ASRockはCOMPUTEXにて、世界初というThunderbolt 3グラフィックスカードや、Thunderbolt 3搭載AMDマザーボードを展示するなど、Thunderbolt 3に非常に力を入れている印象だ。
COMPUTEX2日目の5月29日に開催されたプレスカンファレンスでは、同社デスクトッププロジェクトマネージャのBill Chen氏がその狙いについて説明した。
同社はAMDの新チップセットX570搭載マザーボードで、Thunderbolt 3対応モデルを複数投入する。ハイエンドの「X570 Aqua」「X570 Creator」はもちろん、Mini-ITXモデルの「X570 Phantom Gaming-ITX/TB3」にまで搭載しているのは面白いところだ。
そしてMini-ITXサイズのThunderbolt 3グラフィックスカード「RX570TM-ITX/TBT」も発表している。まだRadeon RX 570搭載モデルしかラインナップしていないが、マーケットの反応次第では、今後拡充する可能性もあるだろう。この製品については、別記事を参照して欲しい。
また現状、Thunderboltでグラフィックス出力しようとすると、グラフィックスカードのDisplayPort出力とThunderbolt増設カードのDisplayPort入力を繋げる必要があったが、これだとケーブルがPCの外に出てしまっていて、スマートではなかった。
そこで、グラフィックスカードの新製品「Phantom Gaming U Radeon RX 590 8G OC」には、バックパネル側ではなく、側面にMini DisplayPort出力を用意。同じく基板の側面にMini DisplayPort入力を配置した新型のThunderbolt増設カード「Thunderbolt 3 AIC R2.0」と組み合わせれば、ケーブルをPC内部に移し、リアがスッキリする。
X570 Aqua/Creatorには、基板上にもDisplayPort入力が用意されているので、内部にDisplayPort出力があるグラフィックスカードを利用すれば、ケース内でケーブル接続することが可能になっている。
このように、2019年のASRockは、全体的にThunderbolt 3に関連する話題が多かった。どうしたのかと思っていたところ、Chen氏はカンファレンスで、グラフィックスカードのインタフェースについて言及。AGPのあと、長らくPCI Expressの時代が続いていたが、「次はThunderboltになるかもしれない」と、注目していることを明らかにした。
Thunderbolt 3でも採用されるUSB Tyep-Cコネクタは、非常に小さいことがメリット。もしPCI Expressスロットを置き換えることができれば、マザーボードのレイアウトは現在とは大幅に変わるだろう。
またPCI Expressだと、基本的にグラフィックスカードの搭載場所は決まってしまうが、わざわざライザーケーブルで垂直配置する人がいるように、自由なレイアウトにしたい要求はある。グラフィックスカードがThunderboltのケーブル接続になれば、SSDやHDDのように、ケースによって搭載場所を自由に決められる。
しかし、PCI Express x16に比べると、Thunderbolt 3でも帯域は大幅に足りない。PCI Expressは、4.0でさらに帯域が向上。現状のThunderboltでハイエンドまで対応するのは、性能の低下を考えると厳しいような気もするが、複数ポートを使うなどすれば、ある程度はカバーできるかもしれない。
どうなるかはまだちょっと分からないが、同社からは、「移行する可能性があるならわれわれが先陣を切りたい」という意気込みを感じた。もしかすると今後、同社からは、PCI Expressスロットが無く、その代わりThunderbolt 3ポートが並んだ"変態"マザーボードが発売されるようなこともあるのかも?