京阪電気鉄道は14日、運転保安度の維持・向上やサービス向上などを目的として、2019年度は総額約92億円の鉄道事業設備投資を行うと発表した。
運転保安度の維持・向上に向けた施策として、鋼索線のリニューアルをはじめ、多情報連続式自動列車停止装置(ATS)の導入、変電所の更新、耐震補強工事などを実施する。
八幡市~男山山上間を結び、石清水八幡宮への参道である鋼索線(現・男山ケーブル)については、18年ぶりにリニューアル工事を実施し、安全性向上を目的に制御装置など更新。あわせてケーブルカーを石清水八幡宮らしさを表現する車両デザインに一新し、6月19日から運行再開する。10月1日からは、鋼索線の通称を「石清水八幡宮参道ケーブル」、駅名を「ケーブル八幡宮口駅」「ケーブル八幡宮山上駅」にそれぞれ変更。駅舎ファサードの美装化も行う。
多情報連続式自動列車停止装置(ATS)は、京阪線におけるさらなる安全かつ安定的な輸送をめざして導入し、運転保安度の向上を図る。これまで枚方市~出町柳間と宇治線・交野線で使用開始しており、2019年中に守口市~枚方市間へと使用範囲を拡大。2020年度中に京阪線全線への導入を予定している。
利用者に向けたサービス向上の施策として、3000系用の「プレミアムカー」を新造するほか、6000系のリニューアル、駅トイレのリニューアル、案内放送・ディスプレイをはじめとする多言語化対応の充実などを予定している。
座席指定特別車両「プレミアムカー」は、2017年8月から8000系の全編成(8両編成×10編成)の6号車(京都側から6両目)に組み入れ、サービスを展開している。2020年度中に3000系も全編成(8両編成×6編成)に導入する予定。これにより、原則として昼間時に運行される特急の全列車に「プレミアムカー」が導入されることになる。2020年度の竣工をめざし、今年度から3000系用「プレミアムカー」6両の新造工事に着手する。
6000系は導入から30年が経過した車両を対象に、2013年度からリニューアルを進めてきた。車いすスペースや液晶型車内案内表示器の設置などバリアフリー対応とし、内装材の取替え、座席の更新など車内の刷新も進めている。これまでに14編成中6編成(112両中48両)のリニューアルが完了。2019年度はさらに2編成16両をリニューアルする。