京成電鉄は11日、千葉県警および女子プロレス団体「Marvelous(マーベラス)」と共同で、京成船橋駅にて痴漢撲滅イベントを実施した。「Marvelous」代表の長与千種さんらが登壇してのトークイベント、駅構内を巡回しての啓発活動などが行われた。
今回のイベントは、関東エリアの鉄道事業者と警察が連携して行っている痴漢撲滅キャンペーン(6月1~15日)の一環で実施。船橋市を拠点に活動する「Marvelous」の代表を務める長与千種さんに続き、同団体に所属する彩羽匠選手、門倉凛選手、桃野美桜選手が千葉県警の制服姿で登壇した。長与さんを一日鉄道警察隊長、彩羽選手、門倉選手、桃野選手を一日鉄道警察隊に委嘱し、ステージ上で委嘱式が行われた。
長与さんは制服を着用しての感想を「似合っていると思います。先ほど少し道を歩いたら、みんなから退かれました(笑)。痴漢撲滅のため、私がうろうろしていたほうが良いのではないかと思いました」とコメント。痴漢に遭った経験の有無を聞かれた長与さんは「あります! 若いときに」と即答し、「10代の頃、電車ではなく映画館でしたけど、固まってなにも言えないんですよね」と振り返った。
トークイベントでは京成船橋駅長や千葉県警の警察官とともに、ワンポイント護身術や駅係員に助けを求める方法の実演などが行われた。
途中、警察官の希望で桃野選手がプロレス技をかける場面や、昨年、長与さんが札幌市内の駐車場で負傷したときの様子を再現する場面も。「人助けで行ったのですが、私たちは手を出すことができないんです。そのときこういう状況になりまして……」と、長与さんは彩羽選手の手を強く握りながら説明。腕を伸ばした状態のまま手を離さず、横にずれながら円を描くような動きを取ることで、相手が蹴りなどの攻撃をしても届かず、身を守れるのだという。ただし、「ここで力を入れてしまうと、私のときみたいに折られます」(長与さん)。駆け付けた警察官の親身な対応にも感謝していた。
長与さんからは、痴漢対策として「体を触られていると意識したら、相手の指を持ってください。指です」と言って彩羽選手の指をつかみ、手をひねりながら体を寄せ、「『やめてください』『すみません、痴漢です』と、勇気を持って言ってください」とのアドバイスも。「その言葉で、周りの人たちも相手の顔を認識すると思います。黙ってしまい、そのまま泣き寝入りしたら絶対に後悔します。被害に遭ったら声を出すように努めてほしいと思います」と話した。
今回のイベントでは、マスコットキャラクターの「京成パンダ」(京成電鉄)、「チーバくん」(千葉県)、「シーポック」(千葉県警察)も登場。登壇者によるフォトセッションの後、長与さんらは痴漢撲滅を呼びかける構内放送を行い、京成船橋駅の改札口・コンコースとホームを巡回した。駅構内でチラシ類の配布が始まると、周囲に多くの人が集まり、長与さんや各選手に握手を求めるファンの姿も多かった。