エンタープライズ向けの大規模データのバックアップ/DRとコピーデータマネジメントを手がけるActifio(アクティフィオ)。今回、Actifio Founder & CEOのAsh Ashutosh氏と、アクティフィオ ジャパンカントリーマネージャー/代表社長の勝俣正起氏にインタビューの機会を得たので、“データ”を中心とした話を紹介する。
まず、インタビューの前に同社のソリューションについて整理しよう。通常、業務システムにおける本番データのバックアップは、多数のコピーデータを作成するが、データ管理が煩わしいことに加え、大量のコピーデータを保存するストレージ容量が必要となるため管理・運用に時間を要し、コストも圧迫するなどの課題がある。
一方、同社のソリューションは57の特許技術を擁するゴールデンコピーと呼ぶVirtual Data Pipeline(VDP:仮想データパイプライン)を用いて、1つのマスターコピーを作成し、管理することでデータ活用の効率化を可能としており、“データ仮想化”と位置づけている。提供形態はソフトウェアアプライアンスとサーバアプライアンス、クラウドアプライアンス、クラウド事業者のサービスの4形態となる。
ゴールデンコピー作成のフローはこうだ。社内に持つ多様なデータベースからデータをフルコピーした上でブロックに格納し、フルコピーしたデータは15分ごと、1時間ごとに更新するときは差分のみを取得する。ブロックの中に含まれる情報としては、アプリケーションの種類、データを取得した時間帯、データ管理にまつわる情報など。
データを活用する際は、例えば3日前のデータを使いたい場合、仮想コピーが作成されているため、即時アクセスとストレージコストの削減を可能とするとともに、一度フルコピーを取れば差分のみのデータを取得するため時間の節約にもつながり、効率的なデータ管理ができるというわけだ。
前置きが長くなったが、以下からAsyutosh氏のインタビューだ。
データを“戦略的な資産”に置き換える
--2009年に米国で設立したということですが。
Ashutosh氏:そうです。今年で創業10周年を迎えます。われわれのミッションは企業が持つデータを活用できる状態とし、意思決定のサポートやイノベーションの加速化に加え、ユーザー企業がよりよいサービスを顧客に提供することを支援しています。
--ビジネスの状況はいかがですか?また、Actifioの特徴について教えてください。
Ashutosh氏:ユーザーは中堅・大企業を含め38カ国3600社に達し、銀行や小売、エネルギー、航空会社など組織のデータを活用したいと考える企業があれば業界を問わず協力しているのです。企業においてアプリケーションを使えば大量のデータが生み出され、多くの作業も発生することから大量のコピーが作成されていきます。
そうした状況を打開するという意味で、われわれの技術であるゴールデンコピーにより、本来であればコピーを作成すればコストがかかりますが、1つのコピーデータから何百回というアクセスで活用できるため余分なコストが不要なほか、高速なデータアクセスを可能としているのです。われわれはデータを高速に供給し、ビジネスを迅速に展開していくことを支援しています。
--日本の状況をどのようにお考えですか?
Ashutosh氏:日本の経営者の方と話すと、口を揃えてデータをどのように迅速かつ、ローコストで活用すればデータドリブン(データ駆動)になれるのですか?と聞かれます。わたしとしては、これからの時代におけるビジネスのイノベーションで最も大きな変化は?と問われれば、データ活用の変革・進化だと思います。
日本では直近の3年間で顧客基盤が急拡大し、われわれにとっても成長市場です。グローバルでは北米に次いで、ナンバー2の市場となっています。日本に進出して5年が経過しますが、大企業を顧客に抱え、日立製作所や富士通、NEC、日本IBMなど主要なIT企業とパートナーシップを締結しています。
そして、われわれのソリューションを活用している企業は高い満足を得ていることも事実です。その理由としてはデータドリブンへの道のりを本当の意味で実現できるソリューションを持つ企業は、われわれにおいて他ならないからです。
その道のりというのは、まずはデータの活用をバックアップとDR(ディザスタリカバリ)を目的にスタートします。もし、社内でバックアップやDRの最高のソリューションを使いたい、ないしは最高の企業になりたいということを実現するにはアクティフィオは最良の選択肢となります。
OracleやSQL、Db2、NoSQLなどのデータベースや、Amazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloud Platform、IBM Cloud、Oracle Cloud、Alibaba Cloudをはじめとしたクラウド環境に対応しています。われわれはナンバーワンではなく、オンリーワンのソリューションを備えているのです。
多様なアプリケーションを利用するうちに、組織内でデータが作成されていきますが、そのデータをバックアップやDRのために蓄積します。そして、蓄積したデータをビジネスのために利用することができるのです。
例えば、DevOpsやマルチ/ハイブリッドクラウドへの移行、機械学習、サイバー攻撃対策、ガバナンス/コンプライアンスなどに活用することが可能です。これは、まさにデータを“戦略的な資産”に置き換えることを意味しています。