米Appleは6月3日(米国時間)、開発者カンファレンスWWDC 2019において、iOSの次期メジャーバージョン「iOS 13」を発表した。macOSに続いてiOSでもダークモードをサポート。外観の変化に加えて、内側でもシステム全体に及ぶアップデートが行われている。動作が軽快になったiOS 12からパフォーマンスがさらに向上し、写真/カメラ、リマインダー、マップなど様々なアプリに機会学習を利用した新機能が加わる。プライバシー関連でも新たな保護機能が提供される。正式版のリリースは2019年秋。対応デバイスはiPhone 6sシリーズ、iPhone 7シリーズ、iPhone 8シリーズ、iPhone X、iPhone XSシリーズ、iPhone XR、iPhone SE、iPod touch (第7世代)。iOS 12の対応デバイスに含まれていたiPhone 5sとiPhone 6シリーズ、iPod touch (第6世代)が外れる。

  • iOS 13

    ダークモードをまとって外観一新

昨年秋リリースのiOS 12は、古い端末の動作も改善するパフォーマンスの向上をアップデートの特徴としていた。そのシステム全般の最適化をiOS 13でも推進し、アップデートしたデバイスがより高速かつレスポンシブに動作するようになるという。例えば、Face IDによるアンロックが最大30%、アプリの起動が最大2倍高速になる。また、App StoreからiOS 13搭載デバイスに配信されるアプリが新しいパッケージになり、最大50%小さくなる (アップデートは最大60%縮小)。

ダークモードは、メニューや背景などiOSの外観をシステムワイドで暗い色調に変更する。ソリッドな外観になり、コンテンツを目立たせる効果もある。サードパーティもそれぞれのアプリにダークモードを組み込むことが可能。昼間は明るいライトモード、日没後にダークモードに自動的に切り替える設定も用意される。

  • ダークモード

    ダークモードではコンテンツが目立つように背景と前掲の色が調整される

「写真」アプリには、新たに日別、月別、年別のタブが用意された。機械学習を用いて、大量の写真やビデオが収められたライブラリから撮影に失敗した写真や同じような写真を隠し、よく撮れた写真をハイライトとして選ぶ機能が追加された。例えば、月別のタブでハイライトを見るだけで、その月に何をやっていたか簡単に把握できる。

  • 「写真」アプリの年別タブ

    年別のタブ、「写真」アプリが選び出したハイライトでその年の出来事を一目で思い出せる

「カメラ」アプリには、モノクロマティックな効果を加える「High‑Key Mono」がポートレートモードに加わり、直接ポートレートライティングの調整を行えるようになった。調整やエフェクトを自在にコントロールできるように「写真」の編集ツールのデザインを見直し、またビデオでも回転、クロップ、自動補正など様々な編集機能を使える。

  • ポートレートモード

    「カメラ」アプリから直接ポートレートライティングを調整

プライバシー関連では、新たに「Sign In with Apple」というサービスを提供する。Apple IDを用いた認証で、対応するアプリやWebサイトに簡単かつ安全にログインできる機能だ。ユニークなランダムIDのやり取りで、ユーザーのプライバシーを保護する。アプリやWebサイトが名前とメールアドレスを要求することは可能だが、その場合でもユーザーは一時的なメールアドレスを作成して渡すオプションを利用できる。作成されたメールアドレスへのメールは、ユーザーのApple IDのメールアドレスに転送される。他にも、位置情報サービスに、一度だけ位置情報を許可するオプション、バックグラウンドでのトラッキングの警告などが加わり、アプリとの位置情報データの共有をよりユーザーがコントロールできるようになる。

  • 「Sign In with Apple」でBirdアプリにサインイン

    便利だけどプライバシーの不安が残るSNSアカウントなどをログインに使いたくない人に「Sign In with Apple」を用意

マップは、ベースマップを再構築する作業が進み、米国において2019年末までに、道路や市街地の様子が詳細に表示される新しいマップのロールアウトが完了する。新しいベースマップと高解像度の3D画像の組み合わせによって、その場所に立っているように360度見回して散策できる「Look Around」という機能を利用できるようになる。新しい「Favorites」から自宅、職場、学校、よく行くカフェなどに簡単にアクセスでき、好きなレストランや旅行先の観光スポットなどを「Collections」にまとめておける。

  • 新旧のマップ比較

    左がロールアウトが始まった新しいマップ、右が従来のマップ

操作面では、iOSキーボードに「QuickPath」という入力方法が追加される。1文字ずつタップするのではなく、キーとキーの間を継続的に指をすべらせるだけでタイピングできる。また、カーサーの移動、テキストの選択、ドキュメントのスクロールなどをタッチ操作でより直感的に素早く行えるようになる。

他にも以下のような新機能の追加が行われる。

  • リマインダー: クイックツールバーで日付や場所、フラッグ、ファイル添付が容易に。Siriがリマインダーを提案。メッセージとの統合強化。
  • Files: iCloud Driveによるフォルダ共有。SDカードやUSBフラッシュドライブなど外部ストレージ、ファイルサーバーのファイルへのアクセスや管理をサポート。
  • Memoji/メッセージ: 髪型や帽子、メーキャップなどでMemojiをカスタマイズ、Memojiがステッカーパックに追加される。誰からのメッセージか一目で分かってもらえるように、メッセージのスレッドに表示する自分の名前、写真、Memoji/Animojiをカスタマイズ。
  • メモ: ギャラリー表示を追加。検索機能を強化。フォルダー共有によるコラボレーションが可能に。
  • Siri: より自然な声にアップデート。「ジムに行く」といった毎日の行動の自動化をSiri Shorcutsが提案。
  • ARKit 3: 人の周りに仮想オブジェクトを自然に配置、モーションキャプチャ。
  • AirPods: 新しいメッセージが届いたらSiriが読み上げ (Announce Messages on AirPods)。iPhoneやiPadからのオーディオを、他の人のAirPodsと共有 (Audio Sharing with AirPods)。
  • Audio Sharing with AirPods

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