1981年以来、日本人の死因第1位となっている病気が「がん」です。毎年30万人以上が亡くなるだけでなく、男性の2人に1人、女性の3人に1人がかかると推計されていて(※1)、友人・知人の祖父母、親戚が「がんになった」という話を聞いたことがある人も多いことでしょう。

今回は、誰にとっても身近な「がん」と住んでいる自治体の助成制度について紹介します。

若い世代でも身近な「がん」。早期発見で治癒する病気に

ひとくちに「がん」になるとっても、10代・20代と若い世代であれば、「著名人ががんになったニュース」「親戚のおじさん・おばさんの話」と思う人も多いことでしょう。事実、がんになる確率は男女とも50歳代くらいから増加し、高齢になるほど高くなります。若いうちに罹患(りかん・病気にかかること)する確率は少ないのです(※2)。

とはいえ、若い世代でも注意が必要です。たとえば、「乳がん」は日本人女性の約11人に1人が、一生のうちにかかると言われています(※3)。しかも他のがんよりも若い時期に発症し、およそ30代後半から急増しはじめ、40歳代後半から50歳代前半でピークを迎えます。

とはいえ、乳がんは健診を受けて早期発見、適切に治療すれば生存率の高い病気です。つまり、がんは「不治の病」から「治療し、つきあう病気」になっているといえるのです。

それだけに大切にしたいのが、がん検診の受診です。特に、がんが発症しはじめる30代、40代はまだまだ「がんは他人ごと」なうえ、仕事に子育てにと忙しく、自分のことは後まわしになりがち。

忙しい日々ですが、地元自治体から送られてくる健診のクーポンなどを使い、定期的に受診したいものです。

また、がんの生存率も高まっていることから、闘病中・治癒したあとの生活する手立ても考えておきたいもの。最近では女性特有のがんに手厚い保険が多数出ていますし、万一のときの経済的な助けとなる保険も登場しています。若いうちに、一度、検討してみるとよいでしょう。

自治体によっては、がんの外見ケアの助成も!

がん検診、民間のがん保険以外にも知っておきたいのが、がん治療中の「外見ケア」助成を行う自治体があることです。がん治療では、抗がん剤治療の副作用で脱毛してしまったり、乳がん手術後に胸部補正具が必要になったりすることがあります。治療で命は助かったとはいえ外見が変わってしまうと、精神的にも落ち込んでしまい、人に会うことや、外出することが難しくなることも多いようです。

ただ、がんの治療・通院で出費が続いているときに、「ウィッグ」「乳房補正具」の購入となると負担に感じる人も多いことでしょう。そこで一部の自治体では、ウィッグや胸部補正具の金額の一部を助成してくれることがあります。助成を受けるためには、「医療用に限る」「収入が一定条件以下」など、各種条件があり、助成内容も自治体によって異なりますが、患者や家族にとっては心強い味方となることでしょう。

  • ■かつらや乳房補正具の購入費用を助成してくれる自治体の例

こうした「がん」の外見ケアの助成を行っている自治体は年々、少しずつ増加傾向にあるとはいえ、まだまだ少数派です。加えて、基本的に自治体の各種助成は、利用者・居住者が理解したうえで申請し、はじめて助成の対象となります。

つまり、知らないと活用できないので、「助成制度」があることを憶えておくとよいでしょう。また、引っ越しや住宅購入の際に、検討先の自治体に、こうした制度があるかどうかを調べておくと参考になります。

  • 回遊舎

嘉屋恭子

フリーライター。編集プロダクションなどを経て、2007年よりフリーランスで活動。 主に住まいや暮らしに関わる分野で取材・執筆を続ける。FP技能士2級取得