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【この記事のエキスパート】
水辺の動植物専門ショップ「sensuous」代表:早坂 誠

水辺の動植物専門ショップ「sensuous」代表:早坂 誠

東京渋谷の水草・観賞魚販売を中心とした店舗「sensuous」代表。

水草職人として、観賞魚業界を牽引するパイオニア的存在の一人。
独立後の2001年より水草を用いた作品を専門誌やインテリア誌に数多く発表しており、朝の連続テレビ小説「あまちゃん」に登場した海女カフェ水槽を始め多くのテレビ番組セットや企画展、各イベントなどでアクアリウム作品を手掛けている。

2016年6~7月にはEテレ「アクアリウムとテラリウム」の講師での出演、
2017年・18年では水草と観賞魚の企画展「グリーンアクアリウム展」でのディレクションを担当する。

都内専門学校(アクアリスト専攻)講師。観賞魚飼育管理士アドバンス・愛玩動物飼養管理士2級・ビオトープ計画管理士2級・ビオトープ施工管理士2級。著書「水草水槽のススメ」


水槽内の水温を温めるヒーター。金魚や熱帯魚を飼育するうえで欠かせないアクアリウムのアイテムです。ジェックスやニッソーといった人気メーカーから、オートヒーターやサーモスタット付き、大型・小型など様々な商品が発売されています。本記事では水槽用ヒーターの選び方とおすすめ商品を紹介します。

水温管理はアクアリウムにおいて必須
水槽用ヒーターとは? どうして必要?

アクアリウムにおいて、熱帯魚だけでなく、海水魚や亀、サンゴなどの飼育には水温管理が必要です。飼育する魚の種類にもよりますが、一般的に水温は25℃前後(24~26℃)が適しているとされていて、寒い冬に使用するのが水槽用ヒーター。

水槽用ヒーターとは、水槽内の水を加熱して水温が下がるのを防ぎます。反対に、暑い夏には水温の上がりすぎを防ぐ水槽用クーラーを使用します。

ヒーターはいつからいつまで使う?

水槽ヒーターをつける時期は、夜の時間に適温が下回りそうになった時から使うのがおすすめです。

時期としては10月ぐらいから、外す時期は6月を目安として、夏以外はつけておくのがよいでしょう。
設定温度以上には上がらないため、春や秋でも可能であればずっとつけておいた方が安心です。

タイプ、サーモスタット機能、オートヒーター、パネルヒーターなど
水槽用ヒーターの選び方

出典:Amazon

水辺の動植物専門ショップ「sensuous」代表の早坂 誠さんへの取材をもとに、水槽用ヒーターを選ぶときのポイントをご紹介。プロはどんなところに注目しているのかチェックしてみましょう!

【1】水槽用ヒーターの種類をチェック

【エキスパートのコメント】

好みの温度に調節するならダイヤル式を選ぶ

水槽用のヒーターには大きく分けて2種類あります。最初から一定の温度に設定が固定されているオート(自動)ヒーターと、飼育者が好みの温度に調節できるダイヤル式ヒーターです。

オートヒーター|初心者にも使いやすい

出典:Amazon

オートヒーターは、取り扱いが非常にかんたん。水中内にヒーターを設置したあと、プラグをコンセントに差し込むだけで自動的に設定の温度になるよう調節してくれます。

水温を一定の温度に自動的に保ってくれるヒーターですが、商品によって設定温度に違いがあるので、購入のさいは、設定温度をしっかり確認しましょう。

ダイヤル式ヒーター|細かい温度設定をしたい時に

出典:Amazon

ダイヤル式ヒーターは、ヒーター本体のほかにサーモセンサーという温度感知の部分を水中に設置して、飼育者がダイヤルで望む温度に合わせると、希望の温度になるよう自動調節してくれます。

病気の魚の治療時など、27℃以上を希望する場合はこちらを使います。

【2】オートヒーターは指定温度(制御温度)に注目

【エキスパートのコメント】

冬の急激な温度変化に注意する

オートヒーターを選ぶときには指定温度に注目します。一般的な熱帯魚の飼育には26℃固定のヒーターが、金魚の飼育には18℃固定のヒーターが使われることが多いです。

金魚飼育でヒーターを使うのは、一日の温度変動を少なくするためです。とくに冬季の室内飼育で、日中のストーブやエアコンが効いている暖かい状態と、それらの電源を切った夜間との温度変化があまりに大きいと金魚が体調を崩しかねません。

そのため、18℃以下に冷えるのを防ぐという目的でこのヒーターを設置します。

これらのほかに、メダカ・エビ用に23℃固定のもの、カメ用には28℃、ベタ用には27℃とさまざまな種類が販売されています。

【3】ダイヤル式ヒーターはサーモスタット機能に注目

【エキスパートのコメント】

導入が楽な一体型、交換が楽な分離型

ダイヤル式ヒーターには2種類の商品があります。サーモスタット(加温を制御することで水温を一定に保つための装置)がヒーターと一体型になっているものと、サーモスタットが別売になっている分離型のものです。

サーモスタット一体型

サーモスタット一体型のメリットは、購入の際にひとつのパッケージでそろうということと、分離型よりも安価で購入できるということです。

一方、ヒーターかサーモスタットどちらかの機能が故障してしまったら、丸ごと買い替える必要があります。

サーモスタット分離型

出典:Amazon

サーモスタット分離型のメリットは、ヒーターまたはサーモスタットのどちらかが故障しても、故障した一方を買いかえればまた利用できるということです。

分離型のなかにはひとつのサーモスタットに1000Wまでのヒーターを取りつけることができるものもあるので、大型水槽を温めたいという方やヒーターひとつでは故障時が心配だという方におすすめです。

【4】水槽サイズに合うワット数をチェック

【エキスパートのコメント】

適応水量は変動する周辺環境の温度も考慮しよう

ヒーターには適応水量というものがあり、それぞれ説明書等に「何リットル用」などと記載がされています。

少し温まればよいから低いワット数のヒーターでもよいかというと、そうではありません。水槽に対してワット数が小さい場合や低いワット数の場合、ヒーターがいつまでも水が温まらないと勘違いして、つねに最大の力で働こうとするため消耗が早くなってしまいます。

その結果、またすぐに買いかえということもありますので、長く使うためにも適応水量に合ったものを選びましょう。

寒冷地域にお住いの場合や、まわりの環境が15℃以下の状況で使用する場合は、設定温度まであがりにくいことがありますので、少しワット数の高いものを選ぶことをおすすめします。

ワット数の目安一覧

ボトルアクア:2L(10W)
15cmサイズ:3L(15W)
20cmサイズ:5L(20W)
20cmキューブ:6L(50W)
30cmサイズ:10L(50W)
30cmキューブ:22L(100W)
45cmサイズ:30L(100W)
60cmサイズ:55L(150W)
60cm×45cm×45cmサイズ:107L(200W)
90cmサイズ:155L(200W×2)
120cmサイズ:204L(300W×2)
180cmサイズ:559L(300W×4)

適合する水槽は商品に記載されているので、よく確認してください。

【5】ヒーターをつける向きで選ぶ

出典:Amazon

【エキスパートのコメント】

景観重視なら縦向きヒーター

従来、水槽用ヒーターは横向きにして底のほうにつけるのが一般的でした。水面から出てしまって空焚きすることや、オートヒーターのセンサーが誤作動することを防ぐためです。

しかし、近年は水槽の小型化や水槽全体の景観を重視するようになったという背景から、縦向きに使用できるヒーターも販売されるようになりました。

横向きのヒーターでは水槽の幅が足りずに取りつけられないという方や、極力ヒーターを目立たせたくないという方は縦向き使用ができるものを選ぶのがおすすめです。

小型水槽には下にひく「パネルヒーター」という選択肢も

出典:Amazon

ボトルを利用した小型のボトルアクアリウムには、ボトル内にヒーターが入らないため、通常のものでは設置が難しいです。パネルヒーターであれば、水槽の下に敷いて使用するためヒーターを水槽のなかに入れることなく使えます。

ただし、パネルヒーターの温度は外気温の影響を受けるため、温度を保つのが難しい点に注意しましょう。

【6】安全装置が搭載されているかチェック

火災などの思わぬトラブルを防ぐため、水槽用ヒーターに安全装置が付いているかもチェックしましょう。ヒーターの電源を切らないままに水槽の水換えをしたことで、ヒーター部分が空気中に露出し、近くにあるものが燃えてしまったという事例が多いようです。

安全装置が付いている水槽用ヒーターなら、異常な加熱を感知して自動で電源をオフにしてくれます。地震などで水槽が割れてしまったときにも安心できるので、安全装置機能がついているものを選びましょう。

カバーの有無も確認しよう

出典:Amazon

飼育している魚がヒーターにふれてしまってやけどをしたり、傷ついてしまわないようにカバーつきのヒーターを選ぶのがおすすめ。ただし、あまりに小さい魚はカバーの中に入り込んでしまうこともあるので、魚の種類によってカバーの有無を使い分ける必要があります。

アクアリウム専門店代表からのアドバイス

【エキスパートのコメント】

自分の住む地域に合ったヒーターを選ぶ

熱帯地方の魚を飼育する場合、ヒーターは観賞魚用品のなかでも欠けてはならない大切な商品です。断線や温度の急上昇などのトラブルを防ぐためにも、事前にメーカーとワット数を調べておくことが重要になってきます。

北海道と沖縄に気温差があるように、南北に長い日本は地域によって平均気温の差が大きい国です。

メーカーに記載されているワット数が、現在住んでいる地域に対して適正かどうかを判断することもヒーターを選ぶ基準となることに注意してください。

余裕をみすぎたワット数では、オンオフの切り替えが激しくなり、ヒーターの寿命を縮めることにもつながります。

選び方のポイントはここまで! では実際にエキスパートが選んだ商品は……(続きはこちら)