第1期ヒューリック杯清麗戦の予選は6月4日に全対局を終え、本戦進出者4人が出そろいました。
6勝通過、2敗失格システムの予選を一番乗りで通過したのは、5月16日の対局に勝ってただ一人6戦全勝とした中村真梨花女流三段。その後、5勝1敗で生き残った6人の女流棋士の中から、29日に頼本奈菜女流初段、31日に里見香奈女流四冠、6月4日に甲斐智美女流五段が勝って本戦入りを果たしました。
本戦初戦の組み合わせは、里見女流四冠―頼本女流初段戦、甲斐女流五段―中村女流三段戦となりました。前者は公式戦初手合、後者はこれまで甲斐女流五段12勝、中村女流三段9勝となっています。両対局の勝者同士で、栄えある初代「清麗」を決める五番勝負が行われます。
中村女流三段は予選で渡部愛女流王位、タイトル獲得経験のある上田初美女流四段、香川愛生女流三段らを破っての本戦進出。タイトル戦に登場すること3回、すべて里見女流四冠の厚い壁にはね返されていますが、一番乗りの勢いを本戦でも維持し、悲願の初タイトルを狙います。
言わずと知れた第一人者・里見女流四冠は、現在第30期女流王位戦で渡部女流王位に挑戦中。シリーズ成績は第3局までで2勝1敗、タイトル奪取&女流五冠まであと1勝としています。この新棋戦も制しての、自身の記録を更新する女流六冠も視野に入りました。
甲斐女流五段はタイトル獲得7期と実績十分。里見女流四冠はタイトル戦登場41回で敗退を6回しか経験していませんが、そのうちの2回がこの甲斐女流五段との番勝負です。今期予選でも里見女流四冠に唯一土をつけたのがこの人。第一人者に対しても当たり負けしない地力を本戦でも発揮するか。
実績十分の先輩に混じり四強入りの頼本女流初段は、2017年2月のプロ入り後3回目、アマチュア時代に参加した2016年度の第10期マイナビ女子オープンを含めれば4回目の女流棋戦予選通過。まずは本戦初戦、里見女流四冠とのファーストコンタクトでファンに成長した姿を見せたいところ。
奇しくも、序盤に飛車を左側に移動させる「振り飛車」が得意な「振り飛車党」4人が集結した本戦となりました。両者ともに振り飛車の「相振り飛車」が中心の本戦になると予想されますが、里見女流四冠は時おり「居飛車」を選択することもあり、また予選の里見―甲斐戦は後手の甲斐女流五段が居飛車穴熊で里見女流四冠得意の中飛車を破っていますので、先後や組み合わせのアヤによっては居飛車vs振り飛車の「対抗形」が見られるかも知れません。
初代「清麗」を決める本戦は、6月14日の甲斐―中村戦でスタートします。