『平家物語 犬王の巻』(古川日出男著/河出書房新社)が、タイトル『犬王』として長編アニメーション映画化されることが決定した。

後世日本の文学や演劇などに大きな影響を与えた軍記物の名作「平家物語」。その現代語訳を手掛けた古川日出男により「平家物語」に連なる物語として、南北朝~室町期に活躍し、世阿弥と人気を二分した能楽師・犬王の実話をもとに新たに生まれた『平家物語 犬王の巻』が、ミュージカル・アニメーションとして描かれる。

600年以上の歴史を誇り、現存する世界最古の舞台芸術と言われる “能楽”を題材とする本作の映像化にあたり、監督を務めるのは、最新作『きみと、波にのれたら』の公開を6月21日に控えるアニメーション監督・湯浅政明。本作では自身初の“能楽”のアニメーション化に挑戦する。今回、湯浅監督と『ピンポン THE ANIMATION』以来5年ぶり、2度目のタッグを組み、キャラクター原案手掛けるのは6月12日より新連載『東京ヒゴロ』(ビッグコミックオリジナル/小学館)がスタートしたばかりの漫画家・松本大洋。原作『平家物語 犬王の巻』の装画を務めた松本が、初めて小説原作のキャラクター原案を手掛ける。そして、脚本はドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』『アンナチュラル』などを手掛けた野木亜紀子が担当。向田邦子賞、市川森一賞をW受賞した野木が自身初のアニメーション映画脚本に挑む。

■古川日出男のコメント
私が書いたのは芸能についての小説だ。芸能とは歌であり演奏であり、感情、感動である。私は文字だけでその物語化を成し遂げようと試みた。今回、それらは一冊の本の内側から解き放たれる。すなわち音が、声が、色彩が。それから感情が、もちろん感動が。その監督やその脚本家やそのキャラクターの設計家や、音楽家や、その他その他によって、それらはついに放たれるのだ。

■湯浅政明のコメント
歴史にはわずかにしか書き記されていない、「犬王」という猿楽師を大胆に解釈された古川さんの物語。野木さんの脚本。松本さんのイメージ。・・・これは面白くなるしかないですね。楽しみにしててください!

■松本大洋のコメント
湯浅監督はじめ作品に関わる人間が楽しんで作ることができたら、きっとすごいアニメーションになると期待しています。僕も邪魔にならないように、少しでも力になれたら嬉しい。

■野木亜紀子のコメント
古川さんが著した『平家物語 犬王の巻』を読んだときの高揚と切なさをどう脚本に落としこむのか、地の文からどう世界をすくい上げるのか、難しくもやり甲斐のある仕事でした。アニメ表現は無限であり実写の何倍も出来上がりの予想がつきません。松本さんのキャラクターと湯浅監督が織りなす『犬王』がひたすらに楽しみです。

およそ600年の時を超えて、歴史に消えたポップスター・犬王が現代に再び姿を現すとき、どんな物語が謳われるのか――。映画『犬王』の日本公開は2021年の予定となっている。

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