COMPUTEX TAIPEI 2019の2日目となる5月29日、Intelは会場周辺のホテルにて「Technology Open House」と題したショーケースを開催、ここで同社製品の動作デモや展示が行われたほか、NUC Elementsなどを発表した。

このイベントで発表されたのは以下の項目(Photo01)である。まずOptane Memory M15は以前からうわさされていた製品だが、詳細は今回もなし。

  • Photo01:NUC Elementsなど基調講演で発表すればよかったのに、という気もする

続く、Wi-Fi 6のアクセスポイント/ゲートウェイは、Intelがこうした製品を出荷するという意味ではなく、Ice LakeのWi-Fi 6と相互接続性を確保した製品がエレコムを含むサードパーティから出荷されるという話である。

AI Dev KitはIntel DL Boostに対応したAIアプリケーション向けの開発キットを出荷するというもの。ADAPTIX Toolkitは、前日の基調講演で発表されたオーバークロックツール「Intel Performance Maximizer」を含むツールキット群の総称のようだ。

そして最後がNUC Elementsである。NUC Elementsはクレジットカードよりも少し大きいサイズのカード(Photo02)で、ここにプロセッサとメモリ、Connectivity(Wi-FiとBluetooth)など搭載されている(Photo03)。

  • Photo02:とりあえず台湾MRT(地下鉄)用のEasyCard(要するにSuicaの台北版)と並べてみた。よく見ると"Intel Compute Module"の名前が

  • Photo03:ほとんどのコンポーネントは基板表面に実装されており、Wi-Fi/BTモジュールらしきものだけが裏面に実装されている

ちなみに表面はアルミのシールドで完全に覆われているが、これはヒートスプレッダと兼用になっている。プロセッサのTDPは15Wで、CeleronからCore i7まで各種SKUが用意されているとのこと。これを使って、あとは下端のコネクタにI/O(Storageその他)をつなげばNUCができ上がりという話で、NUCだけでなく例えば教育向けの安価なノートPCなどにも利用できるという。

  • Photo04:ピントの外れた写真ですみません

下端のコネクタはI/OだけでなくMemory Busなども搭載されており、オンボードのメモリで不足という場合にはこのコネクタ経由でメモリを増設することも可能という話であった。現時点で価格などは発表されていない。

ところで、Perfomance Maximizerであるが、ショーケースの会場では動作デモが行われていた。動作そのものはOSのブート前に、UEFIから呼び出される形でテストを行い(Photo05)、テストが終わると結果を示してくれる(Photo06)という形になるそうだ。

  • Photo05:設定できる電圧の上限を定めておき、この範囲で1binづつ動作周波数を引き上げてテストを行い、限界の性能を調べるという形になるとか

  • Photo06:テスト前の設定、およびテスト後の結果表示はWindowsアプリケーションで行われる

このPerformance Maximizerは現状第9世代のCoreシリーズのみの対応となる。2019年秋に投入されるCore-Xシリーズも対応予定だが、第8世代以前の製品には未対応(対応予定もなし)とのことであった。

なお、今回のOpenHouseでもCore i9-9900KSの詳細は未公表。しいていえばPerformance Maximizerのデモに使われているのがCore i9-9900KSではないかという気もするのだが、説明では「ただの」Core i9-9900Kだという話であった。唯一公開されていたのがパッケージ(Photo07)である。

  • Photo07:単に"Special Edition"の文言が追加されただけのケース

また第10世代についても、Acer(Photo08)とHP(Photo09)の展示機は並んでいたものの動作デモはなし。AIアプリケーションの動作デモなども行われていたが、パフォーマンスが分かりそうなデモは、cTDPを25Wまで引き上げてCS:GOを動作させるというもの(Photo10,11)。

  • Photo08:AcerのSwift 5。搭載されているCPUのSKUは不明

  • Photo09:HPのEnvy 13。搭載されているのはCore i5とのことだった

ここではフレームレートが100を超え、ハイフレームレートが求められるFPSでも十分にプレイできるほか、高リフレッシュレートのディスプレイも活用できるとしてた。このほか目を引きそうなものはウェハと開発キット類の展示だろうか(Photo12)。

  • Photo10:TDPを15Wと25Wから選択できる。15Wでの動作デモは公開されなかった

  • Photo11:1080pにおけるCS:GOの動作デモ。100fpsを超えている

  • Photo12:Intel RNB 650なる型番がわかる。CPUソケットの上に見える金属ブロックはVRM用のヒートスプレッダ?

余談であるが、OpenHouseではThunderbolt 3のデモが行われていたので、Thunderbolt関連の責任者であるJason Ziller氏を捕まえて「このThunderbolt 3 Certifiedの製品は、そのままUSB4のCertificationを取れるのか?」と確認した。

すると「まだUSB4のSpecificationはFixしていないし、Certification Programも始まっていないから現状はCertificationは取れていない。ただ、SpecificationがReleaseされてCertification Programが始まったら、これらの製品はUSB4のCertificationを取得できると『信じている』」という返事であった……。先はまだ長そうである。