5月28日、第45期棋王戦予選決勝の藤井聡太七段―都成竜馬五段戦が行われ、都成五段が勝って挑戦者決定トーナメントに進出しました。

藤井七段今期初黒星 予選抜けならず

藤井七段に勝利! 整ったマスクで女性ファンも多い都成五段(撮影:池田将之)

対局は都成五段の先手で開始され、互いに飛車筋の歩を敵陣に向け突いてゆく「相掛かり」の戦型へと進みました。中盤、都成五段が角2枚、藤井七段が飛車2枚を持つ展開からリードしたのは角2枚の都成五段。以降も徐々に差を広げて、終盤を得意とする藤井七段に抵抗の余地を一切与えずそのまま押し切りました。対藤井七段6戦目にしての初勝利は、本戦入りの1局で大きな白星となりました。

都成五段は谷川浩司九段門下。1990年生まれの29歳。藤井七段が三段リーグを1期で抜け中学生プロとなったのとは反対に、2007年度後期の第42回から2015年後期の第58回まで三段リーグを戦うこと実に17期、奨励会卒業に苦労した棋士の1人です。しかしながら同リーグでの成績は17期中、勝ち越し10期、負け越し4期、指し分け3期と安定したものでした。2013年度、三段代表として出場した第44回新人王戦で四段以上のプロ棋士を連破し、優勝を飾ったことがその実力を示す最たるものでしょう。奨励会三段時に棋戦優勝を成し遂げたのは後にも先にもこの都成五段のみです。

2016年4月のプロ入り後も高勝率をキープし、2017年度には32勝11敗[0.7441]をマークし、全棋士中4位にランクイン。この年度に順位戦C級2組で藤井七段、関東期待の若手・増田康宏六段とともにC級1組への昇級を果たしています。タイトル戦線においては、2018年度の第66期王座戦、第31期竜王戦、第4期叡王戦で予選抜けの実績があり、28日の勝利で4回目の本戦入りとなります。

藤井七段は今期負けなしとしていましたが、初黒星は本戦を目前にしての痛い敗戦となりました。23日の対局で師匠の杉本昌隆八段が本戦入りを決めていただけに、悔しさもより一層でしょう。しかし、タイトルへ初挑戦へ続く対局はこの1局だけではありません。ここ数日は重要な対局が続く状況。31日には第32期竜王戦ランキング戦4組決勝の対菅井竜也七段戦、勝てば3期連続ランキング戦優勝&決勝トーナメント入りが決まります。また、6月3日には第67期王座戦決勝トーナメント1回戦の対佐々木大地五段戦が行われる予定です。都成五段の活躍とともに、進化を続ける最年少棋士が魅せるパフォーマンスにも注目しましょう。