エン・ジャパンはこのほど、「時間外労働の上限規制」に関する調査結果を明らかにした。同調査は3月27日~5月14日、人事向け総合情報サイト『人事のミカタ』を利用する企業724社を対象にインターネットで実施したもの。
「時間外労働の上限規制」は、「働き方改革関連法」のひとつ。従来、36協定の特別条項につき、規制がなかった残業時間に上限を設けるもので、大企業は2019年4月に施工された。中小企業は2020年4月から施行される。
同法を知っているか尋ねたところ、52%が「概要を知っている」、44%が「内容も含めて知っている」と答えた。同法の認知度は、96%であることがわかった。
「時間外労働の上限規制」についての見解を聞くと、66%が「非常に良いと思う」「まあ良いと思う」と回答した。その理由としては「ブラック企業の撲滅、労働者の命を守ることにつながる」「だらだらと居残ることを制限できる」「社員の過労を削減できる」などが挙げられた。
一方、31%が「あまり良いと思わない」「良くないと思う」と答えている。特に反対の意見が目立ったのは、企業規模別では「1~49名」、業種別では「広告・出版・マスコミ関連」だった。
理由は、「労働時間が減ったところで、従業員の負担が減るわけではない」「上限規制を設けても、取締りを強化しないと意味がない」「人員不足を解決してこその制度だと思う」といったものだった。
「時間外労働の上限規制」の対応状況について尋ねると、58%が「既に必要な対応が完了」「現在取り組んでいる最中」「対応が決まり、これから取り組む予定」と回答した。企業規模別では「1000名以上」、業種別では「金融・コンサル関連」で対応が進んでいることがわかった。
「対応策が決定している」と回答した企業に具体的な対応策について聞くと、最も多い回答は、「業務分担やフローの見直し」「管理職への教育(時間管理)」(各58%)だった。次いで「時間外労働の上限目標を厳格化」(53%)、「時間外労働の事前申請制度」(52%)と続く。
時間外労働時間(1カ月)の平均を聞いたところ、83%が「40時間以内」と回答した。1カ月あたりの時間外労働時間が多かったのは、企業規模別では「300~999名」、業種別では「流通・小売関連」だった。
時間外労働が発生する理由について聞くと、トップは同率で「常に仕事量が多いから」「人員不足だから」(各72%)だった。