6月12日、第78期A級順位戦の佐藤康光九段―久保利明九段戦と、B級2組の全12局が行われます。この13対局がA級からC級2組まで全クラスを通じて今期本棋戦の開幕局、翌年3月までの長丁場が今年もスタートしました。
現行ルール最後の順位戦がA級佐藤―久保戦など13局でスタート
順位戦は最高クラスのA級からC級2組まで5クラスに分かれていて、定員が原則10人のA級、13人のB級1組は総当たりのリーグ戦、B級2組以下は所属棋士が抽選によって決められた相手との10対局を行います。成績によって、翌期ひとつ上のクラスへの昇級、またひとつ下のクラスへの降級がありますが、B級2組以下のクラスでは1期のみ成績が悪くても降級することはなく「降級点」がつきます。B級2組、C級1組は降級点2つでひとつ下のクラスへ降級、C級2組は降級点3つでフリークラス棋士(※順位戦に参加しない棋士)となります。A級で優勝した棋士は時の名人への挑戦権を獲得します。
現行のルールでは、昇級枠はC級2組→C級1組のみ3人で、C級1組→B級2組、B級2組→B級1組、B級1組→A級が2人となっていますが、6月7日、日本将棋連盟棋士総会においてこの制度が一部変更になることが決まりました。発表によれば、C級1組からB級2組、B級2組からB級1組への昇級枠が現行の2人から3人に増え、それに伴いB級1組からの降級枠が2人から3人に増えるとのこと。また、降級点の制度にも細かな変更が加えられます。新制度は来期第79期から適用され、その後5年おきに見直しを行うとされています。
現行ルール最後の順位戦となる第78期、12日の注目対局に触れておきましょう。
A級の対局はこれまで62局の対戦があり、成績は佐藤九段の35勝、久保九段の27勝。タイトル戦番勝負でも3度顔を合わせていて、2008年度の第34期棋王戦と、次期第35期棋王戦の五番勝負はいずれも3-2で久保九段が、2011年度の第61期王将戦七番勝負は4-1で佐藤九段が制しています。A級での対戦は11局を数え、佐藤九段7勝、久保九段4勝となっています。
前期C級1組で50歳昇級の快挙を成し遂げたB級2組22位・杉本昌隆八段の相手は、A級在籍、タイトル挑戦経験を持つ実力者・阿部隆八段。杉本八段と同時に昇級した近藤誠也六段は、今期B級2組は在籍25人のため各棋士1回ずつ回ってくる「抜け番」に当たり、12日の対局はありません。
前期もさまざまなドラマが生まれたこの棋戦、今期はどんな展開が待ち受けているのでしょう。13日にB級1組とC級2組、18日にはC級1組の対局が行われ、全クラスがスタートします。