バラエティ番組などで、「○○さんのバーターです。宜しくお願いします!」なんて会話を耳にすることがありますが、「バーター」の意味を知らない人も多いのではないでしょうか。
そこで本稿では、「バーター」の意味と使い方についてお話しします。
バーターの意味と語源
バーターの意味は、「物々交換」「交換条件」です。何かしらの商談の際に、金銭のやりとりではなく、物やサービスなどの交換によって交渉をすすめることを指します。
元々は、「交換」「物々交換をする」などの意味を持つ英語【barter】から来たカタカナ用語とされていますが、日本語の「束(たば)」を逆から読んだという説もあるようです。テレビ業界では、「ザギン(銀座)」「シースー(寿司)」「ワイハ(ハワイ)」など、逆さ言葉を用いる習慣がありますね。
一般的なビジネスシーンでの使い方と例文
ビジネスシーンでは、「バーター取り引き」という形で使われることが多いでしょう。
具体的には、「おたくの○○を買う代わりに、うちの△△を買ってくれない?」「うちのコピー機を購入してくれるなら、おたくの警備システムを入れてもいいですよ」など、取引先との交渉を指すほか、「うちの課から3人応援出すから、うちが繁忙期の時はよろしく」「今度食事おごるから、この仕事手伝ってくれない?」など、身内同士の交渉もバーター取り引きといえます。
(例文)
- 弊社の商品と御社の商品とをバーター取り引きしませんか?
- そのバーターでは割に合わない。
- お互いの仕事をバーターしよう。
- A社とのバーター取り引きが成立しました。
芸能界での使い方と例文
芸能界におけるバーターは、人物が対象となります。物々交換というよりは「抱き合わせ」という意味で使われており、売れている芸能人と売れていない芸能人をセット(束)にして出演させてもらうことをバーターといいます。
具体的には、番組側が芸能事務所に売れっ子タレントAの出演をオファーした場合に、芸能事務所側が「(まだ無名の)Bも一緒に出演させてもらえるなら、Aも出演させるよ」「Aを○○に出演させる代わりに、今度Bを△△に出してもらえない?」といった交換条件を出すことを指します。
タレントは、メディアに出演しないことには利益を生むこともできませんし、知名度も上がりません。無名の新人や売れないタレントを少しでも多く出演させたい芸能事務所と、人気タレントを出演させることで視聴率を上げたい番組側。
芸能界におけるバーターは、両者の利害を上手く利用した手法といえるでしょう。
(例文)
- Aさんとのバーターで○○テレビへの出演が決まりました。
- では、来週はAさんとBさんとのバーター出演ということでお願いします。
- 社長、Aさんとのバーターで、お仕事入れてもらえないでしょうか?
- バーターであろうと、私にとってはチャンスです!
バーター取り引きのデメリット
対個人との取り引きや、両者の力関係に明らかな優劣がある場合のバーター取り引きには注意が必要です。
例えば、ノルマがある営業マンが、「ウォーターサーバーを置いていただけないでしょうか?」と保険会社に営業をかけ、「個人的にうちの保険に入ってくれるなら置いてあげてもいいよ」と交換条件を出されたとします。このように、個人的に取り引きを持ちかけられて欲しくもない物を買ってしまう、必要のない契約を交わすなど、社員個人が不利益を被るケースもあるのです。
また、企業間の取り引きであっても、大企業と町工場など明らかに力関係に差がある場合には、当然のことながら力が弱い方が不利になるでしょう。
バーターの類語や言い換え
「物々交換」「交換条件」を意味する「バーター」ですが、ここで、バーターに似た用語を紹介します。
トレード
○売買の取り引きをすること。
○プロ野球の球団間で、選手の交換・移籍を行うこと。
抱き合わせ
○売れている物(サービス・人を含む)と売れていない物とを組み合わせて取り引きすること。
代物替え(しろものがえ)
○品物を他の品物と交換すること。物々交換。
○外国への金銀流出を防ぐため幕府が1684年に貿易額を制限して以降、金銀の代わりに銅などを対価として行われた貿易。
今回は「バーター」についてお話ししましたが、いかがだったでしょうか。どちらか一方が大きな不利益を被るような取り引きではなく、どちらにとってもメリットのある取り引きにしてもらいたいものですね。