WWDC 2019の基調講演では、アップルのiPhoneやiPad、Macなどで動くOSの新バージョンの新機能がお披露目されました。発表内容は大ボリュームで改良点は多岐にわたっていますが、ふだんiPhoneやiPadを使っている私たち一般ユーザーが注目しておきたい7つの新機能をまとめてみました。

  • 基調講演で発表されたiOSやiPad OSなどの新OSは、アプリ制作者だけでなく、一般ユーザーにとっても多くのメリットをもたらすことになる

個人情報を漏らさず他社のサービスにログイン「Sign in with Apple」

まず注目したいのが「Sign in with Apple」です。

さまざまなインターネットのサービスを利用する際、そのサービスにユーザー登録をしたうえでログインする方法もありますが、FacebookやGoogleなどのアカウント情報を利用してログインする方法も用意されています。ユーザー登録の手間が省けるので便利ですが、電子メールアドレスや住んでいるエリア、写真、友人などの個人情報もそのサービスに参照される可能性があり、プライバシーの面で心配があります。

  • 日本でも、FacebookやGoogleなどの情報を利用していろいろなWeb上のサービスにログインできるが、FacebookやGoogleが得ているさまざまな個人情報をそのサービスに参照される恐れもある

今回アップルが打ち出した「Sign in with Apple」は、Face IDやTouch IDによる認証だけで外部サービスへのログインができるのがポイント。一切の個人情報を提供する必要はありません。さらに、サービス側からメールアドレスを要求される場合も、Sign in with Appleが生成するランダムなメールアドレスを利用することで、本来のメールアドレスを隠すこともできます。

  • プライバシーを重視するアップルが打ち出したのが、セキュアに外部サービスにログインできる「Sign in with Apple」だ。Face IDやTouch IDによる認証をクリアするだけでよく、さまざまな個人情報を提供する必要は一切ない

  • 認証の際、自分のメールアドレスを提供するか、匿名のアドレスにするかを選べる

  • 匿名のアドレスはランダムな文字列で構成され、個人を特定することはできない

写真アプリは一覧性や編集機能が高まる

次に、写真アプリの強化にも注目したいと思います。特に、撮影後の編集や表示の機能がグンと強化されます。

これまで、写真アプリの編集機能はトリミングや色の調整など最小限しかありませんでした。iOS 13では、ホワイトバランスの変更をはじめ、編集機能がかなり強力になります。詳細は明らかにされていませんが、多機能で定評のあるGoogleの無料アプリ「Snapseed」に対し、機能や使い勝手でどれだけ迫れるか期待が高まります。写真だけでなく、動画の編集機能も大幅に強化されます。

  • 撮影した写真の編集機能が大幅に強化され、ホワイトバランス調整などが外部アプリを使わずにできるようになる

  • 動画の編集機能も強化される

一覧性も高まります。ピンチインやピンチアウトで写真のサムネイルの大きさをスムーズに変えられるほか、機械学習によって重複した写真を隠し、1日のハイライトの写真だけを表示する機能も加わります。多くの写真を撮りためている人にとって、ありがたい改良になるでしょう。

  • 写真アプリでのおなじみの表示スタイル。同じような構図の写真がズラリと並ぶこともあり、ベストな写真を探し出すのにも骨が折れる

  • 新OSでは、1日のハイライトの写真に絞って表示できるようになる。写真の大小もつけられ、閲覧性はグンと高まる