年に1度の開発者イベント「WWDC」が2019年も開催されました。そのオープニングを飾る基調講演では、開発者向けに「Project Catalyst」が発表されていましたが、確かにこの技術は今後iPhone向けのアプリ開発に影響しそうです。

ただし、現時点のProject Catalystは「iPad向けにソースコードが準備されたアプリを比較的容易にMacアプリ化できる」技術です。iPhone/iPadの両方をターゲットにしたアプリ、またはiPadのみをターゲットにしたアプリは、わずかな作業でMacのユーザインターフェイスに最適化されたアプリとして動作するようになりますが、iPhoneに特化して開発されたアプリは含まれません。

実際、基調講演では2018年2月に開発終了がアナウンスされていた「Twitter for Mac」を例に、iOS版アプリの開発が容易になることを説明していました。寄せられたTwitterアプリ開発チームのコメントによれば、iPhone/iPad向けに開発されたアプリがMacで動作するようになるまでの日数は「just days(ほんの数日)」だそうですから、アプリを1つ作ればiOSデバイスでもMacでも動くようになる時代がやってきたといえそうです。

とはいうものの、操作性の感覚的な部分やピクセルレベルでの表示位置調整については、それぞれのデバイスで微調整を要する可能性があります。Appleが提供する純正機能(フレームワーク/API)はともかく、サードパーティー製フレームワーク/APIがわずかな作業で動作するかどうかも未知数です。

なお、Project Catalystの機能を利用するかどうかは開発者次第です。現在公開されているiOSアプリも、Project Catalystを使えばMacアプリとして動作する可能性はありますが、あくまでソースコードに手を加えられる段階での話ですから、App Storeに並んでいるアプリが軒並みMacで動くようになるとは考えないほうがいいでしょう。

  • 今後アプリを1つ作ればiPhoneでもMacでも動くようになるの?

    iPhone/iPad/Macのアプリ開発を1本化できる(かもしれない)「Project Catalyst」が発表されました