NTTドコモから登場した2019年夏スマホ。総務省から通信プランと端末価格の分離が強く指導される中、新たな購入方法の発表にも注目が集まっていたが、こちらも新たに「スマホおかえしプログラム」が提示されるなど、盛り沢山な内容だった。2019年夏モデルとして発表された13機種の見どころを、実機のタッチ&トライを通じて解説しよう。今回はフィーチャーフォン(いわゆる「ガラケー」)2モデルと、LTEルーター1モデルを紹介する。

(※ハイエンド端末6モデルは「ハイエンドスマホ編」に、ミドルレンジ4モデルは「ミドルレンジ編」に掲載されています)

  • 富士通コネクテッドテクノロジーズ製の「arrowsケータイ」は、表示の拡大や、音声が聞き取りやすい機能を搭載。レッド、ブラック、シルバーの3色展開だ

折りたたみ式の携帯電話については2モデルが登場した。このタイプの端末については企業ユースなどが中心になっているそうで、今回のラインナップもその傾向が色濃く現れたものになっている。

ちなみにこの2モデルはいずれもUSB Type-Cではなく、microUSBで充電する。

ワンタッチで開く最新ガラケー:富士通「arrowsケータイ」(F-03L)

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    arrowsケータイ(F-03L)

  • 2019年7月上旬発売
  • オンライン販売額:31,104円
  • 36回払い時の月額支払額:864円

スマホの祭典「MWC 2019」では、折りたたみ式のスマートフォン「フォルダブル」スマホが話題を呼んだが、折りたたみ式端末といえば日本ではフィーチャーフォン(ガラケー)がお馴染みだ。ドコモ2019年夏モデルの富士通コネクテッドテクノロジーズ製・F-03Lは、同社製フィーチャーフォンとしては、2015年に発売された「F-05G」から約4年ぶりの後継モデルとなる。

同じく富士通コネクテッドテクノロジーズ製スマートフォンの「arrows Be3」と同様、日本製の安心感・高品質と、米軍需品規格であるMIL規格を14項目満たす耐久性の高さがウリ。落下時の耐久性に加え、防水・防塵性能も高いため、多少ラフに扱ったり、汚れても流水で洗い流すことができる、実用本位の端末だ。

F-05Gから見た目は少し変わったが、普段見えない外部ディスプレイなども含め、基本的な機能やボタン配置は大きく変わっていない。大きな変更点はLTEに対応したことくらいだ。VoLTEにも対応しているが、2018年冬~2019年春モデルとして登場した「SH-02L」同様、高音質なコーデック「EVS-WB」(Enhanced Voice Service-Wide Band)にも対応しており、よりクリアな通話が可能となっている。

  • NTTドコモ

    デザインは多少変わったが基本的な機能はF-05Gと同じ。有機ELの外部ディスプレイも健在。防塵機能はIP5XからIP6Xに向上した

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    IPX5/8の防水性能で、汚れても水で洗い流せる

  • NTTドコモ

    ヒンジ部左側にあるオープンアシストボタンをプッシュするだけで90度程度まで開くため、着信時もワンタッチでオープン、通話に出られる。その隣のカバーを外すとmicroUSBが見える

これまで、いわゆるガラホとして発売されてきたフィーチャーフォンはAndroidベースだがGoogle Playに対応しておらず、代わりに最初からLINEアプリが搭載されているというものが多かった。前モデルであるF-05GでもLINEを搭載していたのだが、F-03Lでは「SH-02L」と同様、LINEアプリが搭載されていない。

NTTドコモ2019年夏モデル発表会会場で、どうしてLINEを搭載しなかったのかを会場のスタッフに聞いてみたところ、最近フィーチャーフォンは法人向けの需要が伸びており、そこでLINEは法人ユースには不要と判断されたものだという。また、アプリのアップデートの問題などもあったようだ。

おサイフケータイやワンセグ、モバイルブラウザなど、必要な機能は一通り揃っており、ハードウェア含めて安心感のある作り。しかし「ガラケーのままでもLINEがあれば連絡もできていいだろう」と考えている場合、現在販売中の機種ではP-01JのみがLINE対応となってしまった。LINEの利用を前提としている場合は機種選びの段階でよく検討してほしい。

カメラレスな業務向けドコモケータイ:シャープ「SH-03L」

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    SH-03L

  • 2019年夏発売

シャープからも昨年の「SH-02L」に引き続き、フィーチャーフォンの新モデルとして「SH-03L」が登場したが、こちらは法人向けチャネルを中心に販売される。法人チャネル向けということで価格は明らかになっていないが、店頭などでユーザーが希望すれば販売しないわけではない、とのこと。

カメラやワンセグが付いておらず、機密保護の観点からカメラ付き端末を持ち込めないような場所(開発拠点やデータセンターなど)でも携帯できることが特徴だ。また法人向けらしく、発信先制限などをまとめて設定できるシステムに対応している。それ以外の機能は基本的に「SH-02L」を継承している。個人用途にはあまり向かないかもしれないが、カメラ持ち込みが禁止されている職場で使う以外にも、年配の方に贈るケータイとして検討してもいいかもしれない。

  • NTTドコモ

    左が「SH-02L」で、右が「SH-03L」。本来カメラが付いている部分が塞がっている。本体色も地味で実にビジネス向けといった印象

4,000mAhの大容量バッテリー!:シャープ「Wi-Fi STATION」(SH-05L)

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    Wi-Fi STATION(SH-05L)

  • 2019年秋発売

通話機能やアプリ実行などの機能を持たないデータ通信専用端末としては、今秋発売予定のモバイルルーター「Wi-Fi STATION SH-05L」が展示されていた。主に法人ユーザー向けの製品として販売されるが、SH-03Lと同様に、希望すれば一般ユーザーでも購入は可能だとのこと。発売は秋ということもあってか、まだ実働している展示品がなかったので、各スペックや性能は予定ということで紹介する。

WAN側となるLTE-Advancedでの通信速度(規格値)としては下り最大988Mbps、上り最大75Mbps。今季スマートフォンの最大速度である上り1,576Mbps、下り131.3Mbps、そして既存モデルであるHW-01L(下り1,288Mbps、上り131.3Mbps)よりも遅い。

その代わりに国際ローミングに対応しており、海外での利用時にドコモSIMのまま利用可能。また内蔵バッテリーが4,000mAhと大容量であり、モバイルバッテリーとしてスマートフォンへの給電もできる(発表時点では単体の動作時間は未定)。付属のスタンドにはギガビットEtherとUSB Type-Cポートがあり、有線LANのほか、USB経由でのテザリング(個人的にはルーター製品で「テザリング」と呼ぶことに大いなる違和感があるのだが)が可能となっている。同時接続台数は11台程度。

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    スタンド背面に自宅などで据え置きとして使う際に便利な有線ポートが付いている

2018年秋冬モデルで、より高速なHW-01Lがあるので、個人ユースで購入するケースは少ないと思われるが、国際ローミングなどに魅力を感じるのであれば、検討してみてもよさそうだ。