日本野球機構(NPB)とコナミデジタルエンタテインメント(KONAMI)は6月10日に、「eBASEBALL プロリーグ(以下、eBASEBALL)」2019シーズンの概要を発表した。
eBASEBALLは、KONAMIの野球ゲーム『実況パワフルプロ野球 2018(以下、パワプロ)』(今シーズンでは2019年度版プロ野球データを反映させたもの)を使用するeスポーツリーグ。実際のプロ野球各球団に所属する「eスポーツ選手」によって試合が行われる。
2019シーズンも徹底して“もうひとつのプロ野球”
「野球ゲームのeスポーツリーグ」だけ聞くと、もの珍しさはないかもしれない。しかし、eBASEBALLはNPBが手掛けるプロリーグ。“もうひとつのプロ野球”をテーマに掲げているだけあって、ただのパワプロ大会とはひと味違う。
まずはリーグの構成だ。「NPBが手がけるプロ野球初のeスポーツリーグ」として注目を集めた2018シーズンは、「プロテスト」「eドラフト会議」で球団選手を決定し、「eペナントレース」「eクライマックスシリーズ」「e日本シリーズ」で日本一を決めるという、プロ野球と同じ流れを徹底した。さらに、eドラフト会議や試合には各球団のマスコットキャラも参加。会場を盛り上げた。
大まかな流れは2019年シーズンも昨シーズンと同様。昨シーズンにはなかった「セ・パ交流戦」を新たに追加し、プロ野球の流れにより近づけた。
レギュレーションでは、球団選手の人数が変更。2018シーズンで各球団3人だった選手数を4人に拡大するとともに、前シーズンから継続して契約できる選手を2人までに限定した。つまり、今回は最低でも1人を契約解消し、新たなeスポーツ選手を2人以上球団に迎える必要があるというわけだ。
もちろん、継続契約選手がゼロのケースも考えられる。思うように結果が出せず、契約更新できないというのは、まさに厳しいプロの世界といったところだろう。ただし、2018シーズンのe日本シリーズに進出した「埼玉西武ライオンズ」「横浜DeNAベイスターズ」の2チームで継続契約がなかった選手はプロテストが免除され、それ以外のチームで継続契約がなかった選手はオンライン予選が免除される。なお、eドラフト会議では、継続契約プレイヤーの少ない球団から優先的に指名できるようになる。
今回、各球団で継続契約が決まった選手は以下の通り。昨シーズンはプレイヤーネームで試合が行われたが、2019シーズンからフルネームで登録されるとのことだ
セ・リーグの継続契約選手名(プレイヤーネーム) | |
横浜DeNAベイスターズ | 河合祐哉(AO)選手、大茂英寿(ヒデナガトモ)選手 |
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広島東洋カープ | 大寺量亮(ゴジラ)選手、倉前俊英(カイ)選手 |
読売ジャイアンツ | 館野弘樹(てぃーの)選手、吉田友樹(たいじ)選手 |
中日ドラゴンズ | 継続契約選手なし |
阪神タイガース | 森翔真(ショーラ)選手、辻恭平(ベルガモット)選手 |
東京ヤクルトスワローズ | 継続契約選手なし |
パ・リーグの継続契約選手名(プレイヤーネーム) | |
埼玉西武ライオンズ | 緒方寛海(なたでここ)選手、神谷将徳(ミリオン)選手 |
福岡ソフトバンクホークス | 加賀谷颯太(ケーバック)選手、三好航太郎(さんらいく)選手 |
北海道日本ハムファイターズ | 木滑達也(ビッシュ)選手、鴇田貴大(TOKING)選手 |
オリックス・バッファローズ | 指宿聖也(みっすん)選手、木村智亮(いちろー)選手 |
東北楽天ゴールデンイーグルス | 岡田郁斗(okd)選手、井上将旭(MASA)選手 |
千葉ロッテマリーンズ | 清野敏稀(イッキー)選手、下山祐躍(スンスケ)選手 |
NPBが見せる“本気のキャスティング”
そのほか、2018シーズンからの大きな変更点は、ゲーム内に収録されている「OB選手キャラクターの起用」が可能になったことだ。ゲームとはいえ、「レジェンドOB選手 vs 現役のスター選手」という夢の対戦カードも実現できる。
しかも今回、OB選手を起用するにあたり、日本プロ野球名球会の全面協力を得ることになった。発表会では日本プロ野球名球会 幹事の駒田徳広氏が登壇し、「今年もeBASEBALLが開催されることは非常に喜ばしいこと。去年は解説者として参加させていただきましたが、NPBの試合と変わらない臨場感や感動がありました。今年はOB選手も参加できるので、より幅広い層が楽しめるのではないでしょうか。名球会もさまざまな面でバックアップしていきたいと考えています」とコメント。さらには、王貞治氏からのビデオメッセージも贈られた。
加えて、元東京ヤクルトスワローズ監督・解説者の真中満氏がeBASEBALLの応援監督に就任。発表会では「応援監督 任命式」として、専用の帽子をNPB コミッショナーの斉藤惇氏から授与された。
2018シーズンでも駒田氏や真中氏は解説としてeBASEBALLに参加していたが、そこからさらに一歩踏み込んだ協力を得るだけでなく、王氏まで巻き込むところにNPBとKONAMIのリーグに対する本気さが伺える。両者がここまで力を入れるeBASEBALL、eスポーツファンだけでなく野球ファンも必見だ。
また、2019シーズンでは、選手や球団の応援グッズや優先席チケットの販売など、2018シーズンになかった新しい取り組みの検討も進めているとのことなので、そのあたりの続報にも注目したいところだ。
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