家賃や食費、水道光熱費など生活費の全てを自分で負担する「一人暮らし」。お金を好きなように使える自由はありますが、給料日前になるとやりくりに苦労することもあるのではないでしょうか。本稿では、一人暮らしの貯金に関するデータをご紹介し、無駄使いをせず計画的にお金を貯める方法について解説していきます。

  • 一人暮らしの平均貯金額はいくら?

    一人暮らしの平均貯金額はいくら?

一人暮らしの平均貯金額は?

一人暮らしをしていると、実家暮らしの人と比べてどうしても出費がかさむもの。「日々の生活で精いっぱい、貯金なんてできない」という悩みもよく耳にします。では、世の中の一人暮らしの人は、どのくらいお金を貯めているのでしょうか。

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]平成30年調査結果」によると、単身者(一人暮らし)の金融資産の保有額は、平均が744万円、中央値が50万円という結果になりました(金融資産を保有していない世帯を含む)。ちなみに中央値とは、数字を大きさの順に並べた時にちょうど真ん中に位置する値を指しており、より実状に近い数値と言うことができます。

それでは次に、年代別の貯金額を見ていきましょう。

金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
20代:平均128万円 中央値5万円
30代:平均317万円 中央値40万円
40代:平均657万円 中央値25万円
50代:平均1,043万円 中央値100万円
60代:平均1,613万円 中央値500万円

こちらのデータのうち、全体では38.6%が金融資産非保有世帯となっています。年代別に見てみると、20代では45.4%、30代では39.7%、40代では42.6%、50代では39.5%、そして60代では26.7%が金融資産を有していない世帯です。

金融資産を保有していない、つまり、貯金を全くしていない単身世帯は20代で約45%、30代で約40%もいるということです。では、金融資産を保有している世帯のみの金融資産保有額はどのくらいなのでしょうか。こちらは、全体での平均は1,234万円、中央値は350万円となっています。年代別には、以下の通りです。

金融資産保有額(金融資産保有世帯)
20代:平均239万円 中央値85万円
30代:平均533万円 中央値250万円
40代:平均1,177万円 中央値500万円
50代:平均1,762万円 中央値711万円
60代:平均2,218万円 中央値1,100万円

金融資産がある人のみのデータを見てみると、一人暮らしであってもしっかり貯金をしている人が一定数存在することがわかります。「収入が多ければ、一人暮らしでも貯金ができる」と思うかもしれませんが、金融資産がある人のうち年収が300万円未満の人でも、貯金額の平均は870万円、中央値は200万円もあります。一人暮らしだから、収入が少ないから、貯金ができないのではありません。お金の使い方に自分なりのルールを設け、さらにお金を貯める仕組みを持つことで一人暮らしでも計画的に貯金ができるのです。

ちなみに、同調査によると、単身世帯の「年間手取り収入(臨時収入を含む)からの貯蓄割合」は、平均で12%(金融資産保有世帯)でした。年代別では、20代で15%、30代で14%、40代で13%、50代で11%、60代で8%です。単身世帯の場合、収入に対する貯蓄・投資の割合は20%が理想ですが、人によっては難しいこともあるでしょう。無理をしない範囲で毎月の貯蓄額を設定し、「先取り貯蓄」でお金を貯めることが大切です。先取り貯蓄をするには、金融機関の「自動積立定期預金」や勤め先にある場合は「財形貯蓄制度」などの利用がおすすめ。毎月自分で貯金分を別口座に振り分ける必要がなく、給与から天引きで貯金の仕組みを作ることができます。

一人暮らしの節約術

お金を計画的に貯めるには、難しいことをしなくても、先に貯金をして残りのお金を生活費や好きなことに使えばいいのです。「でも、貯金をすると生活費が足りなくなりそう」と不安なら、お金の使い方を見直してみましょう。まずは、家賃や通信費、保険料など毎月定額の支払いが発生する固定費に着目し、無駄がないか確認してみます。固定費は、一度見直せばその後も節約効果がずっと続くうえ、大きな金額が省けることもあるからです。特に家賃は、家計に占める割合が大き過ぎると負担がかかります。一人暮らしなら、家賃は収入の30%を超えないようにし、できれば25%程度に抑えるようにしましょう。

また、一人暮らしで要注意なのは食費です。頻繁に外食やコンビニ買いなどをし、食費がかさんでいる人は多いのではないでしょうか。いきなり毎日は大変ですので、「週〇日は自炊する」などまずは緩やかなルールを設け、少しずつ節約意識を持つようにすると無理がありません。

一人暮らしでも工夫次第で貯金はできる

一人暮らしだと、生活費の負担が重いことに目が行きがちで、「貯金や節約は難しい」と考えてしまうものです。しかし、お金の使い方を自分一人で決められることは、一人暮らしのメリットと言えるでしょう。先取り貯蓄や固定費の節約などといった工夫を重ねれば、貯金ができるだけでなく、無駄遣いをなくし好きなことに使えるお金が増えるかもしれません。一人暮らしの人は特に、いざという時のお金をしっかり備えておきたいもの。すぐにでも貯金をスタートしてみましょう。