インターネットイニシアティブ(IIJ)は、顧客のネットワークとGoogleの「Google Cloud Platform」(GCP)を、IIJの専用プライベートネットワークを介して閉域網で接続する「IIJクラウドエクスチェンジサービス for GCP Partner Interconnect」を5月28日より提供開始した。

  • 「IIJクラウドエクスチェンジサービス for GCP Partner Interconnect」を5月28日より提供開始

業務にさまざまなクラウドサービスを利用する企業が増えているが、インターネット網を通じて接続することで、不正アクセスなどセキュリティ上の問題やネットワーク遅延、接続障害といったトラブルに見舞われたり、各サービスとの接続設定を個別に行う必要があるなど、運用上の困難もある。これに対して「IIJクラウドエクスチェンジサービス」では、閉域網を使うことにより自社ネットワークとGCPの間に、インターネットからの不正アクセスを受けない安全なネットワークを構築でき、冗長かつ帯域保証や低遅延といったメリットが得られる回線を固定料金で利用できる(GCP側からのデータ送信は従量制)。

IIJはこれまでにもMicrosoft Azure、Office 365、Amazon Web Services(AWS)、IIJ GIOインフラストラクチャーP2などのクラウドサービスに対し、IIJが提供するプライベートネットワーク「IIJプライベートバックボーン」(PBB)を通じた閉域接続サービスを提供してきたが、今回ここにGCPが加わる形となった。PBBとGCPとの接続は、GCPの閉域網接続サービス「Google Cloud Partner Interconnect」を利用する。これにより、ユーザーは安全なネットワーク環境下で、シームレスに各クラウドサービスを選択して、マルチクラウド環境を柔軟に構築できるとしている。

  • 「IIJクラウドエクスチェンジサービス for GCP Partner Interconnect」のメリットを語るIIJネットワーククラウド本部ネットワークサービス課長の小野原雄平氏

同様に閉域網を使ってクラウドサービスに接続するサービスはいくつかあるが、IIJのサービスでは、オンプレミスのネットワークの運用(ネットワークインテグレーション)からPBBとの接続、閉域ネットワークサービス、そして各サービスとのライセンス購入や接続、構築といったシステムインテグレーションまで、必要に応じてワンストップで提供できる柔軟性が強みとなる。

  • 各サービスとの接続までIIJが管理することで、障害時の責任分担やサポートなどもスムーズに行われる点も、運用上のメリットになる

PBBとGCPの間は、耐障害性を考慮して異ルートおよびマルチキャリアによる冗長構成を取ることができ、安定した接続性が確保される。顧客の要望に応じて、災害復旧(DR:Disaster Recovery)対策として東京と大阪のマルチホーム構成も可能。こうした施策により、Googleが提供する最高レベルのSLA(Service Level Agreement:サービス品質保証)、99.99%に対応している。

  • 使用する回線はマルチキャリアに対応しており、主回線と副回線で異ルートの回線を使用することによる冗長性を確保。さらに関東圏、関西圏のロケーションを併用すれば、自然災害なども含めた障害対策が強化できる

サービスの参考価格は、50Mbpsの帯域を1ロケーションで利用する最小構成の場合で月額8万円から。IIJは今後3年間で200社の導入を目指すとのことだ。

  • 東西で帯域500MbpsのDR構成にした場合は初期費用15万円、月額38万円。すでに数百Gbps単位での接続契約している企業もあるという

  • クラウドサービスによるネットワーク設定などの違いを吸収してくれる点がメリットのひとつと語る、IIJシステムクラウド本部サービス総括部アライアンス担当部長の四倉章平氏

クラウドサービスを併用しようとすると、個別に設定や管理の手間がかかるが、こうした手間を省いてワンストップでシステムインテグレーションからネットワークサービスまで提供できる、IIJの強みが発揮されるサービスだ。今回、広く使われているGoogle Cloud Platformに対応したことで、さらに魅力を増すことになった。特に安定性を重視したい企業ユーザーにとっては重要な選択肢になるだろう。