いよいよクライマックスを迎える窪田正孝主演のフジテレビ系月9ドラマ『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~』(毎週月曜21:00~)。フジでは、『救命病棟24時』『白い巨塔』『Dr.コトー診療所』『コード・ブルー』、昨年も『グッド・ドクター』など、さまざまな人気医療ドラマを生み出してきたが、今作はこれまでスポットが当たらなかった“放射線技師”に注目した異色作となっており、視聴率も堅調だ。
このドラマのメインディレクターを務めるのは、『ロングバケーション』『古畑任三郎』『ショムニ』『HERO』など、同局を代表する大ヒットドラマを手掛けてきたほか、1月に公開された木村拓哉主演の映画『マスカレード・ホテル』のメガホンも取った鈴木雅之監督。そんな監督の作品を見続けてきた「テレビ視聴しつ」室長の大石庸平氏が、久々に連ドラを演出する心境や過去作の秘話、独創的な演出のきっかけなどを聞いた――。
■連ドラのスピード感に…
――鈴木監督が連続ドラマを担当するのは、木村拓哉さん主演の『HERO(2)』(14年)以来5年ぶり、続編以外となると『PRICELESS~あるわけねぇだろ、んなもん!~」(12年、木村拓哉主演)以来7年ぶりとなります。今回『ラジエーションハウス』を担当されることになった経緯を教えてください。
ちょっと管理職(ドラマ制作セクションの第一制作室長)をやっていて、映画はオファーが来るから撮ったりしてたんだけど、連ドラは自分がオファーする側だったので、それができなかったっていうのがあったんですよ。でも、そんなに連ドラをやってなかったかぁ。久しぶりだったから、今回大変だったんだ(笑)
――久々だったので、意気込みもあったんじゃないですか?
意気込みっていうか、尻込みしてましたよ(笑)。連ドラはやっぱりスピードが大事なんですよ。最初は連ドラのスピードについていくのが大変でした。やっぱりテレビってある程度勢いでやり切るみたいなところがあるんだけど、それを思い出すまでにちょっと時間がかかった感じですね。
――いろんな職業ドラマをやられていますが、今回は監督にとって初めての医療モノですよね。
実は1回だけ、『古畑任三郎』でやったんですよ。
――緒形拳さんが犯人役を演じた “おみくじ殺人”の回(99年「黒岩博士の恐怖」)ですね。
そうそう! あれを医療モノって言うのは違うかもしれないけど、連ドラとしては初めてですね。
■医療ドラマは神経を使う
――何か準備されたことはあるんですか?
やっぱり医療モノは、気をつかわなきゃいけないことが色々あって。特に今回の舞台である放射線科というのはあまりドラマで取り上げられていないので、間違っちゃいけないっていうのが圧倒的にありました。専門用語いっぱい出てくるしね。例えば…言おうと思ったけど出なかった(笑)。それくらい難しいんですよ。
――具体的に、どんな部分に気をつかうんですか?
臓器がどこにあって、それをどうするかみたいなことをきちんとやらなきゃいけないじゃないですか。『コード・ブルー』とか本当に大変だったんだなって思いますよ。あの現場を見てても医療担当の人がどんどん疲弊していく感じだったから、今回自分がやってみてやっぱりそうだったんだなって実感しましたね。
そして、病院とか取材に行くんだけど、MRIのルールとか分からないじゃないですか。もちろん我々は一生懸命勉強するんだけど、それを視聴者の方に1時間で理解してもらうってことはなかなか難しいし、医療の説明をするためにドラマを作っているわけではないし、それでも視聴者の方に違和感なく見てもらうっていうのは相当神経を使うなって気がしましたね。
――監督は凝った映像も特徴的ですが、今回は初めての医療モノとあって、映像的なアプローチで何か工夫をしようとかはあったのでしょうか?
最初は体内の映像もあるのでCGを多用しようかなと考えました。だけどあまりCGを使っちゃうと、分からないものを説明するみたいになってリアルじゃなくなるので、途中でCGに頼りすぎないようにというのは意識しました。あとは、医療モノとは言っても人間ドラマなので、そこに対してはこれまでとは変わらずやろうと思いました。