ふだんスマホで撮影を楽しんでいる人にとって、物足りなさを感じるのが望遠撮影でしょう。離れた場所にあるものを大写しできるニコンのコンパクトデジカメ「COOLPIX A1000」はどれだけ便利なのか、三井カメラマンに試してもらいました。

  • ニコンが2月に発売したコンパクトデジカメ「COOLPIX A1000」。写真のブラックに加え、シルバーのカラーも用意します。実売価格は税込み5万5000円前後

精細な超望遠撮影が手軽&確実にできる

ニコンから、行楽や運動会などのイベント撮影にピッタリのデジタルカメラ「COOLPIX A1000」が登場しました。特徴は、35倍ものズームができるレンズにあります。広角はスマホよりもワイドに撮れる24mm相当ですが、望遠は840mm相当と、遠くにある被写体をググッと引き寄せて大写しで撮影できます。スマホのデジタルズームとは異なり、ズームしても精細に撮れるのに驚かされます。

  • 35倍もの倍率を持つズームレンズを搭載するCOOLPIX A1000。本体はスリムながら、ズームするとレンズはかなり伸びます

  • 35mm判換算で広角24mm相当となるワイド端で、上野の不忍池を撮影。風景を広々と撮影できました。近景から遠景までしっかりと写っています

  • 同じ位置から840mm相当のテレ端で撮影しました。広角撮影時に画面中心部にあった建物の屋根部分がクローズアップで撮影でき、装飾や屋根瓦のリアリティさもなかなかのものです

  • 遠近感をグッと圧縮したような描写が楽しめる超望遠撮影。郊外の住宅地もこんな具合に撮影できます。発色もほどよく鮮やかです

  • 超望遠ながらポケットに入るサイズなので、登山など荷物をできるだけ削減したいシーンでも遠景撮影が可能です。遠くの稜線も、実にムーディーに捉えてくれました

  • 都会でも、切り取り方次第で面白い超望遠撮影ができます。高層ビルを背景にやってきた鉄道をパシャリと撮影。精細感も満足です

ズームすると被写体を見失いやすいのですが、ボタンを押すと一時的に広角側にズームして構図を確認できる「クイックバックズームボタン」を備えており、超望遠撮影に不慣れな人でも安心して撮影に臨むことができます。

従来モデルからの大きな進歩といえるのが、ついにEVF(電子ビューファインダー)が搭載されたこと。背面液晶を見ながらの撮影よりも安定して撮れるので、遠くの被写体や動きの速いものでもより確実に撮影できます。超望遠撮影がさらに実用的になるでしょう。

  • 背面の左上にEVF(電子ビューファインダー)を搭載し、望遠撮影時もしっかりフレーミングしながら撮影しやすくなりました

2つあるズームレバーが意外に便利

操作性は上々で、使用感も不満はありません。特に、シャッターボタンと同軸のズームレバーに加え、レンズ横にもサイドズームレバーが設けられているのが便利だと感じました。どちらの手でもズーミングの操作ができるだけでなく、ズーミングの操作から素早く撮影に移行できるので、シャッターチャンスを逃しません。それぞれのレバーはズームの速度が異なっているので、撮影シーンや被写体に合わせて使い分けできます。上部には、ニコンのミラーレスや一眼レフのような大型電子ダイヤルも用意し、さまざまな設定を素早く変更できます。

  • レンズの横にもズームレバーを搭載しており、シャッターボタンと同軸のズームレバーと併用できます。写真はシルバーモデルです

細かい点ですが、ストラップホールがボディーの両側面にあり、ストラップを両吊りできるところがいいですね。ネックストラップを装着し、ストラップをピン!と張るように力をかけながら撮ると、カメラの安定感が増して手ぶれなどの失敗が減らせますよ。

「SnapBridge」のアプリを導入すればスマホとの連携もスムーズにできるので、旅先で撮影した写真をSNSにアップロードしてシェアするのも簡単。高画質の望遠撮影を手軽に楽しみたい人は要チェックのカメラといえます。

  • 光学35倍ズームレンズの描写は実にお見事。話題のマンションをテレ端で撮りましたが、建物にかけられたネットまで克明に写し出してくれました。レンズの描写性能の高さと、手ぶれ補正機構がよく効いている証拠でしょう

  • キビキビと撮影できるので、街中でのスナップショットも実に快適です。EVFのおかげでしっかりとホールドしながら撮影できるので、狙い通りのフレーミングで撮れました

  • レンズはヌケ感が良く、発色もクリーンで気に入りました。メタリックな質感もリアルに表現してくれ、ワイドから超望遠域まで納得のいく描写となりました

  • 見やすいEVF、デザインもよくホールドしやすいボディー、思い通りに設定できるコマンドダイヤルと、撮影を楽しくする要素が盛りだくさんのCOOLPIX A1000。スマホとの連係が得意なところも注目です

  • 小川で佇むコサギも、素早く思い通りに撮影できました。動物や風景、スポーツだけでなく、スナップも快適に楽しめます