JAグループ(全国農業協同組合中央会、全国農業協同組合連合会、全国共済農業協同組合連合会、農林中央金庫、家の光協会、全国厚生農業協同組合連合会、農協観光)は5月27日、「AgVenture Lab(アグベンチャーラボ)」の提供を開始した。
オープンイノベーションを促進させ、JAグループが行っている総合事業の強みを生かした商品やサービスの創発を目的にするという。
イノベーションは境界の境目に起きる
AgVenture Lab 代表理事 荻野浩輝氏は「もともとJAグループは『農業者のビジネス』と『地域の暮らし』のプラットフォームです。これを変えずにイノベーションを促進させる取り組みの実施を目指しています」と話す。
AgVenture Labは、社会性の高いテーマを取り扱い、豊かな社会を次世代につなぐイノベーターを産み育てることが目的。JAグループが持っているAgTech(農林水産業の高度化と効率化)、FinTech(バンキングサービス)、FoodTech(食の安全とバリューチェーン)、LifeTech(暮らしサポート)、地方創生(都市と地方をつなぐ)といった総合事業者としての強みを生かしたデジタル総合サービスを提供するという。
同時にラボの活動を通じてJAグループ役職員のマインドチェンジを促すといった狙いもあるそうだ。
「イノベーションは業界の境目に起きる、あるいは領域の境目にチャンスがあるとよくいわれます。通常は事業会社が他の会社と組んだりしてイノベーションを起こしますが、我々はグループの中で様々な業態、組織を持っているので、それを活用してイノベーションが起こせると考えています」と荻野氏。
農業とIoT、あるいはAIによるデータ活用は様々な事例があるが、それをAgTechの領域だけで活用するのではなく、収穫予想に利用しFintechと絡めて融資を受けたり、リスク管理をしたり、とJAグループの総合事業の中で相互に生かせる事業を創っていくのがこのラボの最大の目的といえる。
起業家・事業家を支援するプログラムも実施
AgVenture Labでの取り組みに「JAアクセラレータープログラム」というものがある。アクセラレーターとは、主にスタートアップ企業などに対して、事業成長を加速させる支援を行う企業・自治体のことを指す。
「『JAアクセラレーター』は食と農とくらしのイノベーションをキャッチコピーとして始まった取り組み。様々な課題を持つ日本の第一次産業の問題を解決するべくアクセラレーターを募集する取り組みは日本初となります」と語るのは農林中央金庫 コーポレート デジタルイノベーション推進部 古橋祐太氏。
11カ月のプログラムとなり、募集から選考会を経て、通過した5%のチームがAgVenture Labの支援を受けることになる。なお、今回の応募数は約200件だそう。
「5月29日には最終選考があります。ここまで15チームが残っていますので、そこからさらに選ばれた方々がアクセラレートになり、応募いただいたビジネスプランのブラッシュアップをラボで行います」と古橋氏は語る。