キリンビールの社内ベンチャーとして発足したスプリングバレーブルワリーがユニークな月額制サービス「CLUB BTG」を銀座で開始する。月額2,496円(税込、以下同)で1日1杯、好きなクラフトビールを選んで飲めるという内容だ。大きさはレギュラーサイズ 250mlで17種類を用意している。期間は2019年6月17日から2020年9月末までの平日限定。同社では「クラフトビールを通じた働き方改革」とアピールする。
どんなサービスなの?狙いは?
これまで代官山、横浜、京都、銀座の4店舗でクラフトビールが楽しめる店舗を展開してきたスプリングバレーブルワリー。CLUB BTGでは銀座界隈で働く20~30代のオフィスワーカーを対象にクラフトビールの魅力を伝えていく。ショップは、東京メトロの銀座駅からもアクセスが良いGinza Sony Park B4に設置した。スプリングバレーブルワリー代表取締役社長の島村宏子氏は「仕事終わりの有意義な時間を過ごす選択肢のひとつになれたら」と話し、今後の盛り上がりに期待を寄せる。
サブスクリプションサービスと言えば、Apple Musicなどの音楽サービス、Netflixなどの動画配信サービスを思い浮かべる人も多いだろう。しかし今回の取り組みで運営面をサポートするfavy 代表取締役社長の高梨巧氏は「サブスクは、実は飲食サービスとも相性が良いんです」と説明する。その理由とは?
従来型の飲食店では、売上=飲食代金だった。サブスクを導入すると飲食代金は減るが、固定の売上が見込まれる。また、会員には「お得に利用したい」という心理が働くので来店頻度が高まり、"ついで買い"などによる売上拡大も期待できる。そうなれば、会員向けに割引や特典を用意しても、トータルでは売上が伸びるという理屈だ。
「飲食店にサブスクを導入すると、店員は来店者の顔や好みを覚えて接客の質が向上します。お客様の側でも居心地がよくなり、リピート率が上がります」(高梨氏)。同社では、すでに月額制のコーヒースタンド「coffee mafia」を運営中で、そのノウハウをCLUB BTGにも活かしていく。
ちなみにクラフトビールのレギュラーサイズ 250mlの通常価格は500円。月額2,496円という料金設定は、1人あたり平均で月5回の来店を見込んでつけた。「もともと、店舗の平均客単価は1,200~1,800円くらいです。今回のサービスの導入後には、売上が2割ほど増えることを見込んでいます」と島村氏。
もっとも、店舗でビジネスをするというよりは、広告としての役割も大きいそう。島村氏は「CLUB BTGの取り組みを知って、クラフトビールを飲んでみようというお客様も増えるのではないでしょうか。クラフトビールの認知が広がり、市場が盛り上がれば嬉しいですね」と続けた。また、高梨氏は「お客様が挑戦できるのがサブスクの良いところ。普段は飲まないけれど、今日は苦手な黒ビールに挑戦してみようかな、そんな利用シーンも考えられます」と話す。
「クラフトビールを通じた働き型改革」を掲げた島村氏。その狙いについて「働き方改革により残業時間が減り、自分の時間ができます。そこで、人はどう過ごすべきか考えるでしょう。そんな時代に、クラフトビールが脇役として寄り添えたら。働く人たちの時間を有意義なものにする、生活を豊かにする一助になれれば幸いです」と話していた。