオリンピックになると、40代の筆者にも懐かしさがこみ上げてくる。

  • 映像と音楽で盛り上がるコンサートの模様

    映像と音楽で盛り上がるコンサートの模様

第2部では平成30年度 JOCスポーツ賞表彰が行われ、競技で功績のあった選手たちに各賞がおくられた。

  • 日本オリンピック委員会の竹田恒和会長より、選手代表として正賞・副賞を授与される小林陵侑選手

    日本オリンピック委員会の竹田恒和会長より、選手代表として正賞・副賞を授与される小林陵侑選手

登壇したのは、小林陵侑選手(スキージャンプ)、喜友名諒選手(空手道)、大塚健選手(スキー/スノーボード)、紀平梨花選手(フィギュアスケート)、金谷拓実選手(ゴルフ)、大林素子さん(バレーボール)、宮下純一さん(水泳)、伊藤華英さん(水泳)ら。最優秀賞を受賞したテニスの大坂なおみ選手はビデオメッセージで喜びを伝えた。

  • フィギュアスケートの紀平梨花選手

    フィギュアスケートの紀平梨花選手

新人賞を受賞した、紀平選手は「このような大きな賞をいただけて、本当に嬉しく思っています。2020年の東京オリンピックは、釘付けになって見てしまうと思います。個人的には(2022年 冬季)北京オリンピックで優勝することが夢です。1年1年、成長できるように頑張ります」とコメント。

特別栄誉賞を受賞した、小林選手は昨シーズンの大活躍の秘訣について聞かれると「(前回の平昌、ルディックスキーのワールドカップなどの大会を通じて)自分に足りないところが分かっていたのでレベルアップしてきました。葛西紀明監督にも、いつもアドバイスを頂いています。北京オリンピックでは金メダルを獲れるように頑張ります」と話した。

  • ゴルフの金谷拓実選手(右はスキー/スノーボードの大塚健選手)

    ゴルフの金谷拓実選手(右はスキー/スノーボードの大塚健選手)

特別功労賞を受賞した、金谷選手は「(東北福祉大学の先輩である)松山英樹選手には、海外のメジャー大会で戦うために何をすべきか、いつも教えてもらっています。ランキングをあげて2020年東京オリンピックに出場できるように、そして松山選手と一緒に世界のトップで戦えるように頑張っていきます」と誓った。

このほか特別貢献賞を受賞した元オリンピアン、大林素子さん、宮下純一さん、伊藤華英さんたちも登壇して、現役選手にエールをおくっていた。

  • 特別貢献賞を受賞した、大林素子さん、宮下純一さん、伊藤華英さん。テレビでもおなじみの顔となった元オリンピアンたち

    特別貢献賞を受賞した、大林素子さん、宮下純一さん、伊藤華英さん。テレビでもおなじみの顔となった元オリンピアンたち

  • 平成30年度JOCスポーツ賞を受賞したアスリートたち

    平成30年度JOCスポーツ賞を受賞したアスリートたち

「もっと遠くへ」秘話

同イベントには、元レミオロメンの藤巻亮太さんがゲストで出演。スペシャルステージとして、オーケストラをバックに「粉雪」「もっと遠くへ」「3月9日」を演奏した。

「もっと遠くへ」は(2008年夏季)北京オリンピックに向けて制作された楽曲。当時の気持ちを聞かれた藤巻さんは「例えば10秒、何分で終わる競技もあります。そこに向けて努力を続けるアスリートの気持ちを歌にすることは難しく、なかなか歌詞が書けませんでした。そこで、共通する部分を見つけることにしました。支えてくださる家族や仲間がいるから夢を追いかけられる。それは僕たちミュージシャンも同じです。そうした観点から、ようやく歌詞を書くことができました」と振り返った。

  • ゲストで出演してスペシャルステージを行う元レミオロメンの藤巻亮太さん

    ゲストで出演してスペシャルステージを行う元レミオロメンの藤巻亮太さん

このあとステージでは、チャイコフスキー作曲 幻想序曲「ロメオとジュリエット」、エンニオ・モリコーネ作曲 映画「ミッション」からメインテーマ、スピロ・サマラ作曲「オリンピック讃歌」、アンコールとしてエンニオ・モリコーネ作曲 映画「ニュー・シネマ・パラダイス」が演奏され、会場に詰めかけた来場者からは万雷の拍手がおくられた。