長く連絡をとっていなかった戦友からの便りは嬉しいものだ。たとえそれが再び自作PCに挑戦したいから手助けしてくれ、という要請であっても。
前回のパーツ選定編は、約10年もの間、自作PCから遠ざかっていたマイナビニュース編集部・阿部氏から筆者・加藤勝明(KTU)が相談を受け、必要なパーツを調達した、というところで終了した。
阿部氏の希望は、PC版PUBGやApex Legends等の対戦型FPS/TPSゲームを快適に楽しめるPCが欲しいというもの。CPUはAMDのRyzen 5 2600、GPUはNVIDIAのGeForce RTX 2060と中庸やや上程度のスペックだが、Core 2 Duo自作で時間の止まっていた人にとっては、劇的なパフォーマンスの向上が感じられるはずだ。
そこで今回は集めたパーツを阿部氏が組み立てていく様子をレポートする。ちなみに阿部氏はつい先日もスマホ版PUBGで、中学生3人パーティの中にに1人混じる形でスクワッドを組まされ、精神的なイジメに近い状況に追い込まれたという。これは1日も早くPC環境を作り上げ、PC版PUBGの世界に送り込む必要がありそうだ……。
この10年余りで、自作の作法は変わったか?
Ryzen 5 2600Xを筆頭にした最新PC自作とはいっても、組み立ての基本的な流れは10年前とさほど変化してはいない。マザーボードに全てのパーツを寄せていくように取り付け、コネクタ等の形状に逆らわないように作業していけば、そう破滅的な結果になることはない。
だが、細かい部分で当時の常識とは若干異なる部分もある。久しぶりにPC自作に再挑戦したいという人も、これを見ておけば阿部氏と同じ徹を踏むことは防げるはずだ。幸いにして阿部氏は筆者とともに自作PCの最もアツかった時代に一緒にPCfanの誌面を作った戦友である。10年ほど離れていたとはいえ、実際に手を動かせばカンはじきに戻るだろう……。
はじめの一歩はRyzen装着だが……
Core 2 Duo世代のIntel製CPUは既にLGA775へ以降した後。つまりCPUの裏側に無数の電極(ランド)があり、マザーのソケット側に生えた繊細なピンがランドと接触して繋がる。だが、AMDの採用するSocket AM4の場合、懐かしのAthlon等と同じように、CPUの裏側にピンが生えている。
筆者とさんざんPentium IIIやAthlon等で検証機を組んできた阿部氏であれば、ZIFソケットのレバーを真上にあげ、CPU装着後レバーを下ろすという流れが身体に染み付いているはずだが、肝心の「CPUの向き」がわかりづらいようだ。
Socket AならCPUを裏返し、ピンが1本足りないコーナーを見つければ瞬時にわかるのだが、残念ながらRyzenはどのコーナーもピンが1本足りないように見える。阿部氏の動きが止まる……。
これを突破するにはCPUの裏を見てはダメだ。CPUの表側に金色の三角マーキングが入っている。これをCPUソケットの三角目印のあるコーナーに合わせれば正解の向き。ただソケット側の目印は、ソケットそのものよりもマザーボード上のシルク印刷を見ないとわかりづらい。特に今どきのマザーはデザイン重視のためにシルク印刷もロービジ(目立たない)な印刷になっているのが腹立たしい。
【組立動画あり、ただしネタバレ注意!】
今回の組立手順をほぼ完全収録した動画をYouTubeに用意し、本記事の最終ページにおいても視聴可能としました。ただし、ネタバレ的な内容となっているため、本記事の面白さを満喫するのであれば、最終ページまで読み進めたうえで再生することを強く推奨します