みなさんは、自社の創業者がどんな想いで会社を立ち上げ、どこを目指しているのかをご存知でしょうか。
そこで本稿では、会社の指針となる「ビジョン」「ミッション」「バリュー」の意味や違いについて解説します。
ビジョン、ミッション、バリューとは
ビジョン【vision】は、もとは「視覚」「未来像」「夢」といった意味を持っており、ビジネスシーンでは、「企業や組織が目指す将来像」のことを指します。
ミッション【mission】の本来の意味は「使節」「使命」であり、「企業や組織が果たしたい、または果たすべき使命」のことを指します。
バリュー【value】は、「価値」や「値打ち」といった意味で、「企業や組織が社会に対して提供したいとする価値」のことです。また、何をもって価値とするかはそれぞれです。自社の価値観をもとに行動することによって、企業が与えたいと考える価値を社会に提供する……。
またバリューは、ミッションやビジョンを達成するために具体的にどう行動するべきかという「行動指針」を示すことにもなります。
企業の「ビジョン、ミッション、バリュー」の例
ここで、企業が実際に掲げているビジョン、ミッション、バリューを幾つかご紹介しましょう。
Yahoo! JAPAN
ビジョン(目指す将来像)
- UPDATE JAPAN
ミッション(果たしたい使命)
- 課題解決エンジン
バリュー(価値観)
- All Yahoo! JAPAN
- 個のチカラ
- 発見・提案・改善
- 圧倒的当事者意識
- やりぬく
ノーリツグループ
ビジョン(目指す将来像)
- 2020年、世界で戦えるノーリツグループ
ミッション(果たしたい使命)
- 新しい幸せを、わかすこと。
バリュー(価値観)
- 品質を最重視し、一歩先ゆく製品・サービスを提供します
- 公平、公正、透明性ある活動をします
- 社員と共に成長し、社会に貢献します
- 情熱をもって変革、挑戦、創造します
幸楽苑ホールディングス
ビジョン(目指す将来像)
- 何よりも美味しい商品を提供し続ける
- 日本一の外食産業になる
- そして、世界に進出し、我々のらーめんをグローバルスタンダードにする
ミッション(果たしたい使命)
- より多くの人々の、よりふだんの食の場面に、よりおいしい味で、より低い価格の商品を、より速いスピードで提供する事に私達は喜びを持とう
- 働く人たちが、やりがいと生涯設計の持てる会社にしよう
バリュー(価値観)
- お客様を大切にする
- お取引様を大切にする
- 働く人達を大切にする
- そして誠実に努力する
ビジョン、ミッション、バリューの重要性
事業を円滑に進めるためには、ビジョン、ミッション、バリューをきちんと決めておく必要があります。
組織というものは、従業員がバラバラの方角を向いていては成り立ちません。会社が成長すれば自ずと従業員は増えますし、年月とともに人材が入れ替わることもあるでしょう。
そんな中でも、常に全員が同じ方向を向いて行動するためには、しっかりとした羅針盤が必要です。それが、ビジョン、ミッション、バリューなのです。
どこに向かうべきかがはっきりと示されていれば、従業員が判断に迷うような時でも、あるいは経営者自身が大きな選択をせまられるようなことがあっても、誤った判断・選択をすることはないでしょう。
「経営理念」と「企業理念」とは
ビジョン、ミッション、バリューに関連して、「経営理念」「企業理念」について少し触れたいと思います。
経営理念とは、「企業の活動や方針のもととなる基本的な考え方」のことです。組織が目指すべき方向を示す指針であり、組織の存在意義・使命といった価値観を表す言葉であることから、経営理念を、「ビジョン」「ミッション」「バリュー」の3つに分けている企業も多数あります。
一方、企業理念とは、創業者が起業時に掲げるもので、「なぜこの会社を創ったのか」という創業者の強い想いが表現されています。またそれは、ミッションやビジョンにも反映されていることから、企業理念と経営理念を同義とする人も多いでしょう。
しかしながら、企業理念と経営理念は本来違うものです。創業者が起業時に掲げる「企業理念」は、たとえ経営者が変わったとしても、その会社が存在する限り変わることのないものです。
これに対し、「経営理念」は、時代の変化や経営者交代による方針転換に伴って変わることもありますので、覚えておくと良いでしょう。
長く同じ仕事を続けていれば、時に、「何のために毎日これを作っているのだろう」「なんで毎日笑顔で接客しなきゃならないんだろう」と考えてしまうこともありますよね。
そんな時にこそ、自社の「ビジョン」「ミッション」「バリュー」を思い返してみてはいかがでしょうか。