キヤノンが2019年3月に発売した小型&低価格のフルサイズミラーレス「EOS RP」が堅調に推移しています。調査会社のBCNが6月7日に発表したフルサイズミラーレスの販売台数シェアでは、ソニーの「α7 III」に続く2位を獲得。α7 IIIとの差は大きいものの、実力派ぞろいのフルサイズミラーレスで2位となったのは注目できます。
改めて、最大のライバルといえるα7 IIIとの比較を交えつつ、EOS RPのポイントを「外観編」と「実写編」の2本立てでレビューしていきましょう。
EOS Kiss X9iよりも軽いボディ
EOS RPは、有効2620万画素のフルサイズセンサーを搭載したミラーレスカメラです。注目ポイントは、気軽に持ち運べる小型軽量ボディと、フルサイズミラーレスでは意欲的な低価格を実現したこと。まず、コンパクトに仕上がった外観をチェックしていきましょう。
EOS RPを手にした第一印象は、「フルサイズセンサー搭載なのにボディが小さくて軽い!」ということ。外形寸法は幅132.5×高さ85×奥行70mmで、バッテリーとメモリーカードを含めたボディ重量は約485g。同社の売れ筋APS-C一眼レフ「EOS Kiss X9i」は、バッテリーとメモリーカードを含めた重さが約532gなので、なんとEOS Kissよりも軽いのです! フルサイズEOSでは最小・最軽量のボディこそが、EOS RPの一番の魅力といってよいでしょう。
EOS RPとソニーα7 IIIで撮り比べる
EOS RPのライバルとなるのが、ソニーのフルサイズミラーレス「α7 III」です。α7 IIIは2018年3月の発売以来、常に販売ランキングの上位を維持し続けている人気機種。EOS RPに比べると価格はやや高めですが、フルサイズミラーレスの入門用に最適という点で、まさにライバルと呼べる存在です。この2台を使い、同一シーンを撮り比べてみました。
どちらも、ディテールまでくっきりと描写する表現力を確認できますが、解像という点ではローパスフィルターの効果が弱めであるα7 IIIが一段上といえそうです。発色については、全体に青っぽい色合いになっているα7 IIIに対して、EOS RPは見た目の印象に近い、より自然な色合いだと感じました。
高感度撮影時はノイズ処理の傾向に違いが
続いて、高感度撮影時の画質をチェックしました。ノイズリダクションは、両機とも初期設定の「標準」を選択していますが、その処理の傾向には違いが見られます。α7 IIIは、ISO12800を超えるあたりからザラザラとしたノイズが見られますが、細部のシャープネスは維持できています。EOS RPは、ISO12800や25600でもノイズはあまり目立ちませんが、その分細部がややつぶれ気味です。どちらがよいかは、好みが分かれるところでしょう。
個人的には、ふだん使っているα7 IIIの高解像に満足している一方で、被写体によってはモアレに悩まされることも少なくないので、EOS RPのしっかりとしたローパスフィルターの効果は扱いやすいと感じます。次回の実写編では、EOS RPで撮影した写真をより詳しく見ていきましょう。