未明から降り続く大雨の中、多くの報道陣が駆けつけた都内の会場。5月21日、ファーウェイ・ジャパンから新スマートフォンの「P30」シリーズが発表されました。アメリカ政府の許可なく、米企業から部品の調達などを禁止するエンティティーリストに追加された同社。
新製品は発売されるのか? 既存ユーザーはどうなるのか? 新製品については別に触れるとして、ここでは、ファーウェイの呉波(ゴハ)氏が語った現在のファーウェイの考えをまとめます。
逆風が吹きすさぶ中で
ファーウェイの端末は今後も使い続けられる? それがハッキリしないことには、「P30 Pro」「P30」「P30 lite」を検討していいのかどうか分からない……。そんな読者諸氏も多いのではないでしょうか。
アメリカ商務省による決定を受け、Googleもファーウェイに提供するソフトなど、一部のビジネスを停止するとしています。そんな逆風が吹き荒れる中、登壇したファーウェイデバイス 日本・韓国リージョンプレジデントの呉波氏は、プレゼンの冒頭と終盤に2回、今回の経緯と、それに対するファーウェイの姿勢について語りました。
呉波氏の説明は、アメリカ政府の決定に対する反対と、ユーザーの権利を守るという2点に集約されました。「アメリカの商務省、および産業安全保障局の決定に反対します。これは誰の利益にもなりません。アメリカの制限に粘り強く対応していきます。これが我々にとっての再出発になると信じています」(呉波氏)。
「我々は主にICT業界において9万件以上の特許を持っています。社会、人類の進歩に貢献してきた」との説明からは、それなのになぜ、という無念さも感じ取れます。
「AndroidはスマートフォンのOSとして常にオープンソースで提供されてきました。そして当社は重要な参加者として、Androidの発展と成長に非常に重要な貢献を果たしてきました。ユーザーや産業にとって有益なAndroidエコシステムを、これからも引き続き発展させていきます」(呉波氏)。
被害はファーウェイだけにとどまらないとも。「(今回の決定は)ファーウェイと業務提携しているアメリカ企業にとっても巨額の経済損失をもたらし、アメリカにおける数万人規模の雇用にも影響し、グローバルではサプライチェーンの協業と相互の信頼を分断させてしまいます。ファーウェイとしては、この件についてできるだけ早く救済策、解決策を見つけ、積極的に対策を講じ、影響を減らしていく所存です」(呉波氏)として、事態の収拾に努める姿勢を示しました。
ユーザーに向けては?
「ファーウェイとhonorブランドについて、いま全世界で販売済み・販売中のスマートフォン、タブレット端末について、使用すること、そして今後の継続的なセキュリティアップデート、アフターサービスについて、影響を受けることはありません。日本のユーザーの皆さん、消費者の皆さんも安心して購入・ご使用ください、と伝えたい。ファーウェイはユーザーの皆さまのためにより優れたサービスを提供できるよう、今後も安全で継続的に発展可能なソフトウェアエコシステムの構築に力を注いで参ります」(呉波氏)。
ちなみに、説明会の終了後に開かれるはずだった報道陣によるグループセッション(囲み取材)は中止となりました。「2か月ほど後になるでしょうか、準備ができ次第、ふさわしいタイミングで皆さまのところに赴き、あらためて説明させていただきます」としました。