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【この記事のエキスパート】
インテリアコーディネーター:秡川 寿美礼

インテリアコーディネーター:秡川 寿美礼

設計事務所(株)木型屋のむすめの仕事部屋を経て、1998年に(有)エル・エル・プランニングを設立。

「ライフスタイルからインテリアをデザインする」という独自の発想と設計手法で、家具、カーテンなどのセ レクトから、造作家具やリフォームの設計まで、トータルなインテリア空間デザインを得意としている。インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャーの資格を持つ。


睡眠の質を担保するのに欠かせないマットレス。この記事では、インテリアコーディネーターの秡川寿美礼(はらいかわすみれ)さんへの取材をもとに、ベッドマットレスのおすすめ商品をご紹介します。ベッドマットレスの種類や、寝心地や使い勝手に合わせたおすすめの商品をご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

ベッドマットレスの種類を解説!

マットレスには、コイルタイプとノンコイルタイプがあります。

コイルタイプは、金属製のバネでしっかりと体重を支え、その強い反発力で寝返りをサポートする特徴があります。製造コストがかかるため高価ですがよりすぐれた耐久性をもちます。

一方、ノンコイルタイプは、スポンジ・ウレタンなどの樹脂でつくられており、コイルタイプほど強い反発力と耐久性はありません。しかし、素材の硬さによって身体にフィットするマットレスを選ぶことができます。また、製造しやすいため、価格が安いことも特徴です。

ここからはそれぞれのタイプについて簡単に解説していきます。

コイルタイプ
ボンネルコイル

コイルを上下左右に連結した構造になっているのがボンネルコイルマットレスです。力が加わると全体が沈み込み、身体の負担を分散するために1点に負荷がかかりにくく、「面」で支える構造といえます。耐久性も高め。

しかし、寝ている状態で姿勢を維持するのがむずかしいため、緊張状態になることもありますし、寝返りをうつとスプリングが揺れるので、ふたりでつかう場合は揺れが気になるかもしれません。

コイルタイプ
高密度スプリング(ハイカウント)

ボンネルコイルマットレスの約1.5倍の量のコイルを使用しているのが高密度スプリング。別名「ハイカウント」とも呼ばれます。

硬めのマットレスで沈み込みも少ないので、体重が重い方に好まれる傾向があります。硬いマットレスが好みでリラックスしたい方に。耐久性があるため、ビジネスホテルや寮などで採用されているようです。

コイルタイプ
ポケットコイル

ポケットコイルマットレスの特徴は身体を「点」で支えることです。コイルがひとつひとつ独立しているので身体の各部位の重さに応じてピンポイントで沈み込みます。

身体への局所的な負担をおさえ、フィット感にすぐれるので、自然な姿勢でリラックスして眠ることができます。体圧分散性にすぐれているので、寝返りなど動いてもポイントコイルが独立していて振動が伝わりにくく、ふたりでの使用にも向いています。

ノンコイルタイプ
低反発マットレス

低反発材がつかわれたマットレスは、押し返す力が比較的小さく、やわらかく包み込まれるような寝心地がほしいという方におすすめです。しかし、体重が重いと沈み込んでしまうので、実際に寝てみて確認したほうがよいでしょう。頭や腰まわりなど重い部位のまわりは深く沈み込みます。

ノンコイルタイプ
高反発マットレス

高反発マットレスは、適度に弾力があり、自然な姿勢をキープしやすいことが特徴。低反発のように身体の部位によって沈み込み方が異なることはあまりなく、自然な姿勢で眠ることができます。腰痛持ちの方や体重が重めの方にも選ばれています。

耐久性は低反発と同様、コイル系には劣ります。高反発・低反発ともに、つかう方の体重によっても異なりますが、反発力が弱くなったときが交換の目安です。

寝心地のいいベッドマットレスの選び方とは?

ここからはベッドマットレスを選ぶときのポイントをご紹介します。どのベッドマットレスを買うか迷っている方はぜひ参考にしてください。

【1】価格帯を決める
【2】マットレスの構造
【3】サイズと重さ
【4】移動・通気性・手入れのしやすさ
【5】理想のマットレス幅

それぞれ解説していくのでチェックしてみましょう。

マットレスの価格帯は幅広い!
【1】材料や機能を確認して価格帯を決める

出典:Amazon

【エキスパートのコメント】

マットレスの価格は、主要メーカーのシングルサイズで定価4万程度から30万円を超えるものまであります。

30万円を超える商品では、重い体重もしっかりと支えつつやわらかい寝心地を実現したものなど、材料も最高級品が使用されているものが多いです。

10万円台の商品は、好みのかたさが選べたり、カバーが洗濯できたり、それ以外にも夏冬で両面をつかい分けできたりと、バリエーションと機能が豊富で耐久性もじゅうぶんにあります。

よいものを長くつかいたい方、自分好みの寝心地や機能にぴったりのものを選びたい方におすすめです。

5万円以下の商品は最小限の機能に絞ったモデル。布団からはじめてマットレスに切り替える方や、2〜3年で買い換えるという方におすすめです。

身体に負担が掛かりにくいマットレスを選択しよう!
【2】寝姿勢からマットレスの構造を選ぶ

【エキスパートのコメント】

寝姿勢は、背骨のS字カーブが立っているときとほぼ同じ状態になるのが理想。頭、お尻、脚など、身体の部位によって異なる荷重を分散させつつ、凹凸のある身体の形状を吸収して水平に支えるためには、

1)身体に接する軟らかい層
2)寝姿勢を保ち、身体が沈まないようにする硬い層
3)衝撃を吸収する層

の3層構造が必要といわれています。

これらの条件を満たすため、身体を「面」で支えるのか「点」で支えるのかなど、各メーカーが独自の研究や技術を基に商品をつくっています。

体重の重い方は、2)の層が硬めで耐久性のあるものを。横向きに寝る習慣がある方は、1)の層が厚いものを選ぶと肩に負担がかかりづらくおすすめです。

【3】ベッドに適したサイズと重さを選択する

スムーズな寝返りや睡眠の質を上げるためには、ベッドやマットレスの大きさも関係します。適切な大きさは、自分の左右に30cmほどプラスしたサイズといわれています。ベッドフレームとマットレスを異なるメーカーで組み合わせる場合は、メーカーによってサイズが違うことがあるので、あらかじめ確認しておきましょう。

また、ガススプリング式の収納つきベッドの場合は、マットレスの重量が適合しないと開閉できないので、重量の確認も忘れずに。自分のよく眠れる寝心地のいいベッド選びも意識しましょう。

マットレスの厚さは、今すでに持っているマットレスに追加するのであれば、5cm以下のトッパータイプがおすすめです。一方、ベッドフレームと組み合わせたり、床に直接置いて使うのが目的ならば、10cm前後の厚みがあるタイプを選んでください。

【エキスパートのコメント】

マットレスのサイズはメーカーにより異なる

ベッドのサイズは、シングル、セミダブル、ダブル、クィーン、キングサイズなどの種類があることは皆さんよくご存知だと思います。

マットレスのサイズも同じように種類があり、日本にはJIS規格があるので、それぞれのサイズは統一されていると思いがちですが、実際にはメーカーにより多少サイズが異なります。

ベッドフレームとマットレスを、それぞれ異なるメーカーのものと組み合わせたい場合は、サイズが適合するかどうかの確認が必要になってきます。

また、ガススプリング式の収納つきベッドの場合は、マットレスの重量が適合しないと開閉できないので、重量の確認も必要です。

【4】移動・通気性・手入れのしやすさを確認する

湿気が多い日本では、通気性や干しやすさもポイントになります。

コイルタイプは重いですが、コイルの間を空気が通るので通気性にすぐれています。ポケットコイルやノンスプリングは軽量で運びやすく、裏返して干すこともでき、お手入れがしやすいです。

それぞれの特徴を知り、干せるスペースやお手入れのしやすさも考えて選ぶとよいでしょう。

折りたたみできるものは移動や収納がラク

出典:Amazon

ベッドを置くには、ある程度のスペースが必要です。2つ折りや3つ折りにできる折りたたみタイプなら、収納することでスペースを有効利用できますし、立てて干しておけば湿気対策もできます。来客用などに用意しておいても安心ですね。

折り畳みタイプは、薄すぎるものや寝たときに折り目が当たらないものを選ぶとよいでしょう。フローリングが狭くベッドが置けない場合は、フローリング対応の床用マットレスを買うことをおすすめします。

通気性や干しやすさも要チェック

出典:Amazon

マットレスのタイプも重要ですが、そのほかにも見ておくべきポイントが「通気性」です。通気性はマットレスの耐久性に影響する重要なポイント。日本の湿気は、マットレスの劣化を早めかねません。ご自宅の日当たりや通気性も考慮してマットレスを選びましょう。

ボンネルコイルマットレスや高密度スプリングは、コイルの隙間に空気がとおるので通気性は高めです。重いマットレスを干すことは骨が折れますが、そのままでもある程度の通気性は確保できます。

ポケットコイルマットレスやノンスプリングは通気性がよくありませんが、干したり裏返したりすることで湿気を飛ばせます。

【5】理想のマットレス幅はどのくらい?

【エキスパートのコメント】

理想のマットレス幅は肩幅の2.5~3倍

ダブルベッドでは窮屈で寝られないという経験をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。

それもそのはず。寝ている間に寝返りをうつことを考慮すると、理想的には肩幅の2.5~3倍のマットレス幅が必要なのだそうです。成人なら100~130cm必要ということになりますから、140~150cm幅のダブルベッドにふたりで寝るのは窮屈と感じるのも、うなずけます。

ひとりあたり70cm以下の幅になると眠りが浅くなり、狭いと熟睡できないという研究結果もあります。

クィーンサイズのベッドフレームに82cm幅のセミシングルマットレスを2枚並べるか、シングルベッドを2台並べてツインスタイルにすることも検討してみるとよいでしょう。

選び方のポイントはここまで! では実際にエキスパートが選んだ商品は……(続きはこちら)