第32期竜王戦ランキング戦4組決勝の菅井竜也七段―藤井聡太七段戦が5月31日、関西将棋会館で行われ、藤井七段が勝って決勝トーナメント進出を決めました。藤井七段は初出場の2017年度、第30期から3期連続の決勝トーナメント入り。また、ランキング戦3期連続優勝は木村一基九段(2001年度第14期~第16期、4組~2組)、永瀬拓矢叡王(2011年度第24期~26期、6組~4組)に次ぐ3例目の快挙です。
選ばれし11人! 最後の椅子は藤井七段
対局は先手の藤井七段が居飛車、後手の菅井七段が得意の力戦形振飛車を選択しました。終盤、菅井七段が藤井陣に攻め込みましたが、互いに手を変えられない形となり千日手が成立。先手、後手を入れ替えての指し直しとなりました。指し直し局は先手の菅井七段がこれも十八番の中飛車、後手藤井七段はいつもの居飛車を選択し、相手の主砲である飛車のいる中央に勢力を集中させ抑え込む作戦に出ました。藤井七段が有利な分かれで終盤を迎え、最後は自玉が安全な状態で攻めを決めました。
藤井七段の勝ち上がりにより、今期広瀬章人竜王への挑戦権を争う決勝トーナメント進出者がすべて決まりました。トーナメント表は画像の通りです。
トーナメント表を見渡しますと、やはり左端の豊島将之名人(三冠)と、そのさらに上に控える渡辺明二冠の強力さが際立ちます。竜王戦史上、5組、6組からの挑戦者は未だに現れず、4組から挑戦者が出た例がようやく3例となっていますが、今期も上2枚が相当手厚く、棋界の誰ならこの壁を破れるのか、探すのが大変な状況と言えます。
右のブロックには現役タイトルホルダーは1人のみ。初タイトルを獲得して波に乗る永瀬拓矢叡王です。ただし、先日名人位を失ったばかりの佐藤天彦九段や、A級に復帰を果たし次は悲願の初タイトル獲得に燃える木村一基九段など、タイトル経験者、A級経験者がひしめく状況で、安心とは程遠い状況でしょう。挑戦権獲得までは大変! 誰がどこから出ても大変です。
左から2番目、1999年度、第12期挑戦者である3組優勝の鈴木大介九段は2006年度第19期以来の決勝トーナメント出場。そして今期は弟子である梶浦宏孝四段(6組優勝)とのうれしいダブル出場となりました。前述の通りどちらも茨の道が待ち受けていますが、師弟による相乗効果、そろっての奮戦が期待できます。
この中から挑戦者決定三番勝負に進むのは、そして広瀬竜王への挑戦権を獲得するのは誰になるのでしょうか。初の5、6組からの挑戦権獲得、藤井七段ファン待望の初挑戦、はたまた夢の舞台での師弟対決実現? 選ばれた11人の棋士は挑戦権獲得に向け1局1局を勝ってゆくしかありませんが、ファンはそんな夢を見ながら、トーナメントを予想するのも一興です。決勝トーナメントは例年6月下旬に開始されています。注目しましょう。