米Appleは6月13日 (現地時間)、音楽制作ソフト「Logic Pro X」のアップデート「Logic Pro X 10.4.5」の提供を開始した。パフォーマンスや安定性を向上させるアップデートであり、WWDC 2019 (6月3日~7日)で同社が発表した新しい「Mac Pro」(今秋発売予定)への最適化が行われた。Logic Pro Xユーザーのアップデートは無料、新規購入の価格は23,800円。Mac App Storeから購入する。
拡張性に優れた新しいMac Proは、最大構成で28コア/56スレッドのIntel Xeon W (2.5GHz)を搭載可能、メモリも12スロットで最大1.5TBまで搭載できる。Logic Pro X 10.4.5は、最大56スレッドのプロセッサ処理に対応。新Mac Proでリアルタイムに動作させられるプラグイン数は前世代のMac Proの5倍だ。また、サポートするトラック数およびチャンネル数も以下のように大きく増加した (括弧内はv10.4.4がサポートする数)。
- 最大1,000のオーディオチャンネルストリップ (最大255)
- 最大1,000のソフトウェア音源チャンネルストリップ (最大255)
- 最大1,000のAux (オグジュアリー)チャンネルストリップ (最大255)
- 最大1,000の外部MIDIトラック (最大99)
大規模なセッションにおけるMixerやEvent Listのレスポンスが向上、多数のFlex Time編集やテンポ変更が伴うプロジェクトがこれまでになく効率的に処理される。
WWDC 2019の基調講演でAppleは、新Mac ProとLogic Pro X 10.4.5の組み合わせで2,000のオーディオおよびソフトウエア音源トラックを処理するデモを披露した。そうした性能が本当に求められているのか、プロのニーズの議論が広がったが、「Game of Thrones」のサウンド編集者Tim Kimmel氏がInsiderなどとのインタビューにおいて、シーズン8の「ウィンターフェル」の戦いのオーディオミックスでシステムのトラック数の上限(720トラック)を超えたことを紹介している。NetflixやAmazon、HBOが製作を支援する作品やオリジナル作品がヒットし、クリエイターに製作のチャンスが広がると共に、そうした製作を支援するツールへのニーズも高まっている。
新機能もいくつか追加されており、ループブラウザーでループタイプによるフィルター適用が可能になり、複数のループをまとめてプロジェクト内にドラッグ&ドロップできるようになった。DeEsser 2プラグインが刷新され、オーディオトラックのシビランス (歯擦音)を低減するためのオプションが広がった。MIDIビートクロックを個別のポートに送信でき、タイミングオフセットやプラグインの ディレイ補正などをポートごとに設定できる。