東京都内を歩いていると、とにかく街でメルセデス・ベンツをよく見かける。「Aクラス」「Cクラス」「Gクラス」などはいうに及ばず、時には超高級車「マイバッハ」とすれ違うことすらある。そんなメルセデスのラインアップの中で、個人的な感想で申し訳ないけれど、街中で出会う頻度が低いと感じているのが「Bクラス」だ。この度、フルモデルチェンジを経て3世代目となった新型「Bクラス」は、“街で見かけるベンツ”の仲間入りを果たせるのだろうか。
広い室内とユーティリティー性能が売り
メルセデス・ベンツ日本が「マルチパーパス(多目的)コンパクト」と呼ぶBクラスは、広い室内空間や多くの荷物が積める使い勝手のよさなどを売りにするクルマだ。同社の上野金太郎社長によると、2006年に発売した初代は「多彩な趣味を持つ若者」を中心に好評を博し、日本で累計3万台を販売したという。2012年には2世代目が登場しており、今回の新型が3世代目となる。
新型Bクラスは先代モデルの特徴だった「広い室内」と「ユーティリティー性能」を継承・強化しつつ、よりスポーティーなデザインを採用しているのが特徴だ。上野社長によれば、ターゲットカスタマーはヤングファミリーを中心に幅広く想定しており、「Aクラス」ではサイズが足りないと考えている人や、国産車からの乗り換えも含めた新規客なども新型Bクラスで取り込みたいという。
ちなみに、2018年末に発売となった新型「Aクラス」は、購入者の約6割が新規客だったらしい。上野社長は「Bクラス」でも新規客に訴求していく考えを示したが、このクルマについては新型の登場を心待ちにしている旧型のオーナーも多いそうだ。
コンサバからの脱却で台数増加?
メルセデス・ベンツには、AクラスをベースとするSUV「GLA」というクルマがある。Bクラスより少し値段は高いが、室内空間の広さや荷物を多く積める点など、BクラスとGLAはクルマとしての商品性に重なる部分があるような気もする。
その点について聞いてみると上野社長は、「SUVの魅力は日本市場で徐々に浸透しつつあるが、そうはいっても、通常のハッチバックで、SUVとの中間的なクルマをラインアップして、お客様に幅広い選択肢を提供することは重要」と回答。メルセデス・ベンツ日本としては、「AクラスからSクラスまで幅広くラインアップしているので、自分たちがお客様を型にはめるのではなく、自分に合った1台をお客様に選んでもらいたい」との思いで車種構成をそろえているそうだ。
では、新型Bクラスは、街で存在感を高められるのだろうか。「先代モデルはデザインがコンサバ気味だったが、新型はかなりスタイリッシュでスポーティーなクルマになっており、質感も高まっている。おそらく、他の車種同様、街で見かけるようになると思う」というのが上野社長の考えだ。納車開始は「B 180」が2019年7月、「B 200 d」が同10月頃を予定している。